アフターコロナで農業はどうなる? 外国人労働力だよりの農業、終焉へ
2020/12/16
新型コロナウイルスの問題は農業にどんな影響を与えるのだろうか。アフターコロナの農業とJAの在り方を考える、中央大学教授の杉浦宣彦氏による連載コラム第2回。
労働力の不足を
どのように解決していくのか
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、私は3月末の帰国以降、遠出はあまりできていませんが、それでもいくつかの要請もあり、東北や東海、そして関東地区にある複数のJAを訪問させていただく機会がありました。
そこで、どこでも聞くのが、「人が来ない」、「労働力が不足している」というお話でした。
確かに、Go Toキャンペーンもあり、あちらこちらに行きやすくはなりましたが、全国的な人の移動は依然として少ないのが現状です。果物狩りの客が少ないのは仕方ないとして、問題は、日本農業のなかで、労働力として大きな役割を背負っていた外国人研修生達が日本に来られないがために、農繁期の労働力が著しく不足していることでしょう。
多くの研修生を派遣してきたアジア諸国でも、一部の例外を除き感染率が高まっていたり、日本の方が感染率が高いことから研修生派遣を差し控えている国もあったりと、この問題はグローバルに新型コロナウイルスの問題が解決するまで続くかもしれません。
『開かれた農業』で
新たなきっかけを
それに対して、今年に限っては、観光業の方々に農作業に参加してもらうなど、コロナで影響を受けて仕事量が減っている産業からの労働力シフトが一部あったことが報道されています。
ただ、前述のように外国人研修生をあてにできない以上、JAとしてもパートタイムで農業に従事する近隣の住人をどう増やしていくかを検討すべきです。
たとえば、体験型を超えて、農業の大切さや重要性を感じてもらいながら具体的な栽培方法や農作業のやり方、場合によっては農業経営のノウハウまで、幅広いことを教えるセミナーなどを開催し、働く場としての農家を紹介するなど、地元住民の関心を喚起するのはどうでしょうか。
アフターコロナで人々の働き方も変化し、通勤が必要なくなるなど、副業が可能な労働者が増えています。食や農業に関心のある住民へ、開かれた農業・JAの姿を見せていく方策を考えていきませんか。
PROFILE
中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)教授
杉浦宣彦
現在、福島などで、農業の6次産業化を進めるために金融機関や現地中小企業、さらにはJAとの連携などの可能性について調査、企業に対しての助言なども行っている。
AGRI JOURNAL vol.17(2020年秋号)より転載