みかんの目視選別を機械でサポート!品質のブレや疲労による見逃し軽減を実現
2022/11/08
みかん生産量日本一の和歌山県。手作業で行われている目視選別は、体力的・精神的負担が非常に大きい。そんな負担を解決しようと一般財団法人 雑賀技術研究所は、手作業で行っているみかんの選別をサポートする「外観選別装置 Rakuda(ラクダ)」を開発した。
負担の大きいみかんの目視選別
果実の状態を自動でランク付け
(写真①)目視選別の様子
和歌山県はみかん生産量日本一の大産地である。しかし、みかん農家数は年々減少し、耕作放棄地の増加や人手不足といった様々な問題を抱えている。
そんな中、和歌山県に会社を持つ一般財団法人 雑賀技術研究所はこれまでの非破壊検査技術と画像処理技術を活かして地元農家のサポートができないかと、県内農家 約100軒を対象にみかんの生産現場における課題について聞き取り調査を続けてきた。
繁忙期の約3か月に作業が集中する中で、特に負担が大きいとの声が多かった“目視選別作業”に着目。約4年間の開発期間を経て手作業で行っているみかんの選別をサポートする「外観選別装置 Rakuda(ラクダ)」を開発した。
みかんは収穫後、各農家の倉庫でサイズ分けと品質に応じてランク付け(以下、目視選別)をして箱詰めを行う(写真①)。その作業はほとんど手作業で行われており、繁忙期にあたる10月からのみかんシーズンは、収穫、選別、出荷と農家にとって体力的・精神的負担が非常に大きなものがある。
一方、「Rakuda」はみかんを1つずつコンベアで回転させながらカメラで全周撮影し、果実の状態(キズなどの見た目)を数値化して3段階に選別。人の目では見つけにくい「水っぽい腐り(以下、水腐り)」を取り除くことができる。
みかんの一般的な目視選別と
「Rakuda」による選別の違い
■ 一般的な目視選別作業とその課題
果実を1つ1つ手に取って確認し、品質に応じて規格外や廃棄を含めた約5段階にランク付けをする。選別の判断基準は、果実の状態、例えば表面のキズの程度、病害、腐りやすさ、果皮の硬さ、着色、形状など多岐にわたる。
さらにその判断基準は感覚的であることから、人によって分け方に差が出たり、素人には見分けることが難しかったりといった課題があり、なかなか技術継承も進まず、熟練者への依存が大きくなっていく。
さらにシーズン中は連日夜遅くまでこの作業が続くため疲労がピークに達すると、傷の見逃しや選別の間違いが多くなる。
■ 「外観選別装置 Rakuda」による選別とその効果
あらかじめ「Rakuda」で3段階に分け、その後目視で最終チェックを行う。
「Rakuda」選別後はみかんの品質が揃っているため、一般的な目視選別作業に比べて判断がしやすくなる。
また、機械の選別基準は一定で、作業者による品質のブレや疲労による見逃しを軽減。
昨年「Rakuda」をテスト導入した農家からは、以下の声が寄せられている。
■人が見なくても、キズが大きいみかんや廃棄するみかんは Rakuda で取り除ける
■Rakuda で選別したみかんはある程度均一に分かれているので、その後の選別がしやすい
■目視選別の基準を人に教える際に、判断ポイントを説明しやすい
■使い方を工夫すれば、これまでと同じ作業時間で選別量を増やすことができそう
「Rakuda」はみかんシーズンの開始に合わせ、2022年10月より和歌山県内のみかん農家へ導入が始まっている。
外観選別装置 Rakuda(ラクダ)
対象品目: 温州みかん ※着色9分以上
対象サイズ: 2S~2L
機能: 外観のきれいさと水腐りを判別
排出口: 3か所/排出設定パターン変更可
装置寸法:【本体】1870(W) × 470(D) × 1170(H)㎜
電源仕様: 単相 AC100V/消費電力 320W
処理能力: 600kg/時間
問い合わせ
一般財団法人雑賀技術研究所
TEL:073-474-0860(平日9:00 ~ 17:00)
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