スマホで誰でも簡単土壌測定! JA全農『簡易土壌分析ツール』で快適な農作業を
2020/09/11
JA全農の「簡易土壌分析ツール」は誰でも手軽に、そのうえ正確に土壌分析が可能である。だが、本ツールの魅力はそれだけでない。スマート農業の起点になる可能性も秘めているのだ。
作業効率化を実現する
最新土壌分析ツール
6月下旬よりJA全農が発売を開始すると発表した『
土壌の状態を知ることは大切であるが、手間やコストなどといった様々な理由から、診断を行わずに作付けを行っている生産者が少なくない。しかしそれでは、土壌養分の不足や過剰を把握できないため、施肥が非効率になってしまう。作物の生育にとって最適な施肥、適正な施肥によるコスト削減ができず、また不要な作業を行うこととなる。
そうした背景のもと、JA全農が発売を開始したのが『簡易土壌分析ツール』だ。土壌分析用の試験紙による手軽さをそのままに、スマートフォンを利用することで、誰でも簡単に正確な分析を可能にする。『スマートみどりくん』の色味は『Pico』により1秒足らずでスキャンされ、測定結果は無線(Bluetooth)通信によりスマートフォンアプリに送信される。
アプリには測定項目(pH、硝酸態窒素、水溶性リン酸、水溶性加里)の分析濃度別に色味が登録されており、これまで人間の目視により判定していた微妙な色の違いが瞬時に数値化できる。
技術いらずで
素早く正確な土壌分析を!
本ツール最大の特徴は手軽さにある。作業の流れを見てみよう。まず、分析したい土壌試料5cc採取しプラスティック容器に入れる。続いて、市販の精製水(蒸留水)を50ccのラインまで加えて1分間激しく振とうする。
そして懸濁液に試験紙チップを3秒間(PKは10秒間)浸して取り出し1分間(硝酸態窒素は30秒間)待つ。資料の処理はコレだけ! あとは試験紙チップを『Pico』に読み取らせれば、スマートフォンの画面上に結果が表示される。
このJA全農の『簡易土壌分析ツール』で得られた分析データはスマートフォンに保存されるから、圃場別や時期別の分析結果をいつでも確認できる。これも特長の一つである。ところが今回の取材で、さらに興味深い話が聞けたので紹介しておこう。この『簡易土壌分析ツール』での測定データが蓄積したら……それをより上手く活用したいと考えるのが自然だ。
そこでJA全農では、この『簡易土壌分析ツール』を自社が提供している営農管理ツール『Z-GIS』と連携できないか、既に検討しているそうなのだ。
ご存知の通り『Z-GIS』とは、GIS(Geographic Information System;地理情報システム)を活用して、ほ場の所有者や栽培作物、作業記録などのデータを入力すると、インターネット上の地図にその情報を表示させることができるシステムである。もし、これが実現すると……『簡易土壌分析ツール』を起点として、農業のスマート化がグッと進展することになる。
DATA
文:川島礼二郎