ICTで水田の灌水を自動化! 次世代の水管理システム
2018/03/13
水管理が難しく作業時間が長い稲作では、それらの負荷が原因でこれまで規模拡大が難しいとされてきた。作業時間を大幅に省力化できる、ICTを活用した稲作の水管理システムの商品が今年1月22日に発売された。
水管理の負荷が
稲作の規模拡大の障害に?
近年、農業従事者数の減少や高齢化により耕作放棄地が増加し、担い手農家への農地集積が大きな課題となっている。国も農地制度を改正し、現在さまざまな農業構造の改革を進めている。その結果、野菜、果樹では相当程度の規模拡大がみられる一方、稲作ではそのテンポが比較的緩やかである。原因は水管理の負荷だといわれている。
おいしいお米を栽培するには水田の水管理は必要不可欠だ。水管理では、水張り状況を目視で確認し、手作業で給水栓を開閉・調整するために圃場を巡回する。規模が拡大すれば、その分見回る時間も多くなるのだ。たとえ夏の炎天下でも、野外での長時間作業をしなければならない。
自動化で水管理をサポート
「水(み)まわりくん」
積水化学工業では、このような水田の水管理の負荷を大幅に削減する、ICTを活用した稲作の水管理システム「水(み)まわりくん」を開発。2015年度より全国各地で水田での実証実験を行い、今年1月22日に発売を開始した。これまで水位や水温などの情報をモニタリングできるサービスは販売されているが、ICTを活用して水位をコントロールできるシステムの商品化は日本で初めてだという。
「水(み)まわりくん」は同社製品水田用給水栓「エアダスバルブ」(価格:14,200円~)の上部に設置する自動制御装置である。遠隔操作型は、インターネット回線を通して給水周期・時間・開度を設定し、PC・スマホから自宅や外出先から水張り状況をいつでも「見える化」することができる。冷たい水を暑い夏の夜間にも自動で灌水するので、米の品質の向上が見込める他、高温障害も防止できる。
温度調節が難しい酒米の栽培にも
実証実験は、温度調節が非常に難しいとされる酒米の栽培を行う水田でも実施している。そこでは、2年間「水まわりくん」を使用して水管理を行い、用水の掛け流しや間断灌漑などを行った結果、胴割粒や乳白粒などの不良米の発生が抑制され、収量が増加した。また、品質が向上したことにより、等級が2等級上がったという。
水管理の負荷が原因で今まで稲作に挑戦しようと思わなかった新規就農者の方も、今まで水田の水管理に長い作業時間を取られていた方も、「水(み)まわりくん」を是非、取り入れてみては?
水(み)まわりくん
価格:約110,000~130,000円(タイマー型 110,000円、リモコン操作型 120,000円、遠隔操作型 130,000円)
エアダスバルブ
価格:14,200~16,400円
問い合わせ先:
積水化学工業株式会社
環境・ライフラインカンパニー 総合研究所 エンジニアリングセンター
田中正 03-5521-0625