鈴木農相 12月12日記者会見「おこめ券、必要な食料品対策が速やかに行き届くことを期待する」
2025/12/12
鈴木農林水産大臣は12月12日の記者会見で、 政府が物価高対策として推奨するおこめ券について「必要な食料品対策が速やかに行き届くことを期待する」と述べた。
メイン画像:記者会見する鈴木農相(出典 農林水産省)
鈴木農水大臣
記者会見概要
大臣 冒頭、私から1点ご報告があります。明日13日、スマート農業技術の開発に取り組む事業者との意見交換、そして松くい虫被害に係る現地視察などのため、山形県下に出張いたします。
―昨日、JA全農がおこめ券について、来月中旬にも発送予定と公表しました。この受け止めと、ここ数日、おこめ券を配らないとの自治体の表明が相次いでいることについても受け止めをお聞かせください。
大臣 昨日、JA全農(全国農業協同組合連合会)が「おこめギフト券の臨時発行に係る取扱い」について、ということでプレスリリースをしたことは、承知をしております。また、昨日は、全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)からも、重点支援地方交付金を活用した場合のおこめ券の販売価格について、一律「一枚477円」にするとのご報告をいただいたところであります。
全農・全米販ともに、できる限り経費を抑制し、国民の皆様に活用いただきやすいように工夫いただいているというふうに、私としては受け止めさせていただいております。農林水産省としては、関係する方々のこうした尽力も得ながら、補正予算が成立した場合には、地方自治体において重点支援地方交付金を活用し、国民の皆様に速やかに必要な食料品対策が行き届くことを期待をしております。
そしてもう1点、様々なご批判も含めた声があるというふうなことは、よく承知をしているところであります。まず私から申し上げたいのは、今般の重点支援地方交付金は、食料品全般の物価高騰に対する支援策として、自治体の判断に基づき、地域の実情に応じて選択いただけることとなっております。おこめ券について言うと、お米しか買えない訳ではなくて、利用店が認めた商品の購入も可能であるため、今回の特に食料品についての物価高騰対策には、うまく適合するものというふうに考えております。
―高市首相が先日の国会で「食料・農業・農村基本計画に即して、多様な米の増産を進めてまいります」と発言し、その多様な米という言葉の中には、国内主食用も含まれていました。ただ、基本計画の数値目標にある国内消費仕向量は、2023年の824万トンから2030年は777万トンに減っています。高市首相の発言は、国内主食用の増産も進めていくという趣旨だったと思いますので、基本計画を修正する発言だったのか、鈴木大臣の見解を改めて伺います。
大臣 基本計画では、米について国内消費仕向量が2023年824万トンから2030年777万トンへ減少する。この一方で、生産量は国内外の需要拡大を図ることにより、主食用のほか、輸出用、加工用、米粉用などを含め、2023年791万トンから2030年818万トンまで増やすという目標設定をしているところです。
確かに、今ご指摘のとおりのところもあるのですけれども、主食用米に特に着目をした場合は、国内需要の減少が、今後も人口減少と高齢化というのがありますから続くと見込まれる一方で、食の簡便化志向、そして健康意識の変化やインバウンド需要を含む中食・外食ニーズの対応等を通じて、需要開拓を図ることとしておりまして、需要自体を我々としては拡大しようというふうに思っております。
直近の実績でも、主食用米の需要は令和4年産と比較をして、令和5年、令和6年産は増加傾向にあるのが実績だというふうに考えております。そういう中で、総理のご発言は、国内外で需要を創出し、その拡大を図りながらということであります。まずそれが前提です。その上で国内主食用、そして輸出用、米粉用など多様な米の増産を、この需要の拡大、これを前提として進めるというふうに述べられておりますから、基本的には基本計画の考え方と整合するものであるというふうに考えております。
―本日、今年の米の収穫量でほぼ固まった数字のものが発表されるかと思いますが、前回の発表からほぼ変動がないとすれば、来年6月末の民間在庫量が230万トン、最大で迫る勢いになっていまして、改めて大臣として今の米の需給状況をどうみていらっしゃるかということと、あと今、来年産の作付け準備も進む中で、需給緩和の局面を迎えたという見方も強いですが、生産現場にはどのようなメッセージを発信されていかれたいか、お願いします。
大臣 10月にすでに公表しております主食用米の需給見通し、これにおいても令和7年産の米の生産量748万トンでありまして、令和8年6月末の民間在庫量が215から229万トンと、いずれにしても直近10年程度では最も高い在庫に匹敵する水準というふうに見通しております。
現在の需給状況については、需要を上回る十分な供給が確保されている状況というふうに私としても考えております。さらに、生産者の皆さんに対しては、やはり何度も申し上げておりますが、安心して経営に取り組めるように、先の見通せる農政を実現させることが、私としては重要だというふうに考えております。
このため、農林水産省として需給動向に関するきめ細やかな情報提供、これを行うほか、本省や地方農政局の職員が現場に出向いて産地との意見交換を行うなど、「需要に応じた生産」に向けた環境整備を進めていきたいというふうに思っております。各産地や米生産者の皆さんが、令和8年産米についてどのような作付けを行うか、様々な情報を考慮して経営判断をしていただきたいというふうに考えておりまして、その結果として「需要に応じた生産」が着実に進められるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
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取材・文:アグリジャーナル編集部





