GoogleのAppSheetでアプリを作ろう!【最終回】スマホから使えるようにして圃場管理をより効率よく! #8

ベンチャー企業出身農家のコラム『マシュー農LABO』。圃場管理や収穫記録を一括管理できる「AppSheet」で実際にアプリを構築しよう! 今回は“AppSheet”最終編。これまで作成したアプリをスマホから確認する方法を解説。

<目次>
1.AppSheet編の最終回!アプリをスマホから確認できるようにしよう
2.そもそも「デプロイ(Deploy)」って何?
3.デプロイするメリット
4.使い方は超簡単!あっという間に自作アプリが使える!

 

AppSheet編の最終回!
アプリをスマホから確認できるようにしよう

こんにちは!GOOD PEOPLESのマシューです。
前回は、GoogleのAppSheetの中級編として、データをスマホからグラフなどで確認しやすくする方法をお伝えしました。
ただのデータを使えるデータにすることができるのがAppSheetやテクノロジーの力です。

最初は難しいと感じると思いますが、そこを乗り越えると自分の思い通りのアプリを自作できるようになりますのでぜひ挑戦してみてください。

前回記事 ▷ GoogleのAppSheetでアプリを作ろう!【応用編】Geminiも用いて圃場データを見やすくまとめよう #7

今回はいよいよAppSheet編の最終回です。

前回まででデータを入力して、蓄積されたデータを見やすい形式(グラフや表)で表示できるようになりました。

最終回である今回は作成したアプリをスマホなどでいつでもどこでも確認できるようにしたいと思います。

スマホで見れるようにするためには2つの方法があります。

それはデプロイするか、デプロイせずに使うか?の2通りです。

作成いただいたホームの左上にあります、Not Deployedが「まだデプロイしていません」という意味になります。

このデプロイという用語は特に覚えなくてもいいのですが、AppSheetを利用するうえでの知識として解説させていただきます。

そもそも「デプロイ(Deploy)」って何?

アプリ開発における「デプロイ」とは、簡単に言えば、「開発中のお試しモードから、本番の正式な利用モードに切り替えること」です。

AppSheetでアプリを作っている間は、「プロトタイプ(試作版)」という状態で動いています。

この状態でも、少人数で使うことはできますが、AppSheet側でいくつか制限が設けられています。

デプロイをすることで、そのアプリが「ビジネスで使う正式な道具」として認められ、制限が解除されたり、より安定して使えるようになったりします。

逆に制限が許容できる範囲であれば無料で使い続けられるということでもあります。

デプロイするメリット

デプロイしてアプリを本格的に運用していく上で、いくつかのメリットがあります。

1. 利用人数と共有の制限がなくなる

最大のメリットです。デプロイすることで、お試しモードで制限されていた10人(または3人)以上のチームメンバーや作業員とアプリを共有できるようになります。(※ただし、利用人数分の適切なライセンスが必要です。)

2. 自動化(Automation)が本格的に動く

「今日の入力が終わったら、自動で他の担当者にもメール通知を送る」といった自動化(Automation)機能が、アプリの作成者(オーナー)以外にも問題なく届くようになりチームの連携がスムーズになります。

3. 帳票(ファイル)の自動生成が可能になる

作業記録からPDFの作業指示書や、請求書などを自動で生成し、それを他の人にメールで送ったり、クラウドに保存したりする機能が、制限なく使えるようになります。

4. セキュリティと安定性の向上

アプリが正式な「本番環境」として稼働するため、より安定した動作が期待できます。
アクセスできるユーザーやドメインを厳密に設定できるなど、セキュリティ管理が強化されます。

デプロイのデメリットと注意点
(気をつけたいこと)

デプロイは良いことばかりですが、もちろん費用が発生します。

無料で使えるという点を僕も強調してきたので、費用をかけてでも使いたいという方は以下の点にご留意ください

個人的には、費用を払ってアプリを利用するのであればご自身の使いたい内容が既存の農業アプリで満足できるようであればそちらをご利用いただくのがベストだと思います。

AppSheetの強みは自身の思うようにデータを蓄積できるようになることなので、それがAppSheet以外でも実現できるようであれば、専用に開発されたアプリをご利用いただいたほうがコスパはいいと感じています。

以下に注意いただきたい点を記載しておきます。

1. ライセンス(利用料)が必要になる

デプロイして10人以上で利用する場合や、上記で挙げた本格的な機能を使いたい場合は、基本的にAppSheetの有料ライセンス(サブスクリプション)が必要になります。利用人数や機能に応じて費用が発生します。
ライセンスを購入することで、Googleからの正式なサポートも受けられるようになります。
詳しい料金はこちらをご確認ください。

2. アプリのバグ(不具合)が全員に影響する

開発中のお試しモードと違い、デプロイしたアプリは全員が利用する「正式版」です。もしアプリにバグ(入力ミスなどの間違い)があると、利用している全員の業務に影響が出てしまう可能性があります。
デプロイ前には、しっかりとテストをして、不具合がないか確認することが大切です。

3. 保守・運用が必要になる
アプリを正式に使い始めたら、「もっとこうしたい」「ここを直したい」といった要望が出てきます。デプロイ後も、アプリを管理・修正していく担当者を決めたり、マニュアルを整備したりといった「保守・運用」の作業が必要になります。

項目 デプロイしない(お試しモード) デプロイする(正式モード)
利用人数 10人まで(または3人まで) 制限無し(ライセンスによる)
自動化メール オーナー宛のみ(制限あり) 誰にでも送信可能
ファイル生成 制限あり 制限なく利用可能
利用料 基本無料 基本的に有料ライセンスが必要

みなさまの農場でアプリを「少人数でテスト的に使っている」段階ならデプロイは不要ですが、「10人以上のチームで本格的に」「自動化で作業効率を大幅にアップさせたい」と考えたときが、デプロイを行うタイミングです。

ちなみにですが、僕はテスト的にすでに3年間AppSheetを活用させていただいております。

家族経営や少人数での農業経営をされてる方にとっては、すべての経費が高騰している昨今、アプリを独自開発できて無料で使い続けられるということは、農業経営にとっても大きな助けになります。

上記を検討いただいた上で、デプロイするかデプロイせずに使うかをご検討ください。

今回はデプロイせずに使うパターンを引き続き解説させていただきます。

使い方は超簡単!
あっという間に自作アプリが使える!

まず右上の人のマークをクリックしてください。

以下のポップアップが表示されます。

ここで、アプリを使いたい方のメールアドレス(無料だと3名まで)を入力しても共有できますが、僕はもっと簡単に使えるShare linksの機能を使っています。

Share linksをクリックいただくとさらにポップアップが表示されますので、Install on mobileのURLをコピーしてスマホで開くと作成したアプリが表示されます。

Googleのログイン画面が表示されますので、ログインいただくとアプリのホーム画面に移行します。

僕はiphoneを利用しているので、このURLをSafariで開いて、「ホーム画面に追加」をすることでホーム画面からアプリにアクセスして利用しています。

いつでもどこでも記録ができるので非常に快適です。

今回はさつまいもの収穫記録アプリを参考に作成しましたが、アイデア次第でどのようなアプリでも作成できるのがAppSheetの魅力です。

以下に農家のAppSheet活用事例を紹介させていただきますので、ぜひ参考にしてみてください。

AppSheetで変わる農業の現場!
スマホで実現する生産性アップの活用事例3選

活用事例 1:圃場の悩みを一発解決!「生育状況&病害虫パトロールアプリ」

日々の見回りで、作物の異変を見つけたらどうしていますか?紙にメモを取ったり、写真を撮って後でLINEで共有したりしていませんか?

アプリの機能イメージ
このアプリは、畑での見回り中に使います。
1.「異変を発見」ボタンをタップ。
2.スマホで病害虫や生育不良の写真を撮影し、アプリに直接登録します。
3.GPS機能が自動でその場所(圃場)を記録。
4.「アブラムシが発生」「葉焼けの可能性」など、状況を声で入力(または選択肢から選ぶ)して記録完了!
ここがすごい!
迅速な情報共有: ベテランの親方や外部の専門家に、「どこで」「どんな」異変が起きているかを、写真と場所情報付きで瞬時に共有できます。
対策の記録: どんな農薬をいつ使ったか、という対策の履歴も同じアプリに紐づけて記録。過去の経験がデータとして蓄積され、来年以降の対策に活かせます。

活用事例 2: 売り逃しゼロへ!「収穫・出荷在庫のリアルタイム管理アプリ」

収穫時期になると、「倉庫にあの野菜はあと何ケースある?」「明日出荷できる等級はどれくらい?」と、販売担当者からの問い合わせが増えませんか?

アプリの機能イメージ
このアプリは、収穫時と出荷時に活躍します。
1.【収穫時】 収穫したコンテナに貼られたQRコードをスマホのカメラでスキャン。品種、等級、重さをその場で入力します。
2.【出荷時】 注文された数量をアプリから入力するだけで、在庫数が自動で減算されます。
ここがすごい!
倉庫に行かなくてOK!: 事務所や外出先からでも、今、在庫がどれくらい残っているかがリアルタイムで確認できます。在庫不足による販売機会の損失を防げます。
トレーサビリティも万全: どの畑で採れた野菜が、いつ、誰によって収穫され、どこへ出荷されたか、という履歴が明確に残り、取引先や消費者への「安心」を提供できます。

活用事例 3: 作業のムラをなくす!「作業指示&マニュアル共有アプリ」

忙しい時期に臨時で手伝ってくれるパートさんやアルバイトさんに、毎回同じ説明をするのは大変です。作業の「ムラ」も心配ですよね。

アプリの機能イメージ
このアプリは、作業員への指示と教育を効率化します。
【指示側】
アプリで「A圃場のキュウリの収穫。期限は夕方5時。担当は佐藤さん」といったToDoリストを作成し、担当者に割り当てます。
【作業員側】
自分のスマホに届いた指示を確認。作業中に迷ったら、アプリ内にある「きゅうり収穫の正しい方法(動画つき)」マニュアルをタップして確認できます。作業が完了したらアプリのボタンをタップして完了報告。
ここがすごい!
誰でもすぐに作業可能に:
マニュアルが常に手元にあるので、ベテランの方がつきっきりで教えなくても、作業の品質を一定に保つことができます。
進捗が「見える化」:
誰がどの作業をどこまで進めたか、親方は事務所にいながら全体を把握できます。作業の遅れを早期に発見し、人員配置の調整が容易になります。

いかがでしたか?AppSheetは、あなたの農業経営をデータで支える強力なツールです。まずは身近な「記録」や「共有」の課題から、アプリづくりに挑戦してみてください!

ぜひ、AppSheetを活用してデータを活用して農業経営を発展させていただければと思います。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。今日もGOODな一日を!

プロフィール

藤井マシュー武雄

宮崎県新富町にて、7年前に就農。現在はさつまいもを6ha、大根や人参などの露地野菜を1ha栽培しながら、さつまいも観光農園「GOOD TIME FARM」を運営。収穫する喜びを多くの人に体験してもらおうと、日々活動しています。GOOD PEOPLES代表。
HP:https://gdps.jp/

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