農家にこそ挑戦してほしい。プレスリリースと生成AIの上手な付き合い方|ゼロからはじめる農家の広報【5】
2026.07.16
農学部卒のフリーランス広報がお届けする、農家のための広報の入門コラム。第5回の今回は、広報の基本、プレスリリースについてご紹介。毎日1000件以上のプレスリリースが配信される中、農家からの発信は意外と少ない。だからこそ、農家自身が情報を届ける価値がある。メディアを通して、世の中に届けたい情報があるなら、ぜひプレスリリースの作成&配信に挑戦して欲しい。
1.農家にこそ、プレスリリースを書いて欲しい
2.農家がプレスリリースを書くのはどんなとき?
3.プレスリリースを作成しよう
4.現役広報担当の生成AIの上手な活用
5.配信時の気遣いも忘れずに
前回記事▶SNSインフルエンサーとの上手な付き合い方。依頼方法から投稿完了まで|ゼロから始める農家の広報【4】
農家にこそ、プレスリリースを書いて欲しい
農家にこそ、プレスリリースを書いて欲しい。――これは、同じ農業関係の広報仲間との広報談義で出た話題だ。
農家がプレスリリースを書く?
あまり想像ができないし、「そんなパソコンに向かってリリースを書いている時間なんてない!」と一蹴されてしまいそうでもある。しかし、筆者はここに重要なポイントがあると考えている。
今では、PRTIMESや@Pressをはじめ、さまざまなリリース配信サービスが存在し、プレスリリースを容易に配信できるようになった。その結果、例えばPRTIMESでは、1日あたりの配信数は約1,100件にものぼる。メディア関係者はその中から有益な情報を探すのだが、当然全て読むわけではないし、骨が折れる仕事であることは言うまでもない。

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001487.000000112.html
その無数のリリースの中で、農家からの配信があったら、珍しいなと報道関係者の目に留まる可能性が少しだけ高まるのではないか?と、筆者や広報仲間は考えたのである。
農家がプレスリリースを書くのはどんなとき?
プレスリリースを書くタイミングの判断基準は、自社にとって重要であるかではなく、世の中に知ってほしい情報であるかだ。単なる日常の業務報告や広告色が強い内容、新規性・ニュース性が乏しい内容は好まれないし、配信時の審査で差し戻しになる可能性がある。
プレスリリースを書くなら、こんなネタ・切り口を提案したい。

プレスリリースを作成しよう
プレスリリースの書き方は、ネットで検索するだけでもさまざま紹介されているが、筆者が常に考えているのは、➀分かりやすい表現で簡潔に ➁写真素材は高画質で ➂全体の体裁を整える、の3つだ。また、全体のボリュームについても、A4用紙2枚以内を心がけている。レイアウトのイメージはこちら。

現役広報担当の
生成AIの上手な活用
広報は案外孤独なポジションで、タイトルや構成に一人で悩んでしまうことが多い。そんなときには、生成AIを上手に活用することをおすすめする。生成AIへ考えてもらうときは、「書いて」伝えるのではなく、一緒に編集会議をしている相手と思って指示することがポイントだ。
具体的に、ChatGPTを使って、福岡の梨農家が”梨狩り開き”の日に梨ジュースをプレゼントするリリースのタイトルや構成を考えてもらった。
【1】基本プロンプト(指示内容)のテンプレート
以下の情報をもとに、メディアに取り上げられやすいプレスリリースの構成とタイトル案を考えてください。
【事業者情報】
【サービス内容】
【背景】
【商品の特徴】
【社会的意義】
【ターゲット】
以下の順番で提案してください。
➀ニュース性のあるタイトル案を5個
➁サブタイトル案を5個
➂プレスリリース全体の構成
➃「背景」で強調すべきポイント
➄メディアが注目しそうなポイント
➅数字で示したほうがよい項目
➆取材につながりやすいストーリー
実際に、ChatGPTへ指示をすると下記のような提案が返ってきた。
ChatGPTからの提案(一部抜粋)
1.「果物離れの若者にも梨を」スタッフの賄いから生まれた100%梨ジュース、梨狩り開きで無料提供
2.アルバイトの人気メニューが商品に 久留米市の梨農家、梨狩り開きに合わせて梨ジュースを初披露
◾️プレスリリース全体の構成
【タイトル】
【リード文】
8月10日の梨狩り開きと来園者プレゼントの概要
【背景】
・猛暑の中で来園するお客様への感謝
・若者の果物離れ
・スタッフの賄いから誕生した梨ジュース
【商品の特徴】
①自社栽培の梨を100%使用
②果肉感を残した飲みごたえ
③地元加工会社との連携
【梨狩り開きの概要】
日時、場所、プレゼント内容
【今後の展望】
若者や子どもたちに果物をもっと身近にする取り組み
◾️メディアが注目しそうなポイント
・農家のおもてなし
・賄いメニューから生まれた商品
・若者の果物離れ対策
・100%梨ジュース
◾️数字で示したほうがよい項目
・来園者プレゼント本数(先着○○本)
・使用する梨の量(kg)
・年間来園者数
・栽培面積
・創業年数
・1本あたりに使用する梨の個数
◾️取材につながりやすいストーリー
「アルバイトの賄いから始まった一杯」
スタッフのために作っていた梨ジュースが好評となり商品化。
背景には、若者の果物離れへの危機感があった。
8月10日の梨狩り開きでは、暑い中足を運んでくれる来園者への感謝を込めて、100%梨ジュースをプレゼント。
「梨を食べる」だけでなく「梨を飲む」という新しい楽しみ方を提案し、子どもや若い世代にも果物の魅力を伝えていく。
配信時の気遣いも忘れずに
最後に、プレスリリース配信時の気遣いも忘れずに押さえておきたい。
前述で紹介したように、メディア関係者は毎日無数のプレスリリースを受信している。良いな、記事にしたいなと感じたリリースがあっても、写真素材の画質が悪かったり、参考になるページのURLがなかったりすると、メディア側の手間を煩わせることになる。取材機会損失になることもあるだろう。

農家の日常には、外から見るとニュースになるネタがたくさんある。だからこそ、「こんなこと発信していいのかな」と遠慮せず、まずは一度プレスリリースを書いてみてほしい。
生成AIを活用しながら、自分の言葉で世の中に届けることが、広報の第一歩になる。

Profile
福岡こむぎ
農学部/作物学研究室(研究作物:パン用コムギ)を卒業。
食・農業領域専門のコンサルティング会社で農家さんのECサイト運用や自社の広報に従事したのち、集客施設の開業&広報チームの立ち上げに携わる。現在はフリーで活動中。
大学時代には、ミャンマーの農村部に長期滞在して農業の資材屋ビジネスに携わったり北海道で酪農の住み込みバイトをしたり。生命力強め。
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