低価格の土壌の見える化システムが登場! 購入型クラウドファンディングで
2020/02/04
株式会社Momoは、手軽に使える農業IoTシステム「Agri Pallet(アグリパレット)」の予約販売をクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」にて、2019年12月25日より開始。スタートからわずか2日で目標金額の200万円を達成するなど、今話題のスマート農業システムだ。
お手頃価格のスマート
農業システムが登場
神戸のベンチャー企業Momoは、JAグループのオープンイノベーション推進組織である「AgVenture Lab(アグベンチャーラボ)」などの支援のもと、他のプロジェクトからの部品の共通化や、ハードウェア構成を極限まで削ぎ落とすことにより、従来の無線型センサの半額以下の価格を実現。スマート農業システムの廉価化に成功した。
Makuakeでの予約価格は、2万4,800円から(セット内容によって金額が異なる)。Makuakeから購入した場合は、ウェブサービスの利用料が6ヶ月間無料(7ヶ月目以降は月額980円(税別))。クラウドファンディングのプロジェクトは2月28日に終了する。将来的には、スマホ感覚で使用できることを目指す。
Agri Palletとは
Agri Paletteは、植物に必須の土壌(土壌水分量・土壌温度・土壌EC・土壌Ph)、空気(気温・湿度・二酸化炭素濃度)、日照量のデータをセンサにより取得。ゲートウェイ(受信機)を通じてウェブ(データベース)に記録し、アプリで可視化するセンサーシステムだ。
センサが上記8つのデータを収集し、直接通信で600m(中継機を足せばさらに600m。トマトなどの障害物があっても中継機でホップが可能)送信し、受信機がWi-Fiでデータをサーバに上げる仕組み。収集されたデータはウェブサイト上に表示され、栽培や農作業などに活用できる。
注目はその価格だ。Agri Paletteを使用するために購入するのは、センサ本体とゲート、その他、Wi-FiルーターまたはポケットWi-Fiが必要。センサは土壌合体センサ、土壌PHセンサ、温湿度センサ、照度センサ、CO2センサの5機種がある。
例えば、温湿度のデータを蓄積、見える化したい場合は、センサ本体とゲートウェイのミニマムセットで初期費用5.5万円と従来のセンサの半額ほどの値段で導入できる。センサはいずれも電池駆動で、約1年間電池の交換が不要の省力設計を採用。
使い方はとても簡単で、ゲート側のWi-Fiを設定してセンサ本体の電源を入ると、データがクラウドに送られる。データは専用サイトにログインするだけで閲覧が可能だ。パソコンやIT機器の知識がなくとも、手軽に始めることができる。
農業分野への進出を
考えている企業、農業関連企業も
新規ビジネスのチャンス
一方、農業分野でのビジネスを考えている企業は、Agri PaletteのAPIを使用することで、デバイスを開発することなくアプリケーションだけの開発・提供が可能になる。すでに農業分野でビジネスを展開している農業関連企業も、さまざまなアプリケーションを活用した新規ビジネス創出のチャンスが掴めるかもしれない。
例えば、蓄積された土壌や日照に関連するデータを活用して、種苗メーカーが圃場に適した種を提案したり、肥料メーカーが施肥のタイミングと適した肥料を提案したりといったことも可能になる。
Agri Paletteの登場で、スマート農業がさらに身近になりそうだ。
DATA
TEXT:高橋みゆき