アイメック農法で高糖度トマトの生産ができる!? 農業女子のミニトマトが売れる理由
2020/01/20
販売や広告などの前職の経験から「良いものを作っている人は多いが自社ブランドで売っている人は少ない」という点にチャンスを見出し、自社農産物のブランディングに成功。マーケットのニーズ把握のヒントを伺った。
生産が追いつかない!?
高濃度トマトが大人気
水戸市北西部の森の一角にドロップファームのビニールハウスが12棟並ぶ。栽培しているのは、高い糖度のミニトマト。通常の3倍以上の値段で売られる。
農法は、医療技術を農業に転換したフィルムに根をはわせる「アイメック®」。ドロップファームの美容トマトというオリジナルブランドで、自社サイト他、三越銀座店などへ直販を行う。約40トンのトマトは生産が追いつかないほどの人気ぶりだ。
マーケットのニーズ把握のため、どんな工夫をしているのだろう。「全ての答えは現場にあります。売り場に立つ時間を大切にし、お客様のしぐさなどからパックの持ちやすさ、視線はどこに向いているかを観察し、POPやパッケージデザインが効果的に作用しているかを判断。商品のブラッシュアップや新商品の開発とリニューアルに反映します」。
とはいえ三浦さんは、全くの農業未経験者。販売ノウハウは、前職のアパレル会社やイベント会社で培った。長女の妊娠を機に「子育てしながら女性が輝ける職場を作りたい」と就農を決意。1年間の農業研修の後、法人を設立した。
「甘いトマトが作れれば、自分のブランディングや販売力を最大限に生かせると思いました」。
今後取り組みたいのは、一定糖度数以上を確約した美容トマトのゴールドラベル版。価格が上がってでも、良いものだけが欲しい、つまり「絶対失敗したくない」という百貨店の顧客ニーズに応える商品だ。「手間と時間をかけてでもぜひ挑戦してみたい」とさらなる夢を持つ。
売り先に合わせたパッケージで付加価値をつけて単価向上。同じトマトも10パターンで展開。百貨店では自慢したくなるパッケージ。
スーパーでは中身がよく見えるパッケージ。
マーケティングの肝
生産~販売のワンストップ型
大切なのはコミュニケーション。百貨店やスーパーの店頭でスタッフが直接商品説明。密なコミュニケーションから良品が生まれる。販売の委託はせず、自分が作ったものを自分の手でブランディングして消費者に届けるワンストップ型が肝。
Profile
三浦綾佳さん
ドロップファーム代表。SNS等を活用したマーケティングで獲得した全国のファンや店舗にミニトマトを直販。栄養士、日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエプロの資格を持ち、農林水産省農業女子PJメンバー、農業の働き方改革検討委員も務める。
HP:ドロップファーム公式サイト
Instgram:@ayakamiura05
Photo:Nahoko Suzuk
Text:Mikako Wakiya
AGRI JOURNAL vol.13(2019年秋号)より転載