シンプルな操作で人に寄り添う。人と一緒に働く“相棒ロボット”メカロン
2022/02/10
農業ロボットと聞くと、難しい操作が必要なのではと身構えてしまう人にこの「メカロン」をご紹介しよう。シンプルな操作がポイントの、あらゆる場面で役立ってくれる「相棒ロボット」だ。
作業者1人に
1台の普及を目指して
農研機構と株式会社Doogとの共同開発で誕生した『メカロン』は、圃場で作業者に自動追従して重い収穫物などを運搬する「人と一緒に働くロボット」である。
その最大の特徴は「わかりやすさ」。ボタンを押すと前にいる作業者をセンサーで認識してついてくる。作業者が立ち止まるとソフトに減速して止まる。操作がシンプルだから初めて触れる人でも安心して操作することができる。開発者は農家1軒に1台ではなく、作業者1人に1台の普及をめざしている。
梨生産者
井上利明さん
「従来の収穫作業では10kg袋を前後に担いでいました。重くなってくると首が痛くなります。メカロンは常に手が届くところについてきてくれるから、60kgのコンテナ2つが一杯になるまで穫ったらその場で軽トラックに載せ替えるだけ。使っているうちに愛着がわいてき『この子』と呼んでいます。もっとしゃべったり独り言に相づちを打ってくれるようになるといいですね」。
農研機構 農業機械研究部門 無人化農作業研究領域
小型電動ロボット技術グループ主任研究員
塚本隆行さん
「100kgを担げる人は簡単には雇えないけれど、メカロンと一緒なら誰でも100kgを持って移動できます。しかも機械を見た人から『かわいい!』なんて反応が出てくる農業機械は今までにないでしょう。機械なら速さや大きさ、出力などを求められるのが普通ですが、ロボットに求められるのは賢さと愛嬌。人と一緒に働くロボットには人に愛着をわかせる機能が重要だと考えています」。
Point!
操作はボタン1つとジョイスティックだけ
バッテリー駆動式、最高速度で連続6時間稼働。追従機能だけでなく、事前に走路を記憶させておけば自動周回(メモリトレース)することもできる。足回りはクローラタイプだから、平地だけでなく悪路や傾斜の強い圃場でも問題なく走行する。
作業内容に応じてカスタマイズ
年間を通して多用途に働いてくれる
大きい荷台を取り付ける、アタッチメントや荷車を牽引するなど目的に応じて幅広いカスタマイズが可能。果樹だけでなく露地野菜や施設野菜などあらゆる生産現場で、また収穫だけでなく薬剤散布や除草など年間を通してさまざまな作業に活用できる。この日は梨の木の剪定作業を手伝ってくれた。
DATA
メカロン
価格:検証・研究向けに開発サポートなどに応じて直販で250~600万円(税抜)で販売中、全国販売では200万円以下を予定
問い合わせ
株式会社Doog
メールアドレス:web@doog-inc.com
文・写真:横山ナヲト
AGRI JOURNAL vol.22(2022年冬号)より転載
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