確定申告に備えよう! 2020年分から「青色申告特別控除額」「基礎控除額」が変わる?
2019/11/25
消費税率引き上げや軽減税率制度の導入など目まぐるしく変わる税制。さらに2020年分の所得税確定申告からは、課税所得金額から差し引くことのできる「控除額」に係る改正が適用されることをご存知だろうか?適切な納税のため、基礎知識と対策を学んでおこう。
青色申告特別控除とは?
青色申告の承認申請書を税務署に提出し、税務署長の承認を受けた納税者に対し各種認められる税務上の特典のひとつ。その年分の事業所得金額から10万円、または貸借対照表を添付すれば65万円が控除される。
難しいイメージがある賃借対照表だが、パソコン簿記の場合は期首の残高さえ入力すれば期末や次年度からの表は自動で作成される。まだ始めていない人は、この機会に始めてみよう。
増えるの? 減るの?
「青色申告特別控除額」、
2020年から何が変わる?
所得税の基礎控除額が拡大!
10万円UPで実質減税に?
基礎控除額とは、その年の課税所得金額から無条件に差し引かれる金額のこと。現在は一律38万円だが、2020年分からは48万円に拡大される。納付する税額は課税所得金額に対して適用税率を乗じて計算されるため、基礎控除額が多い方が税額は低くなる。
青色申告特別控除額は10万円減、
申告業務の「電子化」で特典維持!
2020年分からは、今まで65万円だった青色申告特別控除額が55万円に引き下げられる(10万円控除の場合はそのまま)ため、課税所得金額は上記で説明した基礎控除額の拡大とあわせてプラスマイナスゼロになる。ただし「電子申告」または「電子帳簿保存」をおこなうことで引き続き65万円の控除を受けることができ、トータルで減税につながる。
制度を活用して控除総額10万円UP!
基礎控除額が38万円から48万円に引き上げられる一方で、青色申告特別控除額が65万円から55万円に引き下げられ、控除総額は現行の制度と変わらない。改正2では改正1の適用条件に加え、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行うと現行に引き続き65万円の青色申告を受けられるため総額は10万円増える。
「農業簿記11」を使って実践
青色申告特別控除
65万円を維持しよう!
対策1
電子申告で対策!
電子申告とは
国税電子申告・納税システム(e-Tax)を使って行う。パソコン上で入力したデータを直接送信できるため、税務署に行く手間が省ける。2019年1月から、スマートフォンでも利用可能となった。
電子申告の始め方
2019年1月からe-Taxが簡易化され、従来より簡単な次の2つの申請方法が追加された。①事前にマイナンバーカードを取得し、ICカードリーダライタでデータを送信するマイナンバーカード方式/②e-Taxの開始届出書を税務署に提出し、e-TaxのID・パスワードを発行するID・パスワード方式。ただしマイナンバーカードは、交付までにおおよそ1ヶ月を要するため注意しておきたい。
税制改正対応時や機能改善時に無償でプログラム提供されるなど様々な特典がある保守会員制度「ソリマチクラブ」(10,000円/年、初年度無償)。特典の1つとして、農業簿記から簡単に電子申告がおこなえるオプションソフトも提供してもらえる。
対策2
電子帳簿保存で対策!
電子帳簿保存とは
昔の税務申告では紙の原本を保管しなければならなかったが、1998年に「電子帳簿保存法」が制定され、2005年にはスキャンによる電子保存が可能になった。その後、要件緩和が進み2016年にはスマートフォンで撮影した領収書でも電子帳簿保存が認められるようになった。
電子帳簿保存の始め方
事前に電子帳簿保存を行う旨の申請書を税務署に提出したうえで、①電磁的記録による保存か②スキャナ保存を行う。①はパソコンないしスマートフォンを使用したデータ、②は紙の書類をスキャンしたデータをそれぞれ保存する。
農業簿記11は厳しい要件をクリアした「電子帳簿保存対応」の会計ソフト。2020年分のデータを作成する際の確認メッセージで「電子帳簿保存をする」を選択すると、普段と同じようにソフトを使用するだけで自動的に電子帳簿保存をしていることになる。
製品概要
農業会計ソフトのベストセラー
「農業簿記11」
お陰様で33年
個人(農業/不動産/一般)・法人対応
分かりやすいガイド付き
専用サポートセンター無償
価格:60,000円
9月20日にリリースされた、農業に特化した会計ソフトの最新版。仕訳や難しい減価償却費の計算、転記の自動化はもちろん、農業特有の取引や勘定科目、育成資産の計算にも対応している。消費税率の引き上げ、軽減税率への対応はもちろん、現場のニーズに応える様々な機能を追加し、農業者の会計効率化をサポート。JA全中の推奨製品でもある。
監修
税理士・農業経営コンサルタント
栗山賢陽さん
会計系専門学校講師から会計事務所勤務を経て、2013年に栗山賢陽税理士事務所を設立。2014年からはJA全中と契約。全国から寄せられる農業に関する税務相談や研修会に対応。また、全国農業経営コンサルタント協会の一員として、集落営農組織の法人化支援などにも携わる。
問い合わせ
ソリマチ株式会社 東京本社
TEL:03-5475-5301
問い合わせの際は、「アグリジャーナルを見た」とお伝え下さい。
illustration:Tomoyuki Okamoto
text: Kosuke Oneda
AGRI JOURNAL vol.13(2019年秋号)より転載
Sponsored by ソリマチ株式会社