【ナス編】症状別で見る!生理障害・病虫害の原因と予防の基礎知識

家庭菜園でも1株で100個以上収穫できることから人気のナス。今回は、ナスの生理障害・病害虫を症状ごとに、その原因を見ていく。生理を理解し、適温・適湿・適量肥料などを守って、失敗しないナス作りを目指そう。

メイン写真:©yamaoyaji/Sutterstock.com

ナス栽培を失敗させない
知っておきたい生理障害と病虫害対策

©Esin Deniz/Sutterstock.com

「親の意見と茄子(なすび)の花は千に一つも仇(あだ)はない」といいますが、ナスの花は3割くらい落花します。生理を理解し、適温、適湿、適量肥料などを守れば、家庭菜園でも1株で100個以上収穫できます。

本記事ではナス栽培の悩みを解決し、失敗しないナス作りのために、生理障害や病害虫の予防と対策についてご紹介します。

<目次>
1.【生理障害】発芽不良
2.【生理障害】生育不良
3.【生理障害】着果不良
4.【生理障害】小果
5.【生理障害】着色不良
6.【生理障害】果皮の硬化(石ナス)
7.【病害】しおれ
8.【病害】斑点
9.【病害】モザイク
10.【病害】モザイク
 ―チャノホコリダニ
 ―アブラムシ
 ―ニジュウヤホシテントウ
 ―ハスモンヨトウ
 ―アザミウマ
 ―ハモグリバエ
 ―タバコガ

 

【生理障害】発芽不良

©Erika Norris/Sutterstock.com

原因①:温度不足

発芽適温は25~30℃(最低10℃~最高35℃)です。20℃以下では発芽が大幅に遅れます。早春のタネまきは、保温マットなどを利用して発芽適温を確保します。

原因②:過湿

発芽には温度、水、空気(酸素)が必要です。土のすき間がいつも水で満たされていると、酸素欠乏になってタネが死んでしまいます。水のやりすぎに注意します。

【生理障害】生育不良

©Lecker Studios/Sutterstock.com

原因①:連作障害

同一の畑に同一の野菜を続けて栽培すると、その野菜を好む病気や害虫が発生しやすくなります。特定の微量要素が吸われ、欠乏症になることもあります。ナスだけでなく、トマトやジャガイモなどのナス科野菜の連作は避けます。

原因②:低温

インド原産の高温性野菜で、生育適温は20~30℃です。15℃以下になると生育が鈍り、10℃以下では生育が停止します。

原因③:過湿

土壌は固相(固体)、液相(水)、気相(空気)で構成されています。土壌のすき間(気相)がいつも水で満たされていると、酸素欠乏になって根が枯死します。水はけの悪い畑では、高畝にしたり排水溝をつくります。完熟堆肥を十分施して、水はけと水もちのよい団粒構造の畑にします。

【生理障害】着果不良

©Kiran Nagare/Sutterstock.com

原因①:肥料不足

同じナス科のトマトやジャガイモに比べると多肥を好みます。肥料不足になると枝の伸長が弱くなり、落花が多くなります。肥料切れしないように半月おきくらいに追肥をします。そのときに土寄せして通気をよくします。

原因②:乾燥

乾燥に弱く、水分が不足すると落花しやすくなるので、完熟堆肥を十分施して団粒構造の土壌をつくり、水もちと水はけをよくします。敷きわらやマルチは乾燥を防ぐ効果があります。

原因③:なり疲れ

一度にたくさんの果実をつけると、株への負担が増し、落花が多くなります。果実がつきすぎたときは、摘果や若どりして株への負担を軽くします。

【生理障害】小果

©VVVproduct/Sutterstock.com

原因:多着果

栄養成長(茎葉が大きくなること)と生殖成長(花や実がつくこと)が同時進行します。株ができないうちに果実がつきすぎると、果実の肥大が止まったり、枝の伸びが悪くなったりします。早めに摘果して茎葉の成長を促し、残った果実を大きくします。

【生理障害】着色不良

©Hendri kumbang/Sutterstock.com

原因①:水分不足

土壌が乾燥すると肥大が進まず、果皮がつやのない「ボケナス」になります。「ボケナス」は回復しないので摘み取ります。完熟堆肥を十分施して団粒構造の土壌をつくり、水もちと水はけをよくします。敷きわらやマルチは乾燥を防ぐ効果があります。乾燥が続くときは水やりをします。

原因②:光線不足

ナスの紫色の色素はナスニンというアントシアン系色素で、強い光に当たることで着色します。葉が茂りすぎて中まで光が当たらないと、白いナスが出現することがあります。果実に袋をかぶせて育てると白いナスになります。葉や枝が混んできたら、早めに摘葉や整枝をします。

原因③:収穫遅れ

開花後20~25日で収穫しますが、遅れると果実が大きくなりすぎ、果皮にツヤがなくなります。

【生理障害】果皮の硬化(石ナス)

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原因①:低温

生育適温は20~30℃です。15℃以下になると、受粉がうまくいかず、「石ナス」が発生しやすくなります。「石ナス」は果実が小さく、果皮が硬く、単為結果(受精しなくても果実が大きくなること)なのでタネは入りません。20℃以上で栽培します。

原因②水分不足

ナスは高温で雨が多いインド東部原産なので、水分を好み、乾燥には弱いです。水分不足になると、果皮が硬くなる「石ナス」になります。敷きわらやマルチをし、乾燥が続いたときは水やりをします。

【病害】しおれ

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原因:青枯病

夏に茎葉が青い(緑の)まま急にしおれて枯死します。細菌による土壌伝染病で、過湿になると多発するので、水はけをよくします。30℃以上の高温でも多発するので、敷きわらをして地温の上昇を抑えます。ナスだけでなく、トマトやジャガイモなどのナス科野菜の連作は避けます。

【病害】斑点

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原因:疫病

葉に不整形で灰緑色の病斑が生じ、徐々に大きくなり暗緑色の大型病斑になります。病斑の周りや葉裏には霜状のカビが生えます。果実に伝染すると暗褐色の火傷状の病斑を生じます。土壌が過湿になると多発するので、水はけをよくします。糸状菌(カビ)による病害で蔓延力が強く、泥跳ねで菌が茎葉や果実に侵入するので、マルチを張って泥跳ねを防ぎます。ナスだけでなく、トマトやジャガイモなどのナス科野菜の連作は避けます。

【病害】モザイク

©NNCreated/Sutterstock.com

原因:モザイク病(ウイルス病)

葉が緑色濃淡のモザイク状や、細く奇形になりよじれます。果実に伝染すると凸凹になります。アブラムシが媒介するウイルスが原因なので、アブラムシを見つけ次第防除します。モザイク病に効く薬剤はなく、病株は抜きとり持ち出し処分します。

【虫害】食害

原因①:チャノホコリダニ

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肉眼では見つけることができない微小なダニの成虫と幼虫が、葉や果実を吸汁して生育を阻害します。新葉は裂けて奇形になり、果実のヘタの部分は褐変します。たっぷり水をかけて流し落とします。すみかとなる周辺の雑草を除去します。発生した株は栽培終了後早期に焼却します。

原因②アブラムシ

©Passing Traveller/Sutterstock.com

葉に体長約1mmの小さな虫が群生し、吸汁して生育を阻害します。モザイク病(ウイルス病)の原因となるウイルスを媒介します。窒素過多だと葉でアミノ酸が多く合成され、それを好むので多発します。キラキラ光るものを嫌う習性があるので、シルバーマルチを張ると飛来防止効果があります。見つけ次第捕殺します。

原因③ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)

写真左:©yamaoyaji/Sutterstock.com、写真右:©YUKA JAPAN/Sutterstock.com

星が7つのナナツボシテントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫です。テントウムシに似ている星が28あるニジュウヤホシテントウテントウは幼虫も成虫も葉を食害します。見つけ次第捕殺します。葉裏に卵が産みつけられていたら、葉を切りとり持ち出し処分します。

原因④ハスモンヨトウ

写真左:©Nero Archive/Sutterstock.com、写真右:©Yongkiet Jitwattanatam/Sutterstock.com

孵化(ふか)した幼虫が集団で付近の葉を食害します。幼虫は体長4cmにもなり、分散して葉をすべて食いつくすほど大食します。葉裏に産みつけられた卵や、群生する幼虫を見つけたら、葉ごと切りとり持ち出し処分します。病害虫は早期発見・早期対処が大切です。

原因⑤:アザミウマ(スリップス)

写真左:©julio chaniago 76/Sutterstock.com、写真右:©Rupinder singh 0071/Sutterstock.com

成虫と幼虫が吸汁して葉と果実を加害します。葉はカスリ状に白くなり、果実は小さな褐色の傷ができます。成虫も幼虫も体長1~2mmで、肉眼で見つけることは難しいです。アザミウマはキラキラ光るものを嫌う習性があるので、シルバーマルチを張ると飛来防止効果があります。雑草に寄宿するので、周りの除草をします。

原因⑥:ハモグリバエ

©Jebreng/Sutterstock.com

体長2㎜ほどの黒いハエの幼虫(ウジムシ)が、葉の組織内に侵入してトンネルを掘るように食害します。葉にくねくねとした白い筋ができるのでエカキムシ(絵描虫)ともいいます。幼虫は筋の先端にいるので指でつぶします。被害葉は切りとり持ち出し処分します。発生が少ない場合は実害はないので放任してもかまいません。

原因⑦:タバコガ

©Dariv40/Sutterstock.com

ガの幼虫が果実に5mmくらいの丸い穴をあけて侵入し、果肉を食害します。暗褐色の糞を穴から出すので、穴や糞を見つけ次第果実を切りとり、中にいる幼虫を退治します。処置が遅れると幼虫は体長3~4cmにもなり、1匹が複数の果実を次々と食害します。病害虫は早期発見・早期対処が大切です。

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文:山門昭雪
Xアカウント:@yasaidaisuki6
野菜と多肉のぴー農園園主 幼いころから祖母の畑で遊び、国立T大学農学部卒。種苗会社で育種、産地開発、園芸相談などを担当。土壌医。

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