<若手農家の挑戦>東京の農業ならではのメリットは?
2018/01/31
青山ファーマーズマーケットをはじめ、東京のマルシェで評判を呼んでいる若手農家がいる。江戸東京野菜や珍しい野菜を取り扱う、東京都青梅市で新規就農した繁昌知洋さんだ。東京だからこそ出来る、農業の魅力と可能性を聞いた。
東京野菜!朝獲れ!
野菜の美味しさを伝えたい
まだ夜の明けきらない3時半ごろ。青梅にある繁昌知洋(27歳)さんの畑では、ライトを照らしながらの収穫作業が始まる。旬を迎えた野菜は、瑞々しくハリがありツヤツヤとしている。選別・調整した野菜を車に詰め込んで向かう先は、青山ファーマーズマーケットだ。2017年の7月から、月1回程度で出店をしている。
繁昌さんは、江戸東京野菜や全国の在来品種を中心に、年間40品目・100品種ほどを有機農法で栽培している。
「個性豊かな形や味を持つ在来品種には、その野菜が持つ本来の旨味が凝縮されています。今では、生産効率性により栽培量が減りましたが、その美味しさを伝えていきたい」というのが、繁昌さんの考えだ。
マルシェでは、見たことのない珍しい野菜にお客が足を止める。繁昌さんは、調理法やレシピなども提案する。さらに、朝獲れの鮮度の良さも大切なセールスポイントだ。「え!東京で野菜が獲れるの!?」「何時から起きて収穫したの!?」との会話が弾む。また有機野菜にこだわりのあるお客には、堆肥のことや栽培に対する考え方などを詳しく説明することも大切だ。
マルシェを通して
お客さんが「仲間」になる
青山ファーマーズマーケットのほかに、おうめマルシェ、はいじま駅マルシェなどにも参加している。「まえに買ったお野菜が美味しかったから」と言って、あちこちのマルシェに顔を出してくれる顧客のような存在もいるそうだ。
そんな繁昌さんだが、実は2016年2月に就農したばかりの新規就農者だ。お客との信頼関係を築くには「“売る”ことよりも“伝える”ことに力を入れること。“お客さま”ではなく“仲間”になってもらうことが大切です」と説明する。
「“いらっしゃいませ”ではなく、“こんにちは”のイメージですね。それから、マルシェによって客層も違います。それぞれに合わせたコミュニケーションの取り方も必要です」。
また、継続的な関係性を保つために、フェイスブックなどを活用した情報発信も行う。
「東京で農業をする強みは、消費者との距離がとても近いことです。仲間をつくり、仲間に獲れたての本物の味をお伝えしたい。そのために、さらに美味しい野菜づくりに励みたいと思います」。
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photo: Kentaro Kumon text:Tomoko Kotaka