農業で使える補助金は何があるの?補助金・助成金を活用して農業を始めよう!
2025/05/21

地方移住で農業を始めたいけれど、初期費用が不安…そんな方に向けて、国や自治体が提供する補助金や助成金を解説!申請が簡単なものも多く、新規就農者におすすめの制度や手続きを詳しく紹介します。
1.農業を始めるには費用はどのくらいかかる?
2.農業で使える補助金・助成金の申請の流れ
3.【新規就農者向け】活用できる補助金・助成金
4.【農業従事者向け】設備投資に活用できる補助金・助成金
5.【農業従事者向け】人材育成に活用できる補助金・助成金
6.まとめ
農業を始めるには費用はどのくらいかかる?
農業を始めるには、土地を借りたり機械や道具を揃えたりなど初期費用がかなりかかる。
これから農業を始める人は、実際どれくらいの費用がかかるのだろうと悩んでいる人は多いのではないか。
ここからは、農業を始めるための初期費用について詳しく解説していこう。
就農するための準備資金
農業を仕事にしたい人のための情報を紹介する全国新規就農相談センターによると、2021年のデータで新規就農にあたって必要な資金の平均は474万4000円ほどである。
会社員として仕事をしていても、これだけの資金を最初につくるのはかなりハードルが高い。
就農資金の確保で悩んでいる人に役立つのが、国や自治体の補助制度である。補助制度を利用すれば、初期費用を抑えられるので経済的な不安や経営リスクを軽減できる。
簡単に申請ができる補助制度もあるので、これから農業を始める人はぜひ有効活用したい。
農業で使える補助金・助成金の申請の流れ
農業で使える補助金や助成金を申請する際の流れには、以下のような流れがある。
・必要な補助金を選ぶ
・申請書類の提出
・審査
・補助金の受領
これらの流れについて、以下で詳しく解説していきたい
必要な補助金を選ぶ
補助金を申請したいと思ったら、まずは農林水産省や地方自治体、農業団体のWebサイトをチェックして自分に必要な補助金を選択する。
自分が考えている農業の計画に合った補助金を選択し、金額と補助金をもらえる条件を把握した上で、申請の準備を進めるようにしたい。
申請書類の提出
必要な補助金が決まったら、次は申請に必要な書類の提出準備をする。
その際、農業の事業計画や見積書など、申請に必要な書類を期限までにしっかり用意するようにしたい。
以前は自治体などに直接出向いて申請する必要があったが、近年はオンラインでも申請が可能になっており、自宅のパソコンからでも申請が可能だ。
審査
必要な申請書類の提出が完了したら、それらの書類の内容をもとに審査が開始される。
その際必要に応じて、追加書類の提出を求められる場合もあるので、その際は速やかに準備しよう。
さらに補助金によっては、農業に対する意欲や経済力などを確認するための面談が行われる場合もある。
面談の結果によっては申請ができないケースもあるので、入念に準備するようにしたい。
補助金の交付
書類審査や面接などをクリアしたら、契約に基づいて補助金が交付される。
ただし補助金の申請に際して必要な研修を受けなかったり、最低でも1年近く就農しなかったりした場合は、補助金の返還を命じられる可能性があるので十分に注意したい。
【新規就農者向け】活用できる補助金・助成金
新規就農者が活用できる補助金や助成金には、以下のようなものがある。
・就農準備資金
・経営開始資金
・青年等就農資金
これらの補助金に関して、以下で詳しく解説していこう。
就農準備資金
就農準備資金とは、次世代の農業者を目指す人に対し、最大2年間就農前の研修を後押しする資金のことだ。都道府県が認めている研修期間で研修を希望する際に交付され、月に12万5000円、年間150万円が支給される。
就農準備資金を申請する場合、1年以上研修に参加して、申請時の年齢が原則49歳以下でなければならない。
また独立を目指す人だけでなく、雇用就農や親元での就農を目指す人にも支給される。その場合は就農から5年以内に、認定新規農業者になることが条件だ。
生活費を支給する他の補助制度と重複して受け取ることができないので、利用する際はよく考えてから申請するようにしたい。
経営開始資金
経営開始資金とは、その名の通り農業を始めて間もない方に支給される補助金のことである。こちらも就業準備資金と同様に、就業時の年齢が49歳以下と定められている。
農業で独立を目指す人のための補助金で、農地の所有権または利用権を交付対象者が有している必要がある。さらに農業経営に関する主催権を有している必要があるなど、申請には細かい条件がある。
親の農業経営を引き継ぐ形でも申請ができるが、農業に5年間従事して新規参入者と同等のリスクを負うと市町村に認められることが条件だ。
交付額は月に12万5000円で、年間150万円が最長3年間支給される。
青年等就農資金
青年等就農資金は市町村から認定新規収納者の認定を受けた人が対象で、無利子資金により営農に必要な機械や施設の整備を支援する補助金である。
年齢制限があり、新たに農業経営を営もうと考えている18歳以上45歳未満の人と、農業の知識や技能を持つ65歳未満の人を対象にしている。
無利子・無担保の借入限度額は3,700万円で、償還期限は17年以内だが据え置き期間が5年間あるのが強みだ。
資金の使い道は、農業用機械の購入や施設の整備以外にも、農地の改良や家畜の購入、果樹の食栽などにも使用できる。
【農業従事者向け】設備投資に活用できる補助金・助成金
補助金や助成金には、すでに農業に従事している人が使えるものもいくつかある。
主な補助金・助成金は次の3つだ。
・農地利用効率化等支援交付金
・強い農業づくり総合支援交付金のうち先駆的モデル支援タイプ
・農業経営基盤強化準備金制度
これらの補助金・助成金に関して以下で詳しく解説していきたい
農地利用効率化等支援交付金
農地利用効率化等支援交付金は、農業の経営改善に取り組みたいと思う人を対象に、必要な農業用機械と施設の導入を支援する交付金である。将来、地域の農業を担う者と認められる人に交付される。、農地の集約によって大規模経営を目指す人を支援するのが目的だ。
農地利用効率化等支援交付金は、「融資主体支援タイプ」と「先進的農業支援確立支援タイプ」の2つに分類される。融資主体支援タイプの補助率は事業費の10分の3で、配分上限額は1経営体あたり300万円である。
先進的農業経営確立支援タイプは、上限金額が引き上げられて個人では1000万円、法人は1500万円が支給される。
この他、農業者が組織する団体に支給される「条件不利地域支援タイプ」もあり、補助率は事業費の2分の1以内、農業用機機械は3分の1以内となっている。
強い農業づくり総合支援交付金のうち先駆的モデル支援タイプ
強い農業づくりを支援する「先駆的モデル支援タイプ」もあり、安定した生産供給のための機械導入のサポート制度がある。生産予測システムの導入や新たな栽培技術の導入など、既存の農業事業で新たな技術を導入したい人に最適が補助金だ。
また施設整備にも利用可能で、農産物処理加工施設や集出荷貯蔵施設の整備に利用できる。
推進事業の補助率は定額または2分の1以内、整備事業の補助率は2分の1以内と定められている。
農業経営基盤強化準備金制度
農業経営基盤強化準備金制度とは、計画的に農業経営の基盤強化を図る農家を対象に、税制面で支援する制度だ。
青色申告で確定申告をする認定農業者や、認定新規就農者で市町村が策定した地域プランにおいて将来の農業を担う人が対象とされ、積み立て額を個人で必要経費にできる。
交付金を活用して、農用地や農業用の機械・固定資産を取得した場合、圧縮記帳が可能となる。
農地や採草の牧草地、取得価格が30万円以上の農業用機械や建物が資産の対象となるが、トラックやフォークリフトなど運搬用機械は対象外だ。
【農業従事者向け】人材育成に活用できる補助金・助成金
補助金や助成金にはこの他にも、農業従事者を対象にした人材育成に活用できるものもいくつかある。よく知られている補助金・助成金は以下の2つだ。
・新規就農者育成総合対策のうち雇用就農資金
・農業労働力確保支援事業
農業で人材育成を考えている方は、ぜひ参考にしていただきたい。
新規就農者育成総合対策のうち雇用就農資金
雇用就農資金とは、農林水産省が実施している新規就農者育成総合対策のことである。農業に必要な技術やノウハウを習得させる研修をする、49歳以下の就農希望者を雇用する法人が交付の対象だ。
資金を交付できるには、正社員としての従業員雇用や就農者の農業への定着率、農業経験が5年以上ある役員や指導者を研修指導者としておくことなどの条件を満たす必要がある。
就農者にも条件があり、年齢は50歳未満で採用されてから4ヶ月以上1年未満であること、農業経験が5年あることなどが義務付けられている。
支給期間は最長4年間で、金額は1年間で最大60万円となっている。
農業労働力確保支援事業
農業労働力確保支援事業とは、農業における労働力確保の推進や、他産地・他産業との連携による労働力確保を目的とした支援事業である。
労働力を確保するための人材募集のアプリ活用方法の講習や、従業員のマッチング支援の取り組み、応募した人に支払う交通費や宿泊費が支援対象になっている。
期間は最大2年間で、補助金は年間350万円が上限となる。
人手不足で悩んでいる農業法人や大規模農家には、おすすめの制度である。
その他の補助金・助成金については農業経営支援策活用カタログ2024をご覧いただきたい。
まとめ
農業経営には多額の費用が必要だが、補助金をうまく活用すれば金銭面でサポートしてくれる。国や自治体ごとにさまざまな補助制度があり、中には申請が簡単なものもある。
これから就農を考えている方は、今回の記事を参考にして補助金を申請してみよう。