【2026年度政府予算案】米の安定生産へ 高温耐性の種子供給や節水型乾田直播の導入支援などに15億円を計上
2026/01/06
政府は昨年12月26日、2026年度政府予算案を閣議決定した。農林水産関係では、米の安定生産に向けて、高温耐性のある種子供給や節水型乾田直播の導入支援などに約15億円を計上した。
1.農業構造転換集中対策で食料安全保障を強化
2.スマート農業の推進へ情報通信施設を整備
3.高温耐性の種子供給と節水型栽培の導入を支援
4.新規就農者への助成金年間165億円に増額
5.鳥獣被害防止対策とジビエ利用の推進
農業構造転換集中対策で
食料安全保障を強化
農業構造転換集中対策(出典 農林水産省)
2026年度政府予算案で、農林水産関係は前年度当初予算比1.1%増の2兆2956億円となった。このなかでは、食料安全保障の強化を図るため、農地の大区画化やスマート農業技術の開発、スタートアップなどへの支援、生産性の抜本的な向上を加速化する新品種の開発などを支援する「農業構造転換集中対策」に前年度比で約2倍の494億800万円を計上した。
農業構造転換集中対策の財源の一部に日本中央競馬会(JRA)の特別積立金を臨時特例措置として充当する。2026年度から2029年度は毎年度250億円(計1000億円)をJRAが国庫に納付する。2030年度以降は安定的な財源を別途確保する方針。
スマート農業の推進へ
情報通信施設を整備
農業生産基盤情報通信環境整備事業(出典 農林水産省)
スマート農業を推進するため、「農業生産基盤情報通信環境整備事業」に6億5500万円を充てる。
農業者が減少するなか、生産性の向上、生産コストの低減に向け、農業水利施設などの管理の省力化・高度化や、スマート農業の実装を推進するとともに、地域活性化を促進するため、農村地域における光ファイバー、無線基地局などの情報通信施設および附帯設備の整備を支援する。
高温耐性の種子供給と
節水型栽培の導入を支援
米政策関係では、生産者が主食用米から転作した際に生産者に支払う「水田活用の直接支払交付金等」に2752億円を計上した。前年度当初比で118億円減額している。昨年8月の概算要求で記載した「米の需要に応じた増産実現予算」の文言を削除し、石破前政権の方針を転換した。
米穀等安定生産・需要開拓総合対策事業(出典 農林水産省)
米の安定生産に向けては、「米穀等安定生産・需要開拓総合対策事業」に15億1400万円を計上した。この事業では、高温耐性や多収性などの多様なニーズにも対応した安定的な種子の生産・供給体制の構築に向けた取り組みや、新規採種農家の参入促進などを支援する。
また、稲作の大幅なコスト削減に向けた地域全体で取り組む経営分析や革新的な技術の実証、労働力不足への対応策となる節水型乾田直播の導入などを支援する。さらに米・米加工品の輸出拡大に向け、進出候補先となる国・地域の市場リサーチや海外需要開拓・定着、有望な輸出産地の形成などの取り組みを支援する。
新規就農者への助成金
年間165億円に増額
農業人材の育成では、「新規就農者育成総合対策」として104億2700万円を計上した。新規就農者への助成金は物価高を反映して年間150億円から165億円に増額する。12年度に制度を創設して増額するのは初めてとなる。
地域計画の実現に向けた支援(出典 農林水産省)
農地の担い手対策では、「地域計画の実現に向けた支援」として527億円を投じる。
全国約1万9000地区で策定されている地域計画について、農地の適正利用の確保まで話し合いを進めることができなかった地域が見受けられることから、見直しを進めて完成度を高めるよう、その実現に向けて農地の集約化や地域外からの担い手誘致、人材育成、施設整備などの取り組みを後押しする。
鳥獣被害防止対策と
ジビエ利用の推進

野生鳥獣による被害が深刻化していることから、「鳥獣被害防止対策とジビエ利用の推進」に99億8200万円を計上した。
農地周辺での加害性の高い個体の重点的な捕獲や侵入防止柵の管理負担軽減などのスマート鳥獣害対策の推進、クマ・シカ・イノシシの捕獲対策の強化、高度な鳥獣被害対策人材の育成・確保を支援するほか、森林における効果的・効率的なシカ捕獲の取組を推進する。
さらに捕獲鳥獣を有効活用し、ジビエ利用を拡大するため、処理加工施設の整備や情報発信の強化などによる需要拡大の取り組みを支援する。
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取材・文:アグリジャーナル編集部





