話題の「バイオスティミュラント」の効果は? 霜害から守る製品も!
2019/10/24
バイオスティミュラント協議会が発足したばかりの日本だが、実は長年に渡り販売が続けられている製品が存在する。ロイヤルインダストリーズの2製品をご紹介!
いま改めて評価される
バイオスティミュラント製品
植物に対する「非生物的ストレス」を制御することにより、気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減。その結果、健全な植物を提供する新しい資材のカテゴリがバイオスティミュラントだ。日本においては、2018年1月に日本バイオスティミュラント協議会が発足したばかりと、まだ黎明期にある。
ところが……なんと日本で約40年にも渡って販売が続けられている定番&長寿バイオスティミュラント製品が存在する。
100%海藻エキスの
バイオスティミュラント
南アフリカ産の巨大海藻であるエクロニア・マキシマ(草丈 12~13m、茎の直径 7~8cm)。その海藻から抽出した100%海藻エキスが『ケルパック66』である。ケルパック66を使用した農作物は、生育が旺盛・健全になるため、根量が増え光合成能が高まることにより、増収、食味・品質の向上に繋がるという。
1979年の創立直後から『ケルパック66』の輸入販売権を獲得し、以来販売を行う農業資材メーカー、ロイヤルインダストリーズの専務取締役である山田拓史さんに話を聞いた。
山田さん:「ケルパック66には、アミノ酸、ミネラル、ビタミン、多糖類、植物ホルモン(オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレン前駆体のACC等)が含まれています。熱を加えてしまうと成分が変性してしまうため、『ケルパック66』は圧力だけを掛けることで成分を抽出するセルバースト方式にて生産しています」。
ケルパック66の原料である巨大海藻、エクロニア・マキシマ。
山田さん:「複数の成分によって植物の生育が旺盛・健全になる中で、根量が増えて行き、光合成能が高まります。その結果、さらに茎葉も太くなり、花芽の着生も良くなるという好循環が生まれます。また、根が張る効果は、線虫に侵されにくい根圏環境を作ります。本剤に殺線虫力はありませんが、次々と補償根が出るため、線虫が寄生しても地上部への影響が出難くなるのです」。
<ケルパック66の植物への効果の仕組み>
66の成分で生育が良くなる
↓
根量が増える
↓
栄養が吸収できる
↓
光合成能アップ
↓
さらに生育が良くなる!
(花芽の着生が良くなる)
『ケルパック66』は水稲や野菜でも効果があるが、現在のユーザーの多くは、柑橘類やリンゴ、ナシ、ブドウといった果樹に使用している。ゆるやかな効き目で、長く使い続けることで確かな効果を発揮するという。なお『ケルパック66』は有機JAS規格別表等適合資材であり、JAS有機栽培、特別栽培農作物に対応している。
霜害から作物を守る
バイオスティミュラント
もう一つの人気バイオスティミュラント製品が、発売開始から10年が経つ定番商品である『霜ガード』。結晶中に無数の小さな空隙を持っている多孔質の「ゼオライト」という鉱物を主成分としており、その名の通り、霜害から作物を守るためのバイオスティミュラント製品だ。
効果の仕組みとしては下記のようなかたちだ。
多孔質のゼオライトは吸湿性があるため、霜になる前の水分を吸湿する。また、ゼオライトが昼間の温かい空気を抱き込み、気温が急降下した際に緩衝作用をもたらす。
明け方、霜が出来る場合でも、花芽の上にかかったゼオライトの上に出来るため、被害が緩和される。
さらに、上記が外部からの物理的な効果とすれば、内部からの効果もある。ゼオライトに含まれるブドウ糖やリン酸といった成分が葉から吸収されることで、樹液濃度が高まり、耐寒性が向上するのだ。
霜ガードによりコーティングされた木肌。
山田さん:「お取引先の生産者の方から、霜害を低減させるために火を焚くことが大変な重労働であるとお聞きしました。その悩みを解決するために開発されたのが本製品です。発売開始から10年が経ちますが、ほとんどの方にリピートいただいています」。
バイオスティミュラントの
効果は本物?
バイオスティミュラントは魅力的な資材だが、まだ本当に効果があるのか疑問に思う方もいるのではないだろうか?
それに対する答えも同社は用意している。
山田さん:「当社での『ケルパック66』の発売開始は1980年ですが、世界的にはもっと古くから販売されています。そして、その発売国・地域は今でも広がっています。まずはこの販売実績が、『ケルパック66』の効果を証明していると言えます。また当社では『ケルパック66』や『霜ガード』の効果を客観的に示すため、農業試験場や大学といった第三者の研究機関に委託して実証実験を行い、その効果を証明してきました。当社が販売しているバイオスティミュラント製品は、科学的にその効果が証明されていると考えています。現在、日本バイオスティミュラント協議会では、その効能を如何に評価するか検討していますが、当社では古くから自主的に行っています」。
みかんの葉の断面図。左がケルパック使用区。光合成が活発になった結果、対照区と比較して、より多く生じたデンプンがヨウ素に染まって黒く見えている。
山東菜でのケルパック処理試験。一番左の対照区に比べ、中央のケルパック1回処理区・右のケルパック2回処理区では根量が増えている。
バイオスティミュラントを
当たり前の選択肢に
山田さん:「日本にいると感じ難いのですが、ヨーロッパやアメリカを含めた世界全体で土壌の流出や痩せ、また環境汚染が大きな問題になっています。その原因のすべてが既存の農業にあるわけではありませんが、農薬と肥料だけでは、持続可能な農業を実現することが困難であると気付き始めているのです。
幸いにも、日本農業の中心は水稲栽培ですから、そこまで急激に土壌が痩せてしまうことはありませんでした。また無農薬・無化学肥料化は、いきなり出来ることではありません。ですが、当社製品のようなバイオスティミュラント製品を使うことで、農薬や肥料を減らすことは可能となります。また日本農業は、就農者の減少と高齢化が問題になっていますから、効率化・省力化が求めらています。バイオスティミュラント製品は、それにも寄与できると考えています。
バイオスティミュラントは持続可能な農業を可能にする、古くて新しい資材カテゴリです。当社の取り扱い製品の約60%が、バイオスティミュラントです。その良さを、より多くの方に知って頂けたら、それに勝る幸せはありません」。
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