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遠隔監視制御システム「スフマート」に、ウェアラブルカメラなど複数のカメラ機能が追加搭載

オムニア・コンチェルトが提供しているハウス内環境の遠隔監視制御システム「Sfumato(スフマート)」に、複数のカメラ機能が搭載された。より正確な「見える化」で、研究機関や大規模農業法人、農福連携の現場などでも活躍が期待できる。

<目次>
1.スフマートに監視カメラとウェアラブルカメラが統合
2.盗難防止、生育状況把握など多用途で使える監視カメラ
3.ウェアラブルカメラは遠隔指導に利用できる
4.万一の際の技術サポートにも監視カメラが活躍
5.3Dモデルに映像を反映させて生産と販売を効率化する
6.複数のカメラ機能の追加搭載で正確な指示や分析が可能に!

 

スフマートに監視カメラと
ウェアラブルカメラが統合

本誌でも度々ご紹介しているから、オムニア・コンチェルト(以下、オムコン)のことは、多くの方がご存知のことだろう。ハウス内環境(温度、湿度、CO2 濃度、日射量など)を詳細に制御できる高度な環境統合制御システム「コンチェルト」と、環境制御機器を3Dモデルで見える化し、遠隔監視・制御できるソフトウェア「スフマート」を開発・提供している、新進気鋭の企業だ。

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そんなオムコンの「スフマート」に複数のカメラ機能が追加搭載されるという。

盗難防止、生育状況把握など
多用途で使える監視カメラ

新たに搭載するカメラの1つが監視カメラだ。近年増えている盗難の防止に役立つ。さらに同社代表の藤原慶太さんは、この監視カメラの多用途性を強調した。

監視カメラは、機器の稼働確認や防犯対策のほか、生育状況の把握にも活用できる。写真は陸上養殖施設での設置の様子。

「もちろん盗難抑止や鳥獣害対策には役立ちますが、それ以外の使い道が重要です。たとえば今、遠隔操作した天窓や側窓、暖房機器が正しく作動したのか、確認する手段がありません。この監視カメラは、64ヶ所を定点として記憶して、ズームすることで、それを可能とします。既存の『スフマート』利用者さんからの要望に応えるかたちで追加した機能です。また、生育状況の把握にもご利用いただけます」。

この監視カメラが撮影した映像は、「スフマート」内に統合されており、サーモグラフィ動画と切り替えながら確認できる。

監視カメラ・ウェアラブルカメラの開発を担当する大和田勝徳さん(写真右)と、システム担当責任者の潘博文さん(写真左)。

開発を担当している大和田勝徳さんは「試験的に導入したハウス内が鳥獣に荒らされた時、侵入経路の特定に役立てられたこともあります」と教えてくれた。

ウェアラブルカメラは
遠隔指導に利用できる

メイン画像:ウェアラブルカメラを装着する、前田ストロベリー研究所の前田光樹さん。作業者が見ているものを遅延なく遠隔地にいる指導者がみることで、遠隔での栽培指導を実現する。

もう1つ追加搭載されるのが、ウェアラブルカメラ。これからも農業生産の現場では、人手不足が続く。このウェアラブルカメラにより、習熟した従業員の不足を補うことができるかもしれない。再び、藤原さんが解説してくれた。

「作業者が『ウェアラブルカメラ』で撮影した映像を、農場長等の熟練者が離れた場所で見ることができます。作業者もスマートフォンを利用して自身が撮影している映像を見られるため、画面を共有しながら遠隔指導できます。これは熟練した従業員が不足している大規模生産者での利用や、新規就農者への指導、それに農福連携事業での利用を想定しています」。

これらのカメラを「スフマート」に統合した狙いを、「儲かる農業の実現です」と力説したのは、オムコンでシステム担当責任者を務める潘博文さん。同社では、監視カメラの通信に掛かる費用をユーザー負担なしで提供するという。

「弊社は『コンチェルト』と『スフマート』に絶対的な自信があります。その魅力・効果をより多くの方に感じていたただきたく、カメラの通信費ゼロとしました。その分、少しでも多くの方に使っていただきたいですね」。

環境制御盤コンチェルトで制御する機器を3Dで見える化するスフマートの画面(画像下)。監視カメラ、サーモグラフィカメラ、ウェアラブルカメラの映像もスフマート上で表示ができる。



万一の際の技術サポートにも
監視カメラが活躍

オムニア・コンチェルトの監視センターでも、スフマート利用者のハウス内環境を監視。機器の異常発見やアドバイスに役立てている。

「スフマート」には、アラート機能が搭載されている。様々な環境データについてユーザー自身が閾値を設定し、それを越えたら、SNSやメールで通知がいく。さらに、利用者の許可を得たうえで、オムコンは社内で利用者のハウス内環境をウォッチしている。アラートが出ても暫く改善が見られない場合、オムコンから利用者へ通知することもある、という。

弊社からの連絡により、適切なタイミングで機器の補修ができて損失を被らずに済んだ、という例もあります。また、利用者様の栽培環境を拝見しておくことで、より高度なコミュニケーションが実現します。個別のニーズを把握し、製品のブラッシュアップにつなげているのです」(潘さん)。

3Dモデルに映像を反映させて
生産と販売を効率化する

イパースペクトルカメラによる撮影・分析の様子。

藤原さんは「今後は、これらのカメラが撮影した映像を『スフマート』内で見ることができる3Dモデルにリアルタイムで反映させていく」と話す。

これまでの、センサーが取得した“点”でのデータ頼みの農業から、映像を利用することで“面”のデータを経時的に取得し利用することで、より高効率な生産が実現できる。

オムニア・コンチェルトのカメラシステムを利用した非病原性抗体菌の分析画像。

「さらに将来は、その3Dモデルにバイヤーなど実需家を招待して、3Dモデルで作物を見ながら売買する仕組みの構築を視野に入れています。販売までも効率化できるわけです。作っている最中に値段が付く……それは生産者の方にとって、大きな喜びではないでしょうか? これからも弊社は、新しい技術を農業に適用することで、誰でも儲かる農業ができる、その手助けをしていきます」。

 

複数のカメラ機能の追加搭載で
正確な指示や分析が可能に!


圧倒的技術性能を誇る環境制御機器コンチェルトを3Dで遠隔監視・制御できるソフトウェア「スフマート(Sfumato)」に、64地点の登録が可能で自動追尾モードと巡回モードを搭載した監視カメラと、遠隔での栽培指導に最適なウェアラブルカメラが追加搭載。これまでも搭載されていたサーモグラフィカメラとあわせて活用することで、さらに正確なデータの見える化と作業効率の向上を実現する。

10/1~3に幕張メッセで開催される農業WEEK(J-AGRI)に出展する。ブース番号は19-31。
>>農業WEEK出展の詳細はこちら

問い合わせ

株式会社オムニア・コンチェルト
TEL:080-2356-3600


文:川島礼二郎
写真:都築大輔

AGRI JOURNAL vol.37(2025年秋号)より転載

Sponsored by 株式会社オムニア・コンチェルト

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