病気を防ぎ、効率的なイチゴ育苗へ! 革新的なトレイ“カタツムリポット”がスゴイ!
2020/02/21
質の良い苗を育て、なるべく手間をかけずに定植したい……。育苗作業を支える画期的なプラポットを使用している岐阜県恵那市のイチゴ農家にお話を伺ってきた。
点滴潅水用のイチゴ育苗用トレイの
使い心地は?
イチゴの育苗は病気との戦いでもある。育苗中に葉に水がかかるだけで病気になってしまい、その病気がハウス内に蔓延することもある。育苗中の苗への水やりはイチゴ農家にとって悩ましくも繊細な作業で、水が上手く土に入らず、根全体へ行き渡らないことも課題だった。育苗作業を支えるプラポットはこれまでにいくつも販売されてきたが、効率的な水の経路とポット内での根張りの良さを追求したアイテムは中々出てこなかった。
今回紹介する「カタツムリポット」は韓国発祥の特許取得アイテムだ。
一見すると何の変哲もないポットだが、ポット内には水が回る経路や葉に水がかからない設計など、これまでの育苗の課題点を解決する工夫が盛り込まれている。一般的に点滴潅水用のポットには専用の点滴チューブから滴る水を受ける溝が掘ってあり、そこから各ポットに水を流すのだが、カタツムリポットの最大の特徴は設けられた傾斜のおかげで水が根全体に行き渡ることだ。
点滴潅水での育苗で活用!
カタツムリポットを150パレット導入した、岐阜県恵那市の原さんも「従来品と比べ圧倒的に根張りが良い」と驚く。従来のポットではかけた側だけに水が溜まったり、表面だけ水がかかったりと問題が多かったが、取水口が盛った土よりも下にできることと、傾斜のついた機構のおかげでこれらの問題点が解決されている。
「別のポットで育苗していて、定植の際に土がはがれて手間がかかったり、根張りが悪く育ちが悪かったこともありましたが、それが無いので助かっています。手間や病気などのリスクから育苗を敬遠していた周りの農家の方にもオススメしていますよ」。
Close up item
カタツムリポット
点滴潅水用のイチゴ育苗ポット。株の発根が均一になるように、点滴チューブから受けた水がポット内全体に行き渡るように受け側から送り側に掛けて斜めの傾斜が設けられている。また、各ポットの間には仕切りがあり、すべてのポットに均一に水を流す構造となっている。
炭疽病と病害虫の予防に効果的!
頭上潅水に比べ、カタツムリポットを使用した点滴潅水では、約80%も炭疽病発生が少なくなった。病気の感染が防げるという点滴灌水のメリットをカタツムリポットでは最大限活かすことができる。
DATA
カタツムリポット C型24口 プラスタイプ
※潅水ラインが縦横にあり、縦6列or横4列に対応可能。
容量:175ml(培土量)
サイズ:L51×W34×H10cm
価格:850円
取材協力
原農園 原 聡志さん
サラリーマンからイチゴ農家に転身して10年あまり、今では14haの土地で、章姫(あきひめ)や紅ほっぺなどの品種を育てている。直売のほか3年前に観光農園「ちっちゃな農園」も始め、ジャムやジェラートなどの6次産業化にも取り組む、地域で人気の農園だ。
問い合わせ
TEL:088-855-3126
メールアドレス:info@agri-base.com
photo:Noriyoshi Yamamoto
text:Takeshi Iwata
AGRI JOURNAL vol.14(2020年冬号)より転載
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