家族経営の相棒、『ラバータイプディスクハロー』! 農業で増収するための効率化の追求
2022/01/07
日本農業が生き残るために必須なのが『作業の効率化』だ。ここではとある作業機を導入して効率化を実現した、家族経営で7品目を生産する宮崎の生産者を紹介しよう。
20haで7品目を栽培すると
毎日どこかを耕起している
宮崎県中部の東諸県郡国富町に、家族経営ながらも20haの圃場を管理して、7品目を栽培している生産者がいる。農業高校を卒業後、奥様の実家に入り跡を継いだ関山桂祐さんだ。
宮崎県中部に位置する東諸県郡国富町は、東は県庁所在地である宮崎市に、北は古墳群で知られる西都市に接する。市域の約60%が森林、約20%が農地、人口は18,341。典型的な地方の小都市だ。
「原料用甘藷(かんしょ)、加工用米、米、千切り大根、たばこ、もち麦、ニラなどを、義理の両親と妻と私という家族経営で栽培しています。ですから一年中、何処かの圃場で耕起作業をして、別の圃場では収穫をしている……そんな感じで、猫の手も借りたいくらい忙しいのです」。
原料用甘藷はお義父さんが仲間とともに設立した法人に納められると、それは『霧島』といった全国的に名が知れた芋焼酎に姿を変える。
「霧島酒造」や「雲海酒造」といった著名な酒造会社がつくる芋焼酎の原料となる甘藷は、桂祐さんの代になってから栽培面積を倍増させた。「土を大切にするようにしたら、病気にも強くなりました」と桂祐さん。現在の主力品目だ。
「お義父さんは先見の明がある人です。甘藷は今でもウチの稼ぎ頭で、その販売ルートまで築き上げてくれました。ただ、私が関山家に来た頃は、忙しい割に利益が少ない……という状態でした。今でもお義父さん・お義母さんを尊敬していますが、何かを変えなければ先は厳しいと感じました。
当時、頻繁に土壌消毒を行っている割には、病気が発生することが多く、それをどうにかしたかった。そこで、土を大切にする栽培方法に少しずつ変えていったのです。具体的には、しっかりと根などの残渣を鋤き込むことと、緑肥の活用です。たばこは茎が頑丈ですし、甘藷は蔓(つる)が残りがちですが、何度も耕起を繰り返して腐植させることで、病気が出難くなると考えました。実際、鹿児島で甘藷の病気が流行したときも、ウチはまったく被害が出ませんでした」と胸を張る。
大変だった耕起作業を
効率化してくれる作業機
『ラバーディスクハロー』はサイズに応じた3タイプをラインアップしており、80馬力以上のトラクターに適合する。構造がシンプルだからメンテナンス性も極めて高い。公道走行時や収納時はローラー部を跳ね上げてコンパクトに収められる。
この耕起作業に関山さんが使っているのが、三菱農業機械が2020年より発売を開始したヒサルラー社の『ラバータイプディスクハロー』だ。耕起作業をスピーディかつ省燃費で行うことができる。
「収穫や移植は後回しに出来ませんから、その隙間の時間を縫うように耕起するのですが、これまで使っていたロータリーは時間が掛かって大変でした。2㎞/h程度で何度も耕起するのは、正直に言って苦痛でした。少しでも耕起を楽にしたいと考えていたとき、三菱農業機械が『ラバータイプディスクハロー』のモニターキャンペーンを行っているのを知り、駄目で元々と思いつつ応募したのですが……それが当選したのです!
今はロータリーを2回掛けた後、『ラバータイプディスクハロー』を1回で、耕起は完璧です。これだけで、なんでも完全に鋤き込むことが出来るようになりました。作業速度は最高15㎞/hですから、耕起作業全体で考えれば作業時間は以前の半分以下になりましたね」。
奥様の瑠美さんも満面の笑みだ。
「そうそう! 前まで夫は耕起に行くのに、腰が重かったです(笑)。今は『ちょっと行ってくる!』と出掛けて行ったと思ったら、すぐに帰って来ます。そのおかげで子供達と遊ぶ時間や、家事を手伝ってくれる機会も増えました」。
土づくりを大切にする栽培方法を取り入れたところ、今では、稀に土と相談しながら殺虫剤を使う程度の消毒で済むようになった。この労働時間と経費の節約にも、『ラバータイプディスクハロー』が貢献している。ご夫妻に話をうかがっている最中、ご両親がたばこを満載にした軽トラックで帰宅した。
収穫期の真っ盛りだった、たばこ。時代の流れだろうか、単価は下がり続けているという。それでも佳祐さんは「たばこも当地域で長く育てて来た品目ですから、両親が元気な間は続けていきたい」と話す。
「収穫した『たばこ』は葉の仕分けをして、8月からウチで乾燥させます。収穫した圃場は、9月になったら今度は大根を作付します。収穫した大根は千切りにして、乾燥させるところまでウチで行います」。
『千切り大根』とは、いわゆる『切り干し大根』のこと。収穫して千切りにして乾燥するまで、自家で行っている。これだけ多様な作業を家族で実行するには、耕起の効率化がいかに重要なのかが容易に想像できる。家族経営から法人へと脱皮を目指す関山さんにとって、目標達成に欠かせない相棒になった『ラバータイプディスクハロー』。これからも忙しく、国富町の圃場を走り回ることだろう。
PROFILE
お話をうかがった関山桂祐さん・瑠美さんご夫妻は中学時代の同級生。家族経営ながらも20haの圃場で7品目を、土を大切にした栽培方法で生産している。自慢の生産物は近所の道の駅などでも販売されている。
問い合わせ
文:川島礼二郎
AGRI JOURNAL vol.21(2021年秋号)より転載