低コストかつ長期使用可能な低温CO2施用機とは? 地域の人気トマトを「真呼吸」が支える
2019/11/05
新たに施設栽培を始めても、利益を上げるのは容易ではない。今回は、それを実現するだけでなく、地域や日本農業にも貢献したいと意欲を燃やす、『真呼吸』ユーザーの東馬場農園を訪ねた。
嬉しいおいしいを農場から食卓へ
神戸といえば異国情緒の漂う港町……そんな一般的なイメージとはかけ離れた豊かな緑と、約700棟もの茅葺き民家が現存するなど古き良き日本文化を今も残すのが神戸市北区。この地で2012年から施設園芸を始めたのが、東馬場農園だ。『嬉しいおいしいを農場から食卓へ』をコンセプトに、生産物の約9割を直売している。今回は、地域の人気商品になっているトマトの秘密を代表の東馬場さんに伺った。
「ウチのトマトは『うれしおとまと』と言います。『嬉しい』と『おいしい』、それにこの地域の名前が塩田というので、“しお”にちなんで名付けました。大学の農学部を卒業した後、農業資材メーカーで働いていたのですが、一念発起して就農し、家族が守り続けてくれた農地にハウスを建てました。
当初からCO2施用機を入れていましたが、それは一般的な灯油燃焼式でした。暖房機に吸わせて施用していたのですが、ハウス内が暑くなりやすく、またダクトが作業の邪魔になったりと、小さな不満を抱えていました。そんなとき誠和さんが低温のCO2施用機『真呼吸』を発売したので、思い切って導入したのです」。
直売所で販売されていた『うれしおとまと』。新鮮さと濃厚な味のみならず、可愛いパッケージも人気の秘訣だ。直売所には他県からもお客さんが訪れる。
導入して一番のメリットは、東馬場さんが期待していた通りに、CO2施用を行える期間が伸びたことだった。
「低温のCO2のため、盛夏の直前までと、9月初頭から運転できます。ハウス内の温度が上がりませんから、トマトだけでなく、社員・パートさんも大喜びでした(笑)。また局所施用だから実際に植物が吸っていると感じることができるのも嬉しいです。そして何より植物が常に元気で、健康に育ってくれるので、病気になり難く、農薬散布を減らすこともできました。これはコストだけでなく労働効率の面で助かります」。
高温になった燃焼機内の冷却水はハウス外の室外機(ラジエータ)で放熱される。冷やされた冷却水は燃焼機に戻される。これが低温CO2を生み出す仕組みだ。
最も気になる収量についても伺うと、「『真呼吸』を導入して、昨年と比較して収量が約1.5倍に増えました。他のパラメータも変更したので『真呼吸』だけの効果とは言い切れませんが、それでも効果があると確信しています」と満足気だ。
時間だけを見ると『真呼吸』は従来品よりも長く稼働しているものの、局所施用だから灯油を無駄に燃やすことがないのも魅力。実際、燃料消費量は以前から変わらない、とのこと。ランニングコストは一般的な灯油燃焼式と同等と言って良さそうだ。
水色のパイプが子ダクト(直径約4cm)。低温のCO2は子ダクトに設けられた穴から放出される。群落に局所施用できるからCO2が拡散する前に吸収される。
「『嬉しい』『おいしい』、そして新鮮なトマトを直接食卓に届けることで、農業の魅力を伝えたい、というのが私の願いです。施設栽培は正しく行えば必ず利益を出せます。自分が成功すれば、地域の若い人が農業に参入してくれるはず。この地から日本の農業を元気にして行きたいです」と語ってくれた東馬場さん。その大きな夢を、『真呼吸』が支えている。
東馬場農園のこだわり
ハウス内環境
『真呼吸』の本体。燃焼機の冷却水はパイプを通じて室外機に届けられて放熱する。燃焼機で作られたCO2は燃焼機上のダクトフードを通過する際に空気と混合され、さらに温度を下げられる。この低温のCO2がハウス内に放出される。
水
東馬場農園の住所は神戸市北区道場町塩田。地名のとおり地下水には塩分が多く含まれる。同園では、この塩分を多量に含んだ地下水を100%使用。地域に特有の自然の恵みを活かすことで、濃厚な味を手に入れた。
減農薬
瑞々しさは一目瞭然の『うれしおとまと』。「『真呼吸』を導入したら元気に育ち、農薬散布を減らすことができました。より安心して食べて頂けるのは意外な効果でした」と東馬場さんも納得顔だ。
取材協力
東馬場農園
カーネーションや米を中心の経営から、東馬場さんが就農した2012年に20aのハウスを建設してトマト中心に転身。今ではトマト60aとイチゴ20aを育てているほか、新たにキュウリ、ズッキーニにもチャレンジしている。写真は、ハウスに隣接する直売所。
DATA
真呼吸(低温CO2局所施用システム)
センサー:株式会社誠和の環境測定器「プロファインダー」(別売品)を使用
※他社製環境制御機器からの外部信号入力も可(一部対応できないケースもあります)
CO2 供給量:外気温20℃以下で6.7kg/h(外気温により供給量は変化します)
電源:送風機のみ三相AC200V(50Hz/60Hz)、その他単相AC100V(50Hz/60Hz)
価格:発売記念キャンペーン 先着100台 実施中。詳しくはお問い合わせ下さい。
問い合わせ
TEL:0285-44-1751
Photo » Hiromi I
Text » Reggy Kawashima
AGRI JOURNAL vol.13より転載
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