人工知能を使用して食生活の向上を! 世界各国の最新AI事情
2020/10/20
あらゆる業界に進歩をもたらしているAIだが、食の業界も例外ではない。世界では、最新の人工知能を利用し、従来では考えられなかった技術が続々と開発されているのだ。今回は、これからの食生活を大きく変えるであろう次世代の技術をご紹介。
人工知能の活用により
進化するレシピアプリ
近年、人工知能(AI)によるデータ分析が、消費者の食生活の利便性の向上や、消費者の嗜好・ニーズへの理解を深化させる手段として活用されるようになってきた。
「ウィスク」は、ディープラーニング(深層学習)をベースとする独自のアルゴリズム「フード・ゲノム」により、レシピの文言から料理の材料や味、栄養価、保存性などを自動で分析する次世代型レシピアプリだ。
レシピアプリ「ウィスク」の画面 ©2020 Whisk. All rights reserved
世界最大級のフードコミュニティサイト「オールレシピ」や米国の料理番組専門チャンネル「フードネットワーク」など、欧米の主要なレシピサイトに掲載されている200万件以上のレシピデータから選んで「ウィスク」に登録すると、栄養価などが表示されるとともに、材料が買い物リストとして自動で生成される仕組み。
この買い物リストを用いてネットスーパーで注文し、必要な食材を宅配してもらうこともできる。
デンマークのレシピアプリ「プラント・ジャマー」は、レシピに合わせて必要な食材を買い足すという従来のアプローチと真逆に、AIが家庭にある食材や調味料をもとに最適な料理を導き出すのが特徴だ。
レシピアプリ「プラント・ジャマー」の画面 ©2020, Plant Jammer ApS
パスタ、サラダ、スープなど、メニューのジャンルを選び、使用したい食材や調味料を入力すると、独自のAIが、食材同士の相性を考慮して、五味のバランスや香り、食感を分析し、最適なレシピを自動で生成する。
人工知能を用いて
消費者ニーズの変化を把握
よりよい食生活や新たな食体験を次々と追求する消費者に対して、食品メーカー、小売企業、飲食店らは、その嗜好やニーズの変化をいち早く的確に捉え、対応し続けることが求められている。
イスラエルで開発された「テイストワイズ」は、AIにより消費者の食の嗜好やニーズをリアルタイムで分析するB2B向けクラウド型ソリューションだ。
テイストワイズの分析レポート ©Tastewise Technologies Ltd.
独自の機械学習アルゴリズムが、1ヶ月あたり約1億件のツイッターやインスタグラムへの投稿画像、レシピサイトに掲載されている400万件以上のレシピデータ、54万件以上の飲食店のメニューをもとに、内食から外食まで、あらゆる食シーンを網羅し、最新の食の嗜好やニーズを分析。
食品メーカーの商品開発や飲食店のメニュー開発などに役立てられている。
未知の栄養素を
人工知能によって発見
消費者の健康志向が高まるなか、植物に潜むファイトニュートリエント(植物栄養素)をAIによって発見するソリューションも生まれている。
ブライトシードと提携したダノン ©Danone North America Public Benefit Corporation
米国のスタートアップ企業ブライトシードは、何百万種ものファイトニュートリエントをマッピングし、健康効果が期待できる成分とその組み合わせを導き出す世界初のAIソリューション「フォレジャー」を開発した。
2020年6月には、仏食品大手ダノンと提携し、このソリューションを用いた植物性原料の健康効果の解明をすすめている。
DATA
ウィスク
プラント・ジャマー
テイストワイズ
ブライトシード
ダノン
文:松岡由希子