最新技術を生で見たい! 栃木でスマート農業研修会開催
2017/07/08
スマホで簡単!
水管理・圃場水管理システム
続いて行われたのが「農業・食品産業技術総合研究機構」による実演。水田の給水バルブと落水口に自動で給水・排水が可能となる制御装置を設置。それに無線通信と携帯通信を行う基地局、モニタリングや水位設定を行うサーバソフトとで構成する、水管理システムの実演である。
制御装置至近に設置されたセンサが、あらかじめ指定しておいた水位と異なる状態であると検知すると、データは基地局を経由して作業者の情報端末(スマホ・タブレット・PC)に飛ばされる。データを確認した作業者は、給水バルブまたは落水口を遠隔操作して給排水を行うことができ、水位を保つことができる仕組みだ。
この水管理システムには極めて大きな可能性がある。データがサーバに蓄積されるからだ。実演者の農業・食品産業技術総合研究機構・若杉氏によると、将来的には、品種・気象データなどを設定・連携させることで、水管理を最適な状態で自動実行できるという。
実演では、実際にタブレット端末から指示を出して、給水を行った。指示から数分後、給水バルブが開き、確かに徐々に水が流れ込む様子が見られた。水管理は稲作労働の3割を占める。それから解放されるということで、これもまた農業従事者の関心が高かった。
マルチロボットシステムによる
耕うん作業
最後は「北海道大学」による、3台の無人トラクタの協調作業が行われた。無人トラクタは小型であるため、必要となる作業や圃場面積に応じて、台数を増減させることができる、というメリットがある。またトラクタが小型であることから、生育を阻害する要因となる土壌踏圧が少ないのもメリットだ。
本技術が該当するレベル3の自動化の実用化は2020年以降ということで、今回行われた他の実演と比較して若干先の技術ではあったが、3台の無人トラクタが協調する様は壮観そのもの。「他の作業ができるのは嬉しいよな!」という声が聞かれた。
最新技術も、
実際に目にすることで実感が湧く
主催した栃木県農政部によると、今回の研修会は定員250名であったが、なんと400名以上の参加者があったという。参加者は、農業従事者はもちろん、農業高校・大学校の生徒・教職員のほか、農協職員や地方自治体の関連部署職員、それにメーカー技術者など、多岐に渡るという。農業関係者の最新技術への関心は極めて高いのだ。
参加者からは「無人トラクターが作業できるなんて信じられなかったが、本当に使える技術なんだね」、「市販されたら購入したい!」という声が聞かれた。本研修会のような実演付きの研修会は多くないが、身近で開催される機会があれば、是非、参加することをおススメしたい。
text:REGGY KAWASHIMA