生産者の取組み

成功する農業後継「失敗を経験に、さらなる強みへ」

新規事業として
菊の直売に挑戦

今から4年前、幹大さんは花屋を営む友人と組み、新たな葬祭販売事業に挑戦した。葬祭の式場に直接花を届ける仕事で、自分の農園の白輪菊をJAあまくさ公認で葬儀会社に直接販売する。

具体的な業務内容は、葬儀屋経由で花籠の注文を受けると、幹大さんの農場から花を出荷し、友人が花輪にして葬儀会場に直接持っていく。式場での花の管理も幹大さんと友人の花屋が行う、というものだ。花籠のお供え名札の準備から、陳列、追加での祭壇の花の並べ替え、花の管理まで幅広く実施する仕事であり、菊の生産出荷とはまったく違うビジネスであった。

この事業を始めたきっかけは、自身の祖母の葬儀の際、自宅で栽培した菊で見送ることができた体験である。幹大さんは、『自宅の近くに住む地域の方々の人生の節目にも、念入りに育てた菊を使って貢献できないだろうか』と考えていた。

丁度その頃、花屋を営む友人から「葬祭への花の納入事業を一緒にやってみないか」という話を持ち込まれた。JAが新たに葬祭事業を始めるというタイミングでもあったため、事業の立上げは順調に進んだ。

葬祭への直接納入での課題と
そこから学んだこと

花を式場に直接届ける仕事は、約1年間取り組んだ。業務を行うなかで、幹大さんは「自分の花を思い通りに売っていく大変さ」を痛感した。葬儀花事業は、いつ注文が来るか分からない。その上、1回の葬儀のなかでも追加注文が絶えず、何度も花籠を納品に行かねばならなかった。

注文から花の収穫、花籠への加工、配送の仕組み、実際の現場作業の実態が食い違い、当初の想定よりも、多大な労力を要した。「お客様の求める場所に・必要なタイミングで・必要な量を届ける」という、商流・物流の難しさを思い知った。

他にも、花を追加で式場に持っていった場合であっても、花の並べ方のルールは厳しく、「届け先(式場)でのサービス」も、花という商品の価値作りに大きく関与していたことを学ぶ。

JAあまくさの組合長にも協力してもらい、JA公認で葬祭花販売事業として参入したのだが、事業成功への壁は高かった。自分のマネジメント力の限界も感じ、生産と販売管理の両方を担い続けることの難しさを痛感。友人とも相談し、約1年間でこの事業から撤退した。

この経験から、これまで気が付かなかった「営業や流通という仕事がどれだけ大変で厳しいか」ということを、身をもって学んだ。そして意図せず、自分の仕事の喜びを再発見することにもなった。末端のお客様に花を届けることで『お客様に喜んで頂く幸せ』を改めて実感したのだ。

※後編は6/21(木)に配信いたします。

話を聞いた人

菊ばり農園3代目 熊本県天草市生まれ 37歳

藤島幹大(ふじしまみきひろ)さん

 

菊ばり農園2代目 熊本県天草市生まれ 64歳

藤島和雄(ふじしまかずお)さん

取材

「親子農業」研究員 ㈱ビジネス・ブレークスルー所属

乾祐哉

監修

親子農業指導教官 ㈱みやじ豚代表取締役

宮治勇輔

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