2020年3月末で経過措置が終了、新「食品表示法」の注意点とは?
2019/09/13
食品の安全を包括的にカバーする「食品表示法」と「食品衛生法」。これらの経過措置期限の終了が迫っており、加工品の製造・販売を行う農家は、対策を急がなくてはならない状況だ。制度の趣旨と内容を正しく理解し、対応をはじめよう。
2020年4月から!
新「食品表示法」
2015年4月、「食品表示法」が施行された。
「食品表示法」とは、食品の安全性の確保などを目的とした「食品衛生法」、品質に関する基準を定めた「JAS法」、健康維持と現代病予防を目的とする「健康増進法」の食品の表示に係る規定を一元化した法律。食品を摂取する際の安全性を確保すること、自主的かつ合理的に食品を選択する機会を確保することが、この法律の役割となっている。
施行から5年間、経過措置が適用されるため、その間は原材料や栄養価の表示が十分でなくとも罰せられることはないが、2020年の3月末に経過措置期間が終了する。つまり、2020年4月1日には新しい「食品表示法」に則って、懲役や罰金といった罰則が科されるということだ。
経過措置が終了する日まで、すでに1年足らず(2019年7月記事掲載時)。6次産業化に取り組んでいる事業者には、保健所や専門機関への相談、新表示についての知識習得といった対策を、なるべく早く行うことをオススメする。
同時に気をつけたい
「食品衛生法」
また、「食品表示法」と同様、早期の対策が求められるのが、2018年6月に15年ぶりに大幅改正された「食品衛生法」だ。
「食品衛生法」において改正されたのは、食中毒事案の共有などを求める「広域的な食中毒事案への対策強化」をはじめとする7つの項目だが、食品を扱う事業者にとって最も重要な項目は、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」。
●「食品衛生法」改正の施行時期
「HACCP」は食品衛生に特化した管理手法で、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」を遵守することで、食品安全を高確率で守ることができる。結果、リコールや食中毒の発生による営業停止といった、不測事態を回避できる。
また、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」の経過措置期間は、2021年6月に設定されている。HACCPに沿った衛生管理を行う事で、作業効率のアップや、保健所の検査が簡略化されるなどのメリットが生まれるのだ。
教えてくれたのはこの人!
株式会社津々浦々
森崎秀峰さん、小林真由子さん
「地域と共に、食の未来をつくり、届ける」をコンセプトに、食品会社へのコンサルティング事業、地域産品の食品販売支援事業などを手がける。商品情報をバイヤーに発信するデジタルカタログ「あきnow」も運営。
illustration: Chisato Hori
text: Yoshiko Ogata
AGRI JOURNAL vol.12(2019年夏号)より転載