【調査】クマなどの鳥獣被害が拡大し9割の生産者に影響。自治体支援は約半数にとどまる
2025/11/21
日本最大の産直通販サイト「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンは、全国の生産者に対し、クマやイノシシなどによる鳥獣被害の影響について、生産現場での実態調査を実施。東北・信越地方を中心に被害の拡大を実感する生産者が増える一方、自治体支援が不足する現状がみえてきた。
クマなどの鳥獣被害
半数以上が被害の増加を実感
日本最大の産直通販サイト「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンは、全国の生産者に対し、深刻さを増すクマ・イノシシ・ハクビシンなどによる鳥獣被害について、生産現場への影響を調査した。
調査では、76.9%の生産者が「今年、鳥獣被害が発生している」と回答。そのうち51%が「例年よりも被害が多い」と回答したという。クマの出没・被害については、全体のうち26.2%の生産者が「今年は出没や被害が増えている」と回答。さらに、鳥獣被害が「売り上げへ影響した」と回答した生産者は、全体で94.5%にまでのぼった。
また、鳥獣被害に対する自治体支援について35.7%が「支援なし」と回答しており、支援の拡大余地も明らかになった。食べチョクでは調査結果をうけ、鳥獣被害に遭った生産者の商品を「食べて応援」できる特集ページおよび生産現場の声をまとめた特設ページを公開。日本最大の産直通販サイトとして、今後も環境変化や災害に直面する生産現場の実情を伝え、生産者と消費者が共に持続可能な食の未来を考えるきっかけを提供していくという。
以下、株式会社ビビッドガーデンのプレスリリースより
生産者に行った鳥獣被害に関する
実態調査の結果サマリー調査概要
調査対象:食べチョクに登録している全国の生産者
調査期間:2025年11月2日(日)11月6日(木)
調査方法:インターネットによる任意回答
回答人数:130人
約8割の生産者が「今年、鳥獣被害が発生している」と回答
「2025年に鳥獣被害が発生している」と回答した生産者は、76.9%に上りました。
5割以上の生産者が「例年より被害が増えている」と回答
今年鳥獣被害が発生していると回答した生産者のうち、51%が「2025年に鳥獣被害が例年よりも多い」と回答。一方で、「例年並み」は39%、「例年より少ない」は10%となりました。
約9割の生産者が「売り上げへの影響を実感」
今年鳥獣被害が発生していると回答した生産者のうち、「1〜10%程度の売上減」と回答したのは63. 3%に上りました。さらに「11〜20%程度の売上減」が19.3%、「21〜30%程度の売上減」が10.1%、「41〜50%程度の売上減」が1.8%となり、合計94.5%が売上に何らかの影響を感じていることが分かりました。
被害をもたらす野生動物は、鳥‧イノシシ‧ハクビシンなど多様
被害をもたらす主な野生動物は、鳥(17.6%)、イノシシ(16.8%)、ハクビシン(14.8%)、シカ(10.9%)、アライグマ(10.1%)、モグラ(6.4%)、サル(4.2%)、クマ(3.6%)、アナグマ(3. 1%)、タヌキ(2.8%)。その他も含めると計20種類にのぼり、多様な害獣による被害が発生していることが明らかになりました。
8割以上の生産者が、鳥獣被害への対策を実施
被害の有無にかかわらず、82.9%の生産者が何らかの対策を行っていることが分かりました。
自治体支援を受けている生産者は約5割にとどまる
今年「自治体から鳥獣被害対策の支援がある」と回答した生産者は56.6%。一方で35.7%は「支援がない」と回答しており、自治体の支援が十分に行き届いていない現状が浮き彫りになりました。
クマ被害に関する
実態調査結果全国では約3割の生産者がクマの出没や被害の増加を実感
2025年にクマの出没や被害について「例年より増えている」と回答した生産者は20%。「例年並み」と回答した6.2%と合わせると、全国の26.2%がクマの出没や被害の増加を実感していることが分かりました。
地域別では、東北が約5割‧信越が約3割‧関東が約2割
2025年のクマの出没や被害が増えていると回答した生産者のうち、46.4%が東北地域、26.8%が信越地域、17.9%が関東地域でした。特に東北地方では、被害や出没の増加を感じる生産者が目立ちました。
・東北地方
アンケートに回答した生産者のうち東北地方の生産者に絞ると、2025年にクマの出没や被害が「例年よ83.3%がクマの出没やり増えている」と回答した生産者は72.2%。「例年並み」11.1%を合わせると、被害を実感していることが分かりました。
・信越地方
アンケートに回答した生産者のうち信越地方の生産者に絞ると、2025年にクマの出没や被害が「例年より増えている」と回答した生産者は42.1%。「例年並み」15.8%を合わせると、57.9%がクマの出没や被害を実感していることが分かりました。
クマの出没や被害状況・自治体対応に
関する生産者の声<クマ被害に関する現状動画>
山形県上山市・長沼果樹園提供
<クマ被害に関する生産者の声>
‧加工用ぶどうがクマに荒らされ20a(約2,000㎡)全滅した(山形県‧クマ被害‧ぶどうを生産)
‧秋の天然きのこシーズンだが、ツキノワグマが近隣で多く出没している。収穫者が山奥まで入山できず適切なタイミングで収穫することができない。現在も思うように入山できていない。(新潟県‧クマ被害‧山菜‧胡桃を生産)
‧熊被害は柿を食べられる(新潟県‧クマ被害‧米を生産)
‧資材置場ハウスを熊に破られ、中に置いていた米ぬかを食べられた。(福島県‧クマ被害‧アスパラガスを生産)
‧和梨が熊と鳥に食べられて収穫量が激減した。(秋田県‧クマ被害‧なしを生産)
<【クマ被害への対策】に関する全国の生産者の声>
‧山ではクマよけスプレー、熊鈴、爆竹、ピッケル、採取兼用ナイフで対策している(新潟県‧クマ被害‧山菜‧胡桃を生産)
‧熊‧イノシシ対策にウルフピー(狼のオシッコ)やクレゾール石鹸による臭いで寄せ付けないようにしているが余り効果は無い(新潟県‧クマ被害‧米を生産)
‧熊対策はできなかった(秋田県‧クマ被害‧なしを生産)
<【クマ被害への】に対する全国の生産者の声>
‧熊避けスプレーの購入金の補助もしくは全家庭に配ってほしい。(新潟県‧クマ被害‧米を生産)
‧電気柵購入の補助。個人では最大50%または5万円の低い方なので全く足りない(福島県‧クマ被害‧アスパラガスを生産)
‧熊の目撃情報を市の農林課に報告しても特に対応されないケースもある(岩手県‧クマ被害‧りんごを生産)
<【その他被害へ自治体支援】に対する全国の生産者の声
‧数が多いのでいずれ突破される。電気柵が多すぎてそのメンテナンスに多くの労力が割かれてしまい、農作業が滞る。最初の積雪前に電気柵を外すが、最初の積雪では根雪にならず一旦雪解けし、その隙にイノシシに畑中ボコボコにされる。(福島県‧イノシシ被害‧アスパラガスを生産)
‧有害動物の駆除が基本だと思います。猟銃を使った有害駆除に対する日当を上げてほしいです。行政による狩猟の理解、役所内で野生動物に対する専門性の人員育成など。(和歌山県‧いのしし, アライグマなど被害‧みかんを生産)
‧補助金の支援はありがたいが毎年すぐに枠が埋まって一度も支援を受けられないため、もっと幅広くサポートしてほしい(山形県‧ハクビシンなど被害‧トマトを生産)
‧電気柵の支援金増額が必要。猟師を増やす施策、狩猟免許の取得費用や免許維持費、弾代、檻などの補助金拡充など。(新潟県‧いのしし, たぬきなど被害‧自然薯を栽培)
鳥獣被害に遭った生産者を「食べて応援」する特設ページ
食べチョクでは鳥獣被害の現状を受け、鳥獣被害に遭った生産者の農林水産物を「食べて応援」できる特集ページおよび生産現場の声をまとめた特設ページを公開しました。日本最大の産直通販サイトとして、今後も環境変化や災害に直面する生産現場の実情を伝え、生産者と消費者が共に持続可能な食の未来を考えるきっかけを提供してまいります。
生産者のインタビューをまとめた特集ページ
お読みいただけるようにまとめた特集ページ「地球の異変 〜生産現場から届く声〜」を公開しました。今後も追加をしていく予定です。
食べチョクでは、気候変動に立ち向かうリアルな声を「生産現場から」「地球から」シリーズで発信してきました。ひとまとめにしたページを公開しました。
気候変動や環境変化に関する生産者実態調査
年々深刻さを増す気候変動の一次産業への影響について調査を実施しました。

















