年間損失額は200億円。鳥獣被害の対策方法は?
2018/06/18
農水省によると、野生鳥獣による農作物被害は深刻さを極めており、その損失額はなんと200億円にも及ぶという。近年では、被害の多い地域でICT技術を活用した鳥獣対策の導入が進んでいるが、実際の効果はどうなのか?
およそ200億円で推移
深刻な農作物の鳥獣被害
農水省が2018年1月に発表した「鳥獣被害の現状と対策」によると、被害件数自体は減少傾向にあるものの、損失額は依然200億円前後と深刻な状況が続いている。
なかでもシカとイノシシによる被害の割合が高く、農家たちの頭を悩ませているが、同じく多くの被害を受けている岡山県美作市において、ICT技術を活用した鳥獣捕獲システムを導入したという。
被害を防止しながら
猟師の負担も軽減!
美作市内でのニホンジカ・イノシシ対策は、8割以上が罠での捕獲だ。そのため猟師は毎朝見回りをし、掛かっていれば自己処理、あるいは獣肉処理施設に搬入することになるが、何度も捕獲と搬入を繰り返すなど、作業負担が問題となっていた。
そこで導入したのが、株式会社フォレストシーが開発した「オリワナ通信」だ。
「オリワナ通信」は、罠が作動すると利用者の端末へ通知が届き、GPS機能で位置情報も把握・共有できるシステム。
「オリワナ通信」通知画面
「オリワナ通信」の最大の特徴は、高い電波出力と中継機能だ。携帯だと電波圏外になるエリアでも通信が途絶えること無く、山間部など広範囲の管理に向いている。
さらに、地域ぐるみで連携することで迅速な後処理が可能になり、鳥獣行政担当者や捕獲従事者のわなの管理負担を大幅に軽減できるというメリットもある。
「オリワナ通信」導入後、美作市森林政策課が実証実験を行ったところ、見回り労力の軽減により、捕獲から解体処理までの円滑な流れが確認されたそう。
今後もこうしたICT技術が普及することで、農作物の被害減少とともに、地域全体で協力し合えるような仕組みが整っていくことに期待したい。
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