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作業効率化と暑さ対策にはこれだ! 「日本農業の今と未来」を支えるアキレスの2製品

アキレスと聞けば、多くの農業生産者は“農ビ”を思い浮かべるだろう。だが、アキレスの魅力的な製品は“農ビ”だけではない。日本農業に長らく貢献しているアキレスが現在と未来に向けて開発した製品を紹介しよう。

作業効率向上と環境負荷低減を
両立する生分解性マルチ

最初に紹介するのは、露地野菜栽培の作業効率化を実現しつつ環境に優しい生分解性マルチフィルム『ビオフレックスマルチ』。一般的なポリマルチと同等の柔軟性と強度を有しているので、栽培時は既存ポリマルチとほぼ同じ感覚で使用できる。

メリットを得られるのは栽培後だ。生分解性だから、ポリマルチでは必須となる重労働の「剥がす作業」が不要になる。これは農業生産者の高齢化が進み、同時に労働力確保が難しい今、極めて大きなメリットである。開発に至る経緯を農業資材販売部の清水さんが教えてくれた。


清水 顧客起点であり、環境問題にも配慮したアイデアからの製品化でした

「本製品の市販が開始されたのは2005年ですが、企画が動き出したのは2001年のこと。入社1年目の新人研究者の提案がきっかけでした。当時から農業生産者の高齢化が問題となっていて、畑のうねに被せたポリマルチの後処理に苦労している様子を目にした彼が、ポリマルチを剥ぎ取る労力を軽減できるよう、微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解される生分解性素材の開発を提案したのです。200〜400mに至るものもあるポリマルチを、腰を曲げて回収するのは高齢者でなくても大きな負担です。顧客起点であり、環境問題にも配慮したこのアイデアは会社に承認され、紆余曲折を経て開発、なんとか製品化となりました」。

『ビオフレックスマルチ』
柔軟性と強度を持った生分解性のマルチフィルム。使用後に鋤き込むだけで土中の微生物により水と二酸化炭素に分解され、剥ぎ取り作業が不要となる。作業効率の向上・地球環境への負荷低減を実現する、時代に即した農業資材である。多様な作物に対応できるよう、透明・黒・銀ネズ・ダークグリーン・白黒を用意(全て受注生産)。

そんな『ビオフレックスマルチ』が SDGs(持続可能な開発目標)という考え方が普及しつつある今、再び注目を集めている。バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する条約)に関連した改正省令が2021年1月から施行されたことで、回収されたポリマルチの輸出が事実上不可能になった。使用済ポリマルチの廃棄コストは跳ね上がり、引き受けてもらうことすら困難になりつつある。農業も持続可能性を高めることが求められているのだ。

「もともと『ビオフレックスマルチ』が持つ作業効率向上という実利に、地球環境への負荷低減という社会的要求が加わったことで、高感度な農業生産者様からの『ビオフレックスマルチ』の注文が増えているんですよ。特に、大規模農家様の場合は効率向上の効果が大きい」。さらに「環境に配慮した作物」として付加価値を高めるマーケティングの一つの手段にも活用されているという。

[生分解性試験結果]使用後に鋤き込むことで土中の微生物により分解される。生分解性試験結果によると、土中埋設4週間で徐々に分解が始まり、12週間後には小さな断片にまで分解される。
※分解速度は天候、地温、土壌、地域、季節などにより異なる。

 

吹き付けるだけで
ハウス内の温度上昇を抑える

近年の日本の暑さは施設園芸においても深刻な問題だ。夏場の猛暑だけではない。関東ですらGW明けには気温が30度に近付く日がザラにある。再び清水さんに話を聞いてみよう。

「ハウス内の温度上昇を抑えるために遮光カーテンを使う方も多くいらっしゃいますよね。一方で、予算や手間の関係で、それができない農業生産者様も少なくありません。そこで製品化したのが『ファインシェード』です。既設ハウスの農業用被覆資材(農ビ・農PO)に液状の遮光剤を吹き付けるだけで、簡単に遮光ができます」。
ファインシェード 標準タイプ

『ファインシェード』
ハウスに吹き付けるだけで遮光を実現してくれる液状の遮光剤。ハウス内の温度上昇を抑制し、作物の「焼け」を軽減、高品質化が期待できる。純日本製なので、日本の施設園芸に適しており使いやすい。遮光性能・製品重量・効果の持続期間に、それが表れている。

液剤を吹き付けた後のハウスの様子。白くなった被膜が遮光し、雨によって流れ落ちていく。四季がある日本、各地の天候にあった製品仕様だ。

「作物の高温対策としてはもちろんですが、強い光線による「焼け」を防ぐなどの高品質化、それにハウス内で働く方への暑さ対策としても有効です。海外の同等製品と違って、当社で企画から生産まで行っている純日本製ですから、日本の農業生産者様から寄せられたニーズに余すところなく対応しているのが密かな自慢です」。

液剤を吹き付けた後のハウス内の様子。吹き付け前と後では陰り方が全く異なり、吹き付け後のほうは被膜が遮光し、しっかりと影になっていることがわかる。

アキレスは「公的機関の検査結果ではないから……」と公表していないが、筆者は「ハウス内の温度が3度下がった!」「吹き付けたハウス内での作業がラクになったと従業員が驚いていた!」といった農業生産者の声を幾度となく聞いている。遮光能力=ハウス内温度を下げる能力は充分と断言して良いだろう。また、海外製品の重量は一缶20㎏が一般的だが、本製品は容器込みで13・5㎏と比較的軽量。持続期間はユーザーのニーズに細かく対応して、標準・短期・長期の3タイプを用意しているので、地域や作物に応じて選ぶことができる。

さらに驚いたことに、ドローン散布に対応した新製品を『ファインシェード』シリーズに追加予定なのだとか。ユーザーに暑さ対策の新たな可能性を提供できると考えているようだ。日本農業の今だけでなく、未来をも見据えるアキレスらしい製品である。

 

DATA

アキレス株式会社
農業資材販売部
TEL:03-5338-9289(受付時間:月~金/祝日は除く 9:00~17:00)


文/川島礼二郎

Sponsored by アキレス株式会社

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