腐植酸とは?肥料(堆肥)としてのメリットと効果的な使い方を徹底解説!
2025/08/08

森林などの土壌に含まれる「腐植酸」は、自然が持つ本来のチカラを活かして、品質の良い作物を育てることで近年注目を集めている。今回は、腐食酸の肥料としての特徴や、効果的な使い方について徹底解説する。
腐植酸とは?
フルボ酸やフミン酸などの腐植物質について
腐植酸に含まれるのは、フルボ酸とフミン酸による腐植物質である。
これらは農業や土壌の改良に使用されることが多く、天然有機物としてヘルスケア商品にも使用されている。
そんな腐植酸とは、一体どのような物質なのかを以下で詳しく解説していこう。
基礎知識
腐植酸は、農業などで土壌改良の際に使用される腐植物質の1つである。
主に動植物の死骸や排泄物からできていて、ここから生成された有機物が菌などの微生物によって分解されると腐植酸になる。
腐植酸は、腐植物質として知られるフミン酸とも呼ばれていて、微生物の活性化や植物の発芽などの促進にも効果的だ。
腐植酸はなぜ必要か?
腐植酸は植物の生育を助ける役割があり、近年農業生産で重要視されている物質である。
特に土壌の改良には絶大な効果を発揮し、保肥力を高めて有効微生物の動きを活性化してくれるのが特徴だ。
他にも作物を病害虫から防ぐ効果や、根の生長を促進して養分の吸収を早めるメリットもある。
品質の良い作物を育てるためにも、腐植酸は欠かすことのできないものと言っていいだろう。
腐植酸を用いることのメリットとは?
腐植酸を用いることのメリットは、以下の5つである。
・発根や根毛形成の促進
・肥料成分の流出を防ぐ
・リン酸の固定化を防止
・微生物や菌の活性化
・団粒構造の促進
これらのメリットを、以下で解説していこう。
発根や根毛形成の促進
腐植酸には土壌に投入することで地温が上昇し、発根や根毛形成を促進するメリットがある。
腐植酸には水溶性の生育を促進させる植物ホルモンが含まれていて、根の周辺に局所的に使用すれば根張りを強くできる。
発根や根毛がしっかりと形成されれば、それだけ土壌との接触面積が増えるので、効率的に養分の摂取が可能だ。
肥料成分の流出を防ぐ
腐植酸は、上手く使用することで肥料成分の流出を防ぐことが可能である。
腐植酸であるフミン酸が土壌に含まれていることで植物内の代謝が活性し、根や根毛の生長を促進してくれるので、肥料の成分がしっかりと植物に行き届く。
これによって、より丈夫でみずみずしい作物が育つ。
リン酸の固定化を防止
腐植酸には、肥料の3大要素の一つであるリン酸の固定化を防止する特徴がある。
リン酸を土壌に施肥した場合、土壌にあるカルシウムや鉄分、アルミニウムに吸収され溶けにくくなる。この場合、リン酸は作物に吸収されにくい固定化の状態となり、肥料としての効果を失ってしまう。
腐植酸を使用すれば、リン酸の固定化を防止し植物に吸収しやすくすることができる。
リン酸を効果的に活かすためにも、腐食酸は欠かせない物質である。
微生物や菌の活性化
腐植酸は、土壌中に棲んでいる有効微生物の活性化にも効果がある。
腐植酸は微生物にとって好適なエサであるため、動きを活性化させることにつながるのだ。
ホームセンターなどでは、腐植酸を含んだ土壌の改良に効果的な商品が数多く販売されているので、信頼できるスタッフに相談して購入してみよう。
団粒構造の促進
腐植酸には、土壌の団粒構造を促進させて作物の生長を促す効果もある。
団粒構造とは、土の微細粒子が小粒の集合体を形成していて、土の中に適度なすき間が生まれる状態だ。
この構造によって土は柔らかく保たれ、水はけや通気性がよくなるため、作物を育てるのには最適だ。
腐植酸が入っているおすすめの資材は?
腐植酸が入っているおすすめの資材は、以下の2つである。
・地力の素
・レコルト®
これらの資材について、以下に詳しく解説していきたい。
地力の素
腐植質と呼ばれるフミン酸やフルボ酸を高濃度に濃縮して作られたのが、腐植酸質土壌改良資材「地力の素®」。粉状とペレット状があり、少量施用で素早く土壌を改良し、培養土や堆肥との混合に適しており、育苗用土にも使える。
さらに、より多くの生産者のニーズにマッチした製品として登場したペレット状には、シリーズ共通の高濃度腐植質に加えて、堆肥由来の有機炭素も多く含まれる。
堆肥の併用が不要で、これだけで保水性・排水性・保肥性に優れた土づくりが完了。ペレット加工済みのため、大面積への機械散布に適している。
レコルト®
植物に対して高い活性を持つとされるフルボ酸を含む腐植酸液状複合肥料。デンカ株式会社では50年以上前からバイオスティミュラントの1つである腐植酸を使用した固形肥料の「アヅミン®」を販売しており、「レコルト®」は、その技術とノウハウをもとに、より効果が高く使いやすい。
農作物の根張りがよくなり、さらに高温や塩類などの環境ストレスへの耐性が高まる。その結果、育成健全化や品質向上が期待できる。
まとめ
今回の記事では、腐植酸を肥料として使用するメリットや効果的な使用方法について解説した。
腐植酸は土づくりに欠かせない物質であり、根の生長促進や土壌の保肥力を高める効果がある。腐植酸を補給するための土壌改良資材は、ホームセンターなどで多くの種類が販売されているので、信頼できる販売スタッフに相談して選ぶのがおすすめだ。
今回の記事を参考にして、腐植酸をさまざまな作物の栽培に活用してみよう。
監修:山門昭雪
Xアカウント:@yasaidaisuki6
野菜と多肉のぴー農園園主 幼いころから祖母の畑で遊び、国立T大学農学部卒。種苗会社で育種、産地開発、園芸相談などを担当。土壌医。