肥料価格高騰のなか、地域資源循環に高評価! 牛ふん・汚泥・食品残渣などを混合した完熟堆肥を活用
2025/05/30

2023年度「静岡県SDGsビジネスアワード」優秀賞、2024年度「第12回グッドライフアワード」実行委員会特別賞を受賞した、アサギリによる地球環境負荷の低い有機肥料。地域資源の循環に取り組む現場を訪ねた。
メイン画像:「アサギリMIX」はペレットでも販売されている
地域課題の解決と
安心の製造工程に評価
静岡県富士宮市のリオグランデは、300頭の牛をフリーバーン牛舎などでのびのびと飼育している酪農家だ。夏の暑さや冬の寒さから牛を守るため、畜舎内環境を自動制御する次世代畜舎も導入している。
牛が自由に行動できるフリーバーン牛舎。
そんなリオグランデが飼料用作物栽培の土づくりに使用しているのが、同じ富士宮市に本社を置くアサギリの「アサギリMIX」。ベースとなるのは製品のうちの50%を占める牛ふん堆肥だが、その原料はリオグランデを含めた近隣酪農家から出た乳牛ふんである。これに、23の地方自治体から搬入される下水汚泥(25%)と食品残渣など(25%)を原料とする有機物堆肥とを混合して作られた、完全有機質堆肥肥料だ。余剰牛ふんは何もしなければ単なる産業廃棄物であるが、アサギリと地域の酪農家が連携することで、良質な堆肥の安定製造、利用につなげている。
原料の受け入れ時には、重金属・有機物量・pH・含水量を分析した上で異物混入をチェックする。その後、混合・発酵・選別された上、袋詰めして出荷される。販売開始以来、重金属などの有害物質は法律が定める基準値の半分以下、という安全性が自慢。
「自家製の牛ふん堆肥も使っていますが、製造には場所を取りますし、作業に人手が掛かります。我々の牧草地は40haあるのですが、それをすべて自家製でカバーするのは現実的ではありません。一方で、肥料メーカーの肥料は肥効が保証されているので安心。『アサギリMIX』は病害や連作障害を防いでくれますし、団粒構造化を促進して水持ち・水はけを改善してくれます。当社では、飼料用トウモロコシの後など土が痩せた後には必ず『アサギリMIX』を使っています。原料に下水汚泥が使われていますが、重金属などの異物混入に対するリスク管理ができているのも安心材料です」(リオグランデ代表取締役 宮島幸生さん)。
リオグランデの牧草地で栽培しているイタリアングラス。「草丈が低いうちに刈り取ることで、牛が食べる牧草の消化率が上がります」。
宮島さんの言うリスク管理とは、23もの地方自治体から受け入れている下水汚泥を指す。万が一どれか1つの原料に問題があっても、25%のうちのさらに1/23でしかないから農地に悪影響を与える可能性が極めて低くなるのだ。近隣の未利用資源をフル活用した「アサギリMIX」は、地球環境にも優しい。肥料費が高騰し肥料自給率の向上が求められる今、注目してほしい製品だ。
取材協力
株式会社リオグランデ
代表取締役
宮島幸生さん
静岡県富士宮市で300頭の乳牛を飼育する。「所有する40haの牧草地の土づくりに『アサギリMIX』を使用しています。昨秋は35haに2,000㎥投入しました!」
DATA
アサギリMIX
安心・安全で地球環境に優しく、土づくりに最適な完熟堆肥。窒素1.2%、リン酸2.2%、加里0.66%を含有する。大規模生産者やJAにはバラ出荷、ホームセンターや資材店には袋出荷する。
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問い合わせ
株式会社アサギリ
TEL:0544-52-0212
文:川島礼二郎
撮影:水野武士
AGRI JOURNAL vol.35(2025年春号)より転載
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