代々続くコメ農家がフルーツトマト生産に挑戦! アイメック農法で辿り着いた理想の味
2021/08/11
江戸時代から続く米農家で、あえてトマト栽培にチャレンジした若手農家。その決断のきっかけには、アイメック農法との出会いがあった。農業一家の未来を切り拓くべく試行錯誤を繰り返す、農家の姿をレポートする。
アイメック農法による
トマト栽培をスタートするまで
高知県高知市の東に位置する香南市は、温暖な気候を生かした野菜の促成栽培や施設栽培が盛んな地だ。ここで代々稲作農家を営む「有限会社北らいす」で、北耕三さんはトマトの施設栽培を手がけている。
「実家に戻る前はIT企業で営業をやっていました」という北さんは就農してから14年、トマト栽培を始めてからはわずか4年だ。
「社長である母が長年、施設園芸を始めたいという話をしていました。収益面でトマトは難しいと思っていたのですが、クボタさんからアイメック農法をやってみないかという提案があって。父親の代から全面的にクボタさんを信頼していましたから、それならということで、栽培システムの計画から栽培の始め方まで、クボタさんのアドバイスを受けながら準備を進めました」。
クボタの営業所の担当者とは、もともと行っている水稲生産においても長い付き合い。機器の相談はもちろん、アイメック農法についての情報共有も定期的に行う
こうして2017 年、北さんは手探り状態でトマト栽培をスタートした。当時のアイメック農法は、まだ四国~九州の温暖な気候条件での実績が少なく、北さんにとっては準備期間から試行錯誤の連続だった。そこにクボタが施設園芸のノウハウを提供し、まさに二人三脚でアイメック農法によるトマト栽培を実現させたのだ。その背景には、施設栽培で最先端の農業をやりたいという北さんの強い信念があった。
「僕たち若い世代にとって、経験や感覚に頼った農業では伝わりにくい。だから、今自分が経験していることをデータ化して後継者に残したかったんです。1年目から徹底的にデータ取りをしました。それを整理して2年目もデータ取り。その中からこれだっていう方法を残す。今もその繰り返しです」。
「甘いトマト」ではなく
「フルーツ」にしたい
アイメック農法では、トマトに自然と甘みがのるという。しかし北さんのトマトはただ甘いだけではない。「水を抑えて甘いトマトを作ると、皮が固くて酸味も強くなる。これでは子供や若い世代にウケないんです。バイヤーさんからも、甘いだけじゃなくて特徴のあるトマトがほしいと言われます」。
そこで北さんは“ほのかな酸味で甘いトマト”に狙いを絞った。それが「トマトではなくフルーツにしたい」という言葉に表れている。他の農法でも単に糖度が高いトマトは作れるが、甘さとほのかな酸味を両立できるのはアイメック農法ならではだ。北さんは試行錯誤を繰り返しながらデータを取り、理想の味に近づけていった。
今では、北らいすのトマトは「甘美の舞」というブランド名で、百貨店や県外の高級スーパーでも販売される他、ふるさと納税にも対応して供給が人気に追いつかない状況だ。
北らいすでは中玉トマトのフルティカを栽培。「甘美の舞」というブランド名で販売し、ふるさと納税では800~1000件待ちなど、供給が追いつかない人気商品に
アイメック農法
成功へのアドバイス
現在北らいすでは、クボタの広間口無柱ハウスでアイメック農法を行っている。「柱がないから影ができず、トマトを栽培する環境としてはベストだと思います。それにぐっぴーバズーカの風とダッチジェットのCO2施肥をプラスすると、病気の発生も抑えられます。この環境がないと、質のいいトマトは作れませんね」。
北さんによれば、クボタのシステムの高い信頼性が「甘美の舞」の成功につながったという。最後に、今後アイメック農法を始める農家に対してのアドバイスを聞いてみた。
「まずは自分の知識を高めること。それとこだわりを持つこと。アイメックのシステムはとても使いやすいのですが、システムに対する知識は必須です。研修や本から知識を得られても、実際にやってみると違うんです。経験と知識のすり合わせですね」。
これまでの経験から、アイメック農法はコストはかかるものの、収量と品質で十分採算は合うそうだ。またお客さんからは、「こんなフルーツみたいなトマトははじめて!」と驚かれるそうだが、北さんは「アイメックフイルムだからこそ、この味が出せた」と断言する。北さんは現在もアイメック農法による規模拡大を目指し、日々トマト作りに励んでいる。
北らいすが導入した
クボタの施設園芸システム
アイメック®
※アイメック®はメビオール社の商標登録です
広間口無柱ハウス
▶▶▶『広間口無柱ハウス』を詳しく見る!
ぐっぴーバズーカ®
(ヒートポンプ空調システム)
※ぐっぴーバズーカ®は株式会社イーズの商標登録です
ダッチジェット®
(CO2施肥機)
※ダッチジェット®は株式会社ホーグスの商標登録です
▶▶▶『ダッチジェット®』を詳しく見る!
他にも多数ラインナップがあるクボタの施設園芸商品はこちらから!
植物のしおれ状態に基づく自動かん水制御システムを開発中!
水を抑えた高糖度トマト栽培では、不定期に植物がある程度しおれた状態となる。過度なしおれはダメージとなるため、頻繁にハウスを訪れてしおれ具合を観察する必要がある。
現在クボタでは、植物のしおれ状態を数値化(見える化)し、その結果に基づきかん水を自動制御するシステムを開発中。熟練者でも分からないしおれを判別可能で、任意に設定したしおれ状態になると自動でかん水を行う。
更に、ユーザーはリアルタイムにグラフを確認でき、これまで感覚的に捉えていたしおれ状態を定量的に捉えることが可能となる。本システムにより農作物の安定生産、高付加価値トマトの栽培だけでなく、作業の省力化に繋げていく。
取材協力
有限会社北らいす
温暖な気候に恵まれた高知県香南市で、江戸時代から農業に携わり、2000年に法人化。稲作をメインにサツマイモ栽培も手がけ、2017年からはハウスでのトマト栽培をスタートさせた。
問い合わせ
初めて施設園芸に取り組まれる方も、すでに取り組まれている方もお悩みがありましたらぜひお問い合わせください!
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写真:川村公志
文:大澤秀城
AGRI JOURNAL vol.20(2021年夏号)より転載
Sponsored by 株式会社クボタ