休耕田を活用する、「世界一安い」水耕栽培
2017/06/03
導入費用が極めて高く採算性に乏しいという致命的な問題があった、水耕栽培。今回ご紹介する「EZ水耕」は、水田で、液肥もハウスも使わずにリーフレタスなどの葉菜を栽培する。初期投資を大幅に下げつつ高収益・高効率を実現した。
休耕地を活用し、
高収益・高効率を実現!
水耕栽培のメリットは知っていても、太陽光を利用した水耕栽培設備はおよそ5,000万円、植物工場に至っては、数億円もの初期投資を要する(規模により異なる)。このような投資を、一般の農家が行うのは容易でない。しかし、水耕栽培は極めて高い潜在能力を秘めている。生産効率が高く、単位面積当たりの生産量は、露地栽培と比較して明らかに大きいのだ。
そんな水耕栽培への導入の障壁となっていた、”初期費用の高さ”をクリアしたのが「EZ水耕」だ。開発したのは、神奈川県横浜市に本拠地を置き千葉市に農場を持つ、株式会社セプトアグリ。2014年に創業した若い会社であり、栽培システムの開発・販売をはじめ、農作物の生産・加工・輸出入販売など、農業関連の事業を広く行っている。
「EZ水耕」最大の特徴は、圧倒的な安さだ。様々な工夫を凝らした結果、設備導入コストを従来比1/10以下にしている。具体的には、発砲スチロール板に苗を定植して、それを水田上で生育させる。そのため、水田型EZ水耕は、ハウスを使わず、液肥調整システムも不要。水耕ベッド、ベンチ、プールも不要である。その結果、水田2反で水田型EZ水耕を活用して、新規就農を行う場合、付帯設備(車両・作業用パイプハウス)や井戸掘削を含めて、必要な初期投資は、800万円ほどで収まる。
高収益、高効率でもある。水田型EZ水耕で水田1反で1株100gの小株リーフレタスを生産する場合、年4回の栽培・歩留まり75%で計算すると、7万5,000株の生産が可能となる。1株80円で販売すれば、年600万円の売上が見込める。