「バッテリー式刈払機」の選び方。パワー、ハンドル、刃はどう選ぶ?

購入を検討しているけれど「高価な買い物だから絶対に失敗したくない!」という方に向けて、バッテリー式刈払機の選び方を解説。基礎知識や選び方を、紹介しよう。

メイン画像:©zoff/Shutterstock.com

<目次>
バッテリー式刈払機は今が買い時!?
まずはここを見る!購入の際のポイント
point 01 「V」と「Ah」って?
point 02 ハンドルは3種類
point 03 プロ向けの刃は「金属刃」と「ナイロンコード」
パワー、ハンドル、刃どう選ぶ?
現場用と家庭用 パワーとバッテリー容量はどのくらい必要?
用途別おすすめのハンドルは?
刈刃は、迷ったら 金属刃(チップソー)を選ぶべし!
「重量バランス」も要確認!

 

バッテリー式刈払機は
今が買い時!?

刈払機を含めた小型屋外作業機械(Outdoor Power Equipment。以下、OPE)の電動化が止まらない。OPEの動力源は長らく、軽量ハイパワーが自慢の2ストロークエンジンの独壇場であった。

ところが近年は、脱炭素など環境規制の強化やESG投資の流れを背景に、電動化が一気に進んだ。農業生産の現場でも、登場当初は非力とされていたが、ボタン一つで始動できる操作性の良さに加え、静粛性やメンテナンス性、混合ガソリンを扱う手間がないこと、さらに作業時に排ガスを出さないといったメリットが評価され、導入が広がっている。

さらに、加速させたのがバッテリーの進化である。各社は40Vクラスを中心に高電圧化を進め、さらに複数のOPEでバッテリーを共用できる仕組みを整えてきた。こうして今、バッテリー式OPEは弱点を大きく克服した。だからこそ今、バッテリー式刈払機は「買い」のタイミングなのである。
 

まずはここを見る!
購入の際のポイント

point 01 「V」と「Ah」って?

40Vクラスを一つの基準にスペックから判断できない性能も大事
バッテリー式刈払機を選ぶうえで基礎知識として覚えておきたいのが「V(ボルト)」と「Ah(アンペアアワー)」。「V」とは電圧であり、モーターを回す力の強さに関係し、高いほどパワーが出やすい。「Ah」はバッテリー容量を示し、どれだけ長く使えるかの目安となる。

エンジン式に置き換えると、「V」はエンジンのパワー、「Ah」はガソリンタンク容量に近いイメージ。パワーが強く、タンクが大きいほど仕事がはかどるという関係だ。実際の仕事量は「電圧(V)×電流(A)×時間(h)」で決まるから、理論的には、これらの数値が大きいほどハイパワーかつ長時間の作業が可能である。

ただし、電圧が高い=ハイパワーではないのが、難しいところ。実際の作業性能は、モーターと制御設計で決まるからだ。特に制御は数字として表記するのが難しいから、実際の性能や使い勝手をスペックから判断するべきではない。

それでも、農業用途では各社が強化している40Vクラスが一つの基準となる。また、18Vクラスは軽量で取り回しに優れ、家庭用機とのバッテリー兼用や軽作業に適している。

point 02 ハンドルは3種類

「環境・時間・身体への負担」トータルで判断する
刈払機の購入を検討すると、様々な形状のハンドルがあることに気付くはずだ。このハンドル形状が左右するのが操作性である。代表的なのは、Uハンドル(両手ハンドル)、ループハンドル、ツーグリップの3種類だ。

Uハンドル

棹にU字型のハンドルを搭載したもので、両手でしっかり保持でき、最も汎用性が高い。一方で、3種類のなかでは最も重くなる。

ループハンドル

取り回しが良く、狭小地や障害物の多い場所で扱いやすいが、刃が作業者に近くなるため注意が必要だ。

ツーグリップ

棹を直接持つタイプで、軽量機に多く、細かな作業や短時間作業に適するが、作業者に振動がモロに伝わるので注意が必要。

point 03 プロ向けの刃は「金属刃」と「ナイロンコード」


草質や環境に合った刃選びが効率と安全性を両立
最も一般的なのは金属刃(チップソー)である。ノコギリのような細かい刃がついた円盤型で、切断力と耐久性に優れる。一方で、石など障害物が多い場所ではキックバックに注意が必要だ。

ナイロンコードはナイロン製の紐で、柔軟性があるため石や障害物の多い場所でも安全性が高いが、消耗が早い。その他にも軽量で扱いやすい樹脂刃は、キックバックも起こりにくいが、摩耗・損傷しやすく軽作業向きである。
 

パワー、ハンドル、刃
どう選ぶ?

現場用と家庭用 パワーとバッテリー容量はどのくらい必要?


©zoff@Shutterstock.com

農業生産の現場で主力機として使う刈払機を選ぶ際は、「V」と「Ah」を基準に考えたい。パワーと稼働時間のバランスが重要だからだ。目安は36V以上、40Vクラスを選びたい。これによりエンジン式からの乗り換えでもパワー不足を感じにくい。

バッテリー容量は4Ah以上が実用的である。連続作業を想定するなら予備バッテリーの併用が前提となる。広い圃場では「高電圧+複数バッテリー」が基本であり、充電時間や充電器の性能も合わせて確認しておきたい。家庭用との併用であれば、18Vクラスも選択肢となる。

用途別おすすめのハンドルは?


©zoff@Shutterstock.com

用途に応じたハンドルを選ぶことで、作業効率を高め、疲労を軽減できる。畦畔や広い面積を均一に刈る場合には、最も普及しているUハンドル(両手ハンドル)が適している。長時間作業でも姿勢が安定しやすく、迷ったらUハンドル(両手ハンドル)で間違いない。


©Olga Leschenko@Shutterstock.com

一方、果樹園や傾斜地、狭小地、障害物の多い場所では、ループハンドルが扱いやすい。細かな動きへの対応のしやすさは、ループハンドルが抜きん出ている。ツーグリップは細部の作業や短時間作業向きであり、用途が限定される。現場の地形と作業内容を具体的にイメージして選ぶことが重要である。

刈刃は、迷ったら 金属刃(チップソー)を選ぶべし!


©Atstock Productions@iStock

基本は金属刃(チップソー)である。圃場や畦畔の雑草には硬いものも多く、耐久性と切断力、経済性を考えると最も汎用性が高い。近年はバッテリー式との相性を高めるため、低抵抗タイプや軽量タイプの金属刃(チップソー)も登場している。モーターへの負荷を抑えつつ回転を維持できるため、バッテリー消費を抑えながら作業効率を確保しやすい

石が多い場所や施設周辺、車両の往来がある場所ではナイロンコードが有利であるが、作業効率は落ちるため用途を限定して使いたい。樹脂刃は主力用途ではなく家庭用といった軽作業に適している。作業場所ごとに刃を使い分けることが、結果として作業時間の短縮につながる。
 

「重量バランス」も要確認!


©zoff@Shutterstock.com

購入を決断する前に確認すべきポイントは、重量バランスである。バッテリーの搭載位置やハンドル形状によって全体のバランスが変わり、長時間作業時の疲労に大きく影響する。

例えばバッテリー背負い式は、重量物を振り回す必要がなくなる。作業負担の軽減を重視するなら、選択肢に入る。可能であれば、購入前に実機を手に取り、動かして確認したい。

また、現在は複数のOPEでバッテリーを共用するのが主流である。チェンソーやブロワー、トリマーなどとの互換性を踏まえて機種を選べば、投資効率が高まる。加えて、アフターサービスや部品供給体制も確認しておくことで、長期的に安心して使える機種を選ぶことができるはずだ。


文/川島礼二郎

AGRI JOURNAL vol.39(2026年春号)より転載

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