成功する農業後継「地道な広報活動で世界進出へ」
2018/07/23
1本5000円のレンコン!? それが飛ぶように売れるようになったのは、自社商品のブランド化を目指し、奮闘してきた後継・憲一さんと、生産を支える先代の力があったから。ついに海をこえてニューヨークへ! 野口農園の事業承継エピソード後編。
ブランドレンコンが売れない!
地道な広報活動へ
「このまま続けていても知名度は上がらない」。憲一さんは、”広報活動にもっと力を入れよう”と思い立った。”ここまで投資してきた500万円が無駄になるのでは”という焦りもあった。
これまで以上に積極的に展示会やマルシェに出店し、各種講演会、レストランのトークセッションなど、地道な広報活動を続け、自社の活動を外部に発信するようにした。この活動は、”レンコンの営業方法が良くわからない”と考えていた憲一さんが、独自に考え、編み出した方法であった。
地道に活動を行っていくと、「博士がレンコンを売っている」「それも1本5000円の高級レンコン」ということで、一つの講演会が次の取材のきっかけとなり、取材記事を見た人が次の取材を依頼する、というようなサイクルが生まれていった。
1度テレビに出演して以降は、コンテンツ力の高さから、テレビや雑誌に連続して取り上げられるようになった。2016年~2017年には、ほぼ2ヶ月に1回、テレビ・雑誌・新聞などに出ていたという。
大手商社との取引口座が
信頼の証に
メディアで取り上げられるたびに、スーパーなど法人の顧客も増えていった。ここで効果を現したのが、前述の、大手総合食品商社に開いてもらった取引口座である。
商談案件がスムーズに取引につながったのは、”大手総合食品商社での取引口座がある”ということが、信用の証となったからであった。
また、メディアに掲載されることで、1本5000円レンコンの注文も入るようになっていった。今思えば、この”5000円という値付けも絶妙であった”と憲一さんは考えている。
もし5000円相当の贈答品を頂いた場合は、やはり”5000円のお返しが必要である”と考える人が多いだろう。地元の贈答品需要の絶妙なマーケットのひとつが5000円という価格帯であったと感じている。
ついに昨年度、1本5000円レンコンに百件近い注文が入り、”最高級の品質を届けるためには、全ての注文には応えられない”というような状況にまでなった。
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