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畜舎の暑熱対策に! 濡れない霧=ドライフォグシステム導入の効果を聞いた

超微粒子の濡れない霧を発生させて、気化熱により冷却する「ドライフォグシステム」が、畜舎向けの暑熱対策として広がっている。同システムを取り入れた牧場の声をレポートする。

微細な霧を噴射する
「ドライフォグシステム」

猛暑日の増加により、畜産への影響も深刻化している。畜舎向けの暑熱対策として注目されるのが、気化しやすい微細な霧を噴射し、周囲を濡らすことなく気温を下げることができる「ドライフォグシステム」だ。

クボタの「ドライフォグシステム」はこれまで施設園芸分野で使われてきた。高い水圧で超微粒子の霧を均等散布し、効率よく気化熱による冷却を行う、というものだ。快適な環境を実現することで、暑熱ストレスからの体調回復、夏バテ予防、採食量の回復、乳量回復、疾病発生率の減少、受胎率低下の改善などの効果が期待できる。大型扇風機と併用することで、さらに暑熱対策効果を上げることも可能。

メリット① 空気との接触面積が大きいので気化しやすい

メリット② 超微粒子の霧なので、牛体や敷料、飼料、牛床牛道は濡れない

ミストの粒が大きいと、ミストが障害物に衝突した際に破裂して濡れてしまう。ドライフォグは超微粒子のため衝突しても破裂せず、濡れない。

 

メリット③ 牛だけでなく作業者にも快適な環境に

 

REPORT 1
温度を下げるには完璧!
牛の様子にも変化アリ

青森県で乳用牛を飼育する大森カウステーションでは、ドライフォグシステム導入前も、置き型の扇風機、開口や換気扇の設置など様々な暑熱対策を施していた。製品実演会でドライフォグシステムの細霧冷却を体感し、乳牛の体や敷料を濡らさず効果が期待できると導入を決めたという。

実際の効果について、「温度を下げるには完璧。やる価値はあると思う。餌の食い込みや乳量、受胎率も違ってきている」と、大森敏夫代表。日々飼養管理に取り組む大森義秋さん・真紀子さん夫妻は、当初懸念していた体や敷料の濡れについて、「敷料も牛体も濡れず、カラッとした状態で牛が過ごせてよかった」と評価する。

ドライフォグをONにして、気持ちよさそうに牛が顔を上げた様子。

「暑さによる分娩事故が少なくなったり、調子の悪かった牛の食欲が高まって元気を取り戻したりと、効果を実感しています。それに、さわやかな山頂に来たような感じで、気持ちよく仕事ができました。今後、増設も検討しています」。
 

ドライフォグシステム導入による牛舎の気温変化


大森カウステーション牛舎にて(試験期間:2020年8月18-20日)※(株)クボタ調べ

 
ドライフォグシステムを導入した区画では牛舎内気温は平均して約3℃低下していることが確認された。過酷な暑さの中でも、快適な環境をつくりだせたことがわかる。
 

大森カウステーション


左から:大森敏夫さん、大森真紀子さん、大森義秋さん

青森県上北郡六ヶ所村
●乳用牛
●飼養頭数:約380頭(搾乳牛約200頭、子牛約50頭 ※預託中の育成牛も含む)
●牛舎:つなぎ飼い(約80頭)、フリーストール(約120頭、搾乳ロボット×2、餌寄ロボット×1)
※ドライフォグシステムはつなぎ飼いの27頭分の区画に設置
●設定温度:25℃以上で通常稼働

 

REPORT 2
期待以上の効果を実感
作業者にも快適な涼しさ

北海道の櫛部文治さんの牛舎では、夏季の温度を下げるために暑熱対策が課題となっていた。暑熱対策について調べているときにクボタのWEBページでドライフォグシステムを知り、導入の検討を始めた。

「導入後は、既設ファンとの相乗効果で牛舎の奥まで涼しくすることができました。牛舎内の温度は外気温よりかなり低くでき、当初懸念していた餌や敷料の濡れも全く問題がなく、期待以上の効果を実感しました。作業者にとっても快適な環境で、酪農ヘルパーの方にも喜ばれています」。

櫛部文治さん


北海道常呂郡佐呂間町
●乳用牛
●飼養頭数:搾乳牛約60頭
●牛舎:つなぎ飼い
●設定温度:23℃以上で通常稼働
 

REPORT 3
夏場の牛舎環境を改善
牛の食欲がアップ

福島県で肉用牛を飼育する山田雅彦さんの畜舎でも、ドライフォグシステムを導入している。

「夏場に牛の息が荒く暑がっていることに気づいたので、暑熱対策として換気扇を設置していました。でも、換気扇だけでは牛舎内の気温はなかなか下がらず……。解決策を探していたときに『クボタのオンライン展示会』でドライフォグシステムを知って、問い合わせたのがきっかけでした。導入してからは、牛はもちろん作業者も快適に過ごせるようになりました」。

導入により夏場の牛舎環境は改善。餌を食べる量が増え、静かに横になる時間が多くなったとのことだ。

山田雅彦さん


福島県南相馬市
●肉用牛
●飼養頭数:約70頭
●牛舎:フリーストール
●設定温度:26℃以上で通常稼働

 

問い合わせ

株式会社クボタ
TEL:0120-131-391
※平日9:00~16:00(12:00~13:00を除く)


イラスト:岡本倫幸

AGRI JOURNAL vol.23(2022年春号)より転載

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