卵のおいしさを届けたい! 6次化カフェで思いを実現
2018/07/31
近年、6次産業化に取り組む農園が増えてきているが、始めるにはまとまった資金が必要だ。そこで、農林水産省の「6次産業化整備支援事業」を利用して成功を遂げた事例がある。今や人気スポットとなった札幌の農家カフェ『コッコテラス』だ。
6次産業化整備支援事業を利用
「とれたて卵を味わってほしい」
近年、取り組む農家・農業法人が増えてきている6次産業化。6次産業化のメリットとしては、収入が安定する、作物のブランド化ができる、流通・販売までのコストを削減できる、雇用拡大などが挙げられるが、事業を始めるためには、まとまった資金が必要になる。そこで活用できるのが、農林水産省の6次産業化整備支援事業だ。
6次産業化整備支援事業とは、農林水産省が国の事業として、農山漁村の所得や雇用を増大し、地域活力の向上を図るために、地産地消、6次産業化等の取組に必要となる大規模な加工・販売施設や機械等の整備を支援する事業のこと。
この支援を受け、6次産業化の取り組みを開始したのが、北海道札幌市の養鶏家、永光農園だ。同社はもともと、自社産の鶏卵(有精卵)を直売するとともに、シフォンケーキ・プリン等の洋菓子を札幌市内の5つの直営店で販売していた。しかし、日持ちする加工品ではなく、「とれたての卵を使ったスイーツを味わって欲しい」という思いがあった。
そこで考えたのが、開発したスイーツを直接味わってもらうカフェを併設した店舗『コッコテラス』の開店であった。農場内に建てることですぐ裏の養鶏場でとれた産みたての卵を使ったパンケーキなどのスイーツが味わえることに加え、店舗のデザインにもお客さんに親しんでもらえる工夫を凝らした。可愛らしい三角屋根の建物や、工房内の様子やオーブンで焼いている様子が見えるつくりは、単なる直売所にあるカフェではなく、「訪れてみたいスポット」として話題に。メディアでも度々取り上げられるまでになった。
全国の人へ卵の美味しさを!
『コッコテラス』のさらなる展望
『コッコテラス』開店以降、スイーツはお客さんに選択の楽しみをもってもらえるようにバリエーションを増やし、新商品を開発し続けている。季節感が感じられる季節限定商品も、『コッコテラス』の人気を誇る理由のひとつだ。
今後、永光農園はさらに多くの方に永光農園のスイーツを味わってもらうため、全国で開催されるイベントにも積極的に参加していく予定だという。また、「直売所に来られない方向けに、通信販売にもこれから力を入れていきたい」と意気込んでいる。