“いのちのてざわり”が詰まった「KURKKU FIELDS」って? 新しい農業の形を具現化
2020/03/04
千葉県木更津市に2019年秋オープンした、サステナブル ファーム&パーク「KURKKU FIELDS」。約9万坪の広大な農場には、持続可能な農業と人と社会のアイデアが詰まっている。
様々な食のプロジェクトが
生き生きとしたアートのように
“新しい農業”の形を具現化した「KURKKUFIELDS」には、JAS認定の有機栽培の畑をはじめ、平飼いの養鶏場、新鮮で上質なモッツァレッラチーズのために飼われる水牛の牛舎、山羊や乳牛の放牧場まで多様な生産現場が整う。「おいしくてサステナブル」を目指し、生産方法のこだわりも尽きない。
チーズ職人自ら、希少な水牛を飼育。極上のモッツァレッラチーズを製造している。
たとえば、鶏卵。広々とした鶏舎で平飼いする鶏はストレスが少なく、鶏同士で争うことがないため、デビーク(くちばし切除)する必要がない。くちばしが健康な鶏は餌を噛む力が強く、腸も丈夫で臭みのないピュアな卵を産むという。
また、サステナブルな仕組みづくりを農場全体に敷衍。酪農場と養鶏所から出たフン、施設から出る生ゴミ、雑草などは、大型プラントで発酵させ、堆肥として農場で再利用。有機物循環のサイクルを実現している。生活排水は、微生物や植物など自然の浄化作用を活用した「バイオジオフィルター」と呼ばれる循環型ろ過装置を通って自然へと還っていく。放牧地の斜面には、2MWの発電容量を有する広大なソーラーパネルも。農作業に使われる電力は、この発電エネルギーで一部賄っているという。
農場を一望する高台に立つダイニング。ランドスケープと食事を共に味わいたい。
農場のおいしさを味わえるダイニング。高い吹き抜けを有する店内に70席を用意。
自然が育んだ恵みは、新鮮なままテーブルへ。農場を一望するダイニングでは、農場のおいしさが凝縮された料理を提供。
驚くほど軽く、繊細な口当たりのシフォンケーキ。1ホール2200円でお土産にも。
採れたての卵とミルクを使ったシフォンケーキは、ふんわりと軽く繊細な味わいが好評だ。専属シェフが自ら精肉することでお肉を一から十まで管理する「シャルキュトリー」では、地元木更津産のジビエを扱い、地産地消の役割も担っている。
世界的に高い評価を受けるパリ在住の現代美術家、カミーユ・アンロによる作品。
クリエイティヴやイマジネーションの力こそが、世界を変えることのできる大切なもの--。そんなメッセージをも内包する〈KURKKU FIELDS〉では、芸術的な見どころも豊富だ。
タイニーハウスでキャンプともグランピングともひと味違う宿泊体験を提供。
草間彌生作品をはじめ、環境と調和したアート作品を敷地内のあちこちで展示。さらには、近年注目を集めるライフスタイル「タイニーハウス」での貴重な宿泊体験も見逃せない。
今後は、温浴施設や音楽と農業を融合させたスペースなど、さらなる充実を図る予定だという。「いのちのてざわり」を実感できる唯一無二のこの場所では、サステナブルな農業と未来について、誰もが多くの気付きを得られるはずだ。
photo&text:Yukiko Soda
AGRI JOURNAL vol.14(2020年冬号)より転載