ハウスのLED光源が“上がって下がる”! 光源昇降システム「クルライト」誕生
2024/08/26
光のスペクトル制御によって、農作物に恩恵をもたらしてくれるLEDライト。施設園芸×LEDへの課題を解決するため、この分野のオーソリティー2社が手を組んだ成果が明らかになる。
LEDの効力を最大限に発揮する
独自の昇降機構を共同開発!
ビニールハウスなど施設園芸の現場では、収量の安定化、病害虫・病害防除対策など、多くのメリットを享受できるLEDライトが活用されている。だが、農業用LEDは生まれたばかりの分野であるため、徐々に課題も見つかっている。そのひとつが「高さ」の問題だ。農業用LEDをリードするジャパンマグネットの石上友希江さんはこう説明する。
「例えば徐々に背が高く成長していく作物に対して、人間の頭程度の高さにLEDを設置すると、植え始めは対象までに距離があります。かといって最初から作物の近くに取り付けると、今度は成長とともに遠くなります。どちらにしても光が当たりにくいから、効き目が発揮しにくくなるのです」。
成長に合わせてLEDの高さを変えられる仕組みを作れないか?と考えて手を組んだのがハウス資材大手の佐藤産業。独自の昇降機能を持つ「クルライト」を共同開発した。
仕組みを考案したのは、佐藤産業の下之園智洋さん。
「回転軸と紐を用いて物体を上下させる仕組みは一般的なもの。この仕組みに滑車をプラスして、設置や水平調整の時間を大幅に短縮したのがクルライトです。1本の長い紐を引くことで滑車が動滑車となり、昇降の起点となる高さまで持ち上げることができます。紐には均等な荷重が掛かっているため水平調整も容易で、吊るすために紐を小分けに切る必要も、水平を取るために何かで支えておく必要もありません」。
LEDの効果を最大限に発揮でき、作業性も抜群。多くの圃場での活躍を期待したい。
Point 1
LEDが昇降する画期的な仕組み
クルライトは、2本の農業用パイプの間に紐をジグザグに通し、紐を巻き取ることで昇降させるシンプルな仕組みで、専門業者でなくとも施工できる。
上のパイプを回転シャフトとし、下のパイプにLEDを取り付ける。下側の滑車にはすべて均等に荷重がかかっており、水平が簡単に取れる。上昇時には上の滑車がパイプ軸で回転し、紐がパイプに巻きついていく。
Point 2
作物の高さに合わせてLEDを調整
トマトなど、上部に向かって伸びていく作物に対して、成長に合わせてLEDを昇降させることで適切に光を当て、育成や防除を促す。またイチゴなど低い位置で栽培する作物には、光を当てたい時はLEDを下降させ、作業中は上昇させておくといった使い方ができる。
光源昇降システム クルライトの4つのメリット
1 収量増加・安定化
生長点への効果的な照射により成長促進
2 病害虫の抑制
防除光源を病害虫発生部位へ追従させ抑制
3 作業性の向上
昇降により、作業性も損なわず、設置も容易
4 低コスト・省エネルギー
短時間照射が可能となり、ランニングコスト削減
取材協力
株式会社ジャパンマグネット
アグリ事業部
石上友希江さん
佐藤産業株式会社
営業企画 課長
下之園智洋さん
クルライトを開発した
2社の注目アイテム
株式会社ジャパンマグネット
高品質育苗用スペクトラム
太陽光波長・青色光・UV-Bの3種のLEDを搭載した、健康な苗を作る育苗専用モデル。
防除用UV-B LED電球
紫外線UV-Bを長寿命のLEDで実現。うどんこ病等糸状菌の抑制効果を発揮する。
防虫用LEDアグリボール
青色の狭範囲波長を当てて、コナジラミなどの害虫を忌避。害虫に合わせ各色展開。
代表取締役社長
藤原正人さん
生産者のもとに通って生の声を反映し、毎月新製品をリリースする実行力が弊社の特徴。無限にある農業の課題に対し、解決に導く製品の提供が我々の使命と思っています。
佐藤産業株式会社
クールジャパン
通風効果により体感温度-3度。農業用設備機械メーカーと共同開発したハウス用天窓。
ビニスライダー
ハウス内に設置する簡易カーテンシステム。スライダーでネットを展張・収束させる。
銀河鉄道
雨対策用の簡易的な雨樋。雨による通路のぬかるみやハウス内への侵入被害を軽減。
代表取締役
佐藤隆寛さん
お客様自身が気付いていない潜在的ニーズを引き出すのも我々メーカーの仕事です。このクルライトもこれからのニーズがあるもの。皆様の発展のお役に立てれば幸いです。
問い合わせ
<LED>株式会社ジャパンマグネット
TEL:0266-75-1734
<昇降装置>佐藤産業株式会社
TEL:092-932-5431
文:本多祐介
AGRI JOURNAL vol.32(2024年夏号)より転載
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