産地・産業振興に繋げる『6次産業化2.0』とは?
2017/11/01
6次産業化が新たなステップに向かおうとしている。今回は、野村アグリプランニング&アドバイザリー・上級研究員の仲野真人氏が提案する"6次産業化2.0"についてご紹介しよう。
「農商工連携」と「6次産業化」?
過去の経緯から学ぶ
6次産業化に取り組んでいる方も少なくないだろう。ところが「6次産業化で売上は増えたのに利益が上がらない」という声が少なくない。設備投資や経費が増加してしまい、最も大切な利益が減ってしまう場合が少なくないのだ。
そこで今回は、6次産業化にチャレンジしている生産者に耳よりの情報をお届けしよう。アジア最大の投資銀行・証券持株会社である野村ホールディングスの傘下企業、野村アグリプランニング&アドバイザリーの上級研究員、仲野真人氏が提案する”6次産業化2.0″だ。
ところで、6次産業化の前に良く聞いた”農商工連携”を覚えているだろうか。2008年、農商工連携の取組みを支援するため「農商工等連携促進法」が制定された。農林漁業者と中小企業者が共同で事業計画を作成し、農水省・経産省の認定を受けることで、支援措置を活用できる仕組みだ。
”農商工連携”は、1次(生産者)と2次・3次(加工・販売業者)が”連携”することで各事業者が利益を出しつつ、地域雇用の拡大を目指す、という取組みと言える。もちろん”農商工連携”が成功した例も少なくないのだが、中長期的ビジョンの共有や利益分配の明確化が不十分なケースも多かった。そのため単なる取引関係に留まってしまい長期的パートナーシップを構築できず、失敗する事例が多く見られた。
次に出て来たのが6次産業化である。農林水産省では……“雇用と所得を確保し、若者や子供も集落に定住できる社会を構築するため、農林漁業生産と加工・販売の一体化や、地域資源を活用した新たな産業の創出の促進を目的とし、農林漁業について、生産だけでなく加工・流通・販売等も統合的に行うことで事業の付加価値を高める経営形態のこと。”と定義している。
既存の6次産業化の取組みでは、生産者自身が加工・販売に至る全工程に取組んでいた。そのため生産者が背負う経済的・人的負担が大き過ぎ、なんとか売上増加にまでは到達しても、長期的に利益を得ることは難しかった。現在、多くの農家が陥っているのが、こうした状況ではないだろうか?