「農作業死亡事故」は年間300件以上、未然に防ぐための対策は?
2018/09/05
農作業中に危うく事故を起こしそうになり、ヒヤッとした経験はないだろうか。農林水産省の調査によると、農作業死亡事故の件数は年間300件を超えるという。危険な目に遭わないためには、どういった対策が必要なのだろうか。
「秋の農作業安全運動」が
9月からスタート
農水省が、9月~10月を重点期間として「平成30年秋の農作業安全確認運動」を実施することを発表した。
秋作業が始まるこの時期は事故が多発するというが、実際の発生件数はどのように推移しているのか? また、事故が発生する時の状況はどんな時が多いのだろうか?
これまでの調査結果を元に、農作業事故の現状を理解しておこう。
農作業死亡事故の件数や
発生時の状況は?
死亡事故は300件以上、8割が高齢者
農水省が2016年に行った調査によると、農作業中に事故で亡くなったのは年間312人。以前と比べると減少しているものの、近年は農業就業人口自体が減っているため、改善とは言い切れないのが実情だ。
年齢別にみると、65歳以上の高齢者の事故は254件であり、事故全体に占める割合は81.4%と例年と同水準。男女別では、男性が257件(82.4%)、女性が55件(17.6%)となっている。
トラクターによる事故が最も多い
死亡事故の発生区分を見ると「乗用型トラクター」による事故が最も多く、87件(27.9%)。次いで「農用運搬車(動力運搬車、農業用トラック等)」が37件(11.9%)、「歩行型トラクター」が35件(11.2%)と、これらの3機種で農作業死亡事故全体の半数を占めている。発生時の状況は、乗用型トラクターの場合「機械の転落・転倒」。歩行型トラクターでは「挟まれ」が最も多かった。
また、施設周辺での事故は、作業舎の屋根など高所からの「墜落、転落」が大半を占めている。
事故を防ぐためには
日々点検や安全確認を!
農作業事故の原因は、「施設・機械の点検整備不足」「安全確認の怠りや不注意」「整理整頓がされていない」などが非常に多い。いずれも日々欠かさずに行っていれば問題はないが、農作業が活発になる時期はつい確認が甘くなってしまうことも。
しかし、忙しい時こそ焦りから事故が起きやすいものだ。作業前と終了後には必ず点検を行ったり、適度に休憩を取ることなどを意識して、安全確保に努めよう。