足腰の負担を減らし、作業効率アップを実現! 導入経験者に聞いたアシストスーツの効果
2023/02/07
労働災害の原因として多いのが「動作の反動・無理な動作の反復」によって起こる事故。そんなリスクを回避できるアシストスーツ各社が展示体験会を開催した。アシストスーツ導入経験者が語る効果について紹介する。
アシストスーツ展示体験会
「アシストスーツサミット」開催
1月20日(金)、都内にて、アシストスーツ協会主催の展示体験会「アシストスーツサミット」が開催された。当日は、アシストスーツ協会加盟4社および参画企業1社、合計5社のアシストスーツ展示体験会を実施。製造業を中心に様々な業界の企業担当者を中心に、約80名の来場者が製品を体験した。会の途中では、アシストスーツ導入支援を行う理学療法士・逢坂大輔氏の講演や、アシストスーツ協会代表理事の飯田成晃氏から協会発足のご挨拶、導入体験者のパネルディスカッションが行われた。
労働災害の観点から見た
アシストスーツの役割と効果
講演は「理学療法士に学ぶ、アシストスーツを活用した労働災害予防」と題し、理学療法士・作業管理士の逢坂大輔さんが登壇。労働災害の現状や予防と対策方法、労働災害の観点から見たアシストスーツの役目などが話された。
逢坂氏によると、労働災害の原因として最も多いのが転倒・転落で、その次に多いのが「動作の反動・無理な動作の反復」によって起こる事故であるという。これらにより足痛、腰痛、肩痛といった労災が発生してしまう。労災を減らすには、職場の設備や暑さ・寒さ、人員体制などの作業環境を改善するのが最短ルートになる。
アシストスーツは、①アシスト:身体を助ける ②リスク回避:身体を守る ③効率アップ:作業がはかどる、という主に3つの役割がある。作業負荷が軽減することで、疲れを残さない働き方ができる、筋骨格系の傷害リスクを減らせる、疲れにくいため作業がはかどるという効果が期待できる。
腰痛は遷延化することによる社会経済的損失が問題視されている。治療を重ねることによる医療費の増加、労災による労働生産性の低下、離職・休職などの就労障害による社会損失などがある。社会的観点からも、労働安全衛生の観点からも、身体に負担のかかる作業を行う現場ではアシストスーツの活用が必要だ。
また、アシストスーツの選び方についてもポイントが説明された。業種ではなく作業で選ぶのがおすすめであり、持ち上げ作業であれば腰用、立ち作業であれば足用、手を上げる作業であれば腕用というように、どの作業負荷を軽減すべきかで商品を選ぶことが大切であるということだ。
特別養護老人ホームとぶどう農家
アシストスーツ導入経験を紹介
左から、ファシリテーターである理学療法士・作業管理士の逢坂氏、砧ホーム 施設長の鈴木さん(「マッスルスーツEvery」を使用)、ぶどう農家の島軒さん(「アルケリス」と「TASK AR」を使用)
午後は、「アシストスーツ導入経験者に聞く!”アシストスーツの現場導入のポイント”」と題し、パネルディスカッションを開催。導入経験者として、社会福祉法人友愛十字会 砧ホーム 施設長の鈴木健太さんと、山形県でぶどう農家を営む島軒正陽さんが登壇した。
アシストスーツの導入経緯について、鈴木さんは「介護施設では、利用者さんは車いすやベッドなど低い位置にいらっしゃいます。職員は中腰でかがんでお世話や介護をするため、腰の負担が多い。腰痛になると中腰姿勢の多い介護職を続けることが難しく、職業人生を左右する問題になります」と、介護施設の作業環境を説明。
その課題解決のために導入したアシストスーツについては、「電気不使用で取り付けやすく、使い勝手が良いマッスルスーツを導入しました」と、現場に合わせた製品選びを行ったことを説明した。
導入の効果について、鈴木さんは「楽に仕事ができるようになったので、職員は腰への負担を気にすることなく利用者さんの事を一番に考えて丁寧な仕事ができるようになりました。利用者さんからは“介護がうまくなったね”とお褒めいただくこともあります。導入してから腰痛が原因で離職した職員は0です」と報告した。
一方、ぶどう農家の島軒さんは、導入経緯について「ロードバイクの事故で肩のじん帯を切ったことがきっかけ」と説明。「今まで通り手をあげて作業を続けることができないため、アシストスーツを使用しなければならなくなった」と、振り返った。
導入効果については、「8時間以上連続して作業を続けることができ、作業効率が上がって収入を増やすこともできました」と話し、鈴木さん同様に身体負担軽減だけでなく、サービスの質の向上や収入増などの相乗効果があったのが印象的であった。
最後に、アシストスーツ各社に期待することとして、鈴木さんからは「一番の懸念は価格なので、手ごろで使いやすい値段になってほしい。また、台数が多いとどれが自分のものかがわからなくなるので、例えばボタンをつけたりしてアレンジができるとより良い」との提案が出された。島軒さんからは、すでに株式会社ダイドーが対応していることとして「壊れた時やパーツの交換などにすぐ対応してくれて嬉しい」とのコメントが挙げられた。アシストスーツ各社はさらなる利便性向上に向けて努めていくそうだ。
展示商品
「世界から立ち仕事のつらさをなくす」足腰の負担なく長時間の立ち仕事ができるアシストスーツ。
最大25.5kgfの補助⼒、重量は3.8kgと軽量。電力を使用せず、圧縮空気を使用した人工筋肉が補助力を発揮するため、製造・農業・介護・物流・建設などの作業現場に利用できる。
力の創生ではなく「自らの力を再利用し、無駄なく使うこと」をコンセプトにした『レイボ』。前屈姿勢作業時の肩や腰などにかかる負担を軽減する。
軽量・コンパクトな上腕を支えるアシストスーツ。農業や建築現場等で活躍中。
前傾姿勢や持ち上げ姿勢、長時間の同じ姿勢などで生じる腰への負担を軽減するアシストスーツ。人体構造に即した設計と、パーツごとの適度な伸縮性により動きやすさも確保。通気性に優れたメッシュ素材や上下パーツ合わせて約460g(Lサイズ)の軽量設計で、長時間装着でも快適。