【超農祭2025インタビュー】誰でも成功できる節水型栽培をつくり出したい
2026/02/04
日本の農業と世界のグリーン市場(ネイチャーポジティブ)をつなぐことを目指す株式会社NEWGREEN。超農祭2025を主催した同社代表取締役COOの中條大希さんに今後の展望を聞いた。
メイン画像:NEWGREEN代表取締役COO 中條大希さん
1.土壌をテーマに2回目のイベントを開催
2.失敗しやすい構造を放置してはいけない
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土壌をテーマに
2回目のイベントを開催
ー今回のイベントのねらいは
中條 「挑戦を続けるすべての農業者の祭典」というのが超農祭のコンセプトです。技術革新も環境負荷も大切なアジェンダですが、農業人口が急激に減っているいま、農業そのものが続かなければ意味がないと考えています。前回は、「節水型に初めて取り組んでみた」「やっぱりいいよね」「失敗したよね」という実践共有が中心でした。2年目となる今回は一歩踏み込んで「再現性」を議論しました。
ー土壌をテーマにした理由は
中條 土壌は、すべての前提だと考えたからです。農業者人口の減少、資材高騰、雑草・病害虫、生産性など、現場の苦悩を一つひとつひも解いていくと、結局のところ、土が原点にある(土が良くなることで解決できるものが多くある)ことに行き着きました。
節水型栽培に取り組むうえで、連作障害が一つの課題です。田んぼで湛水と落水を繰り返すことによって土壌の微生物が多様化し、特定の病原菌が優勢になるのを防ぎます。しかし、節水型で畑地化すると、土のバランスが崩れて、米の収量が落ちていく可能性があります。「節水型は環境に良い」というだけでは農業は続かない。どうすれば収量を落とさず、経営として成立させられるのか。そのために、土壌を“感覚”ではなく“データ”として扱う必要があり、土壌改善AIサービス「Humus」の導入につながりました。
失敗しやすい構造を
放置してはいけない
ー野菜農業者が節水型で稲作に参入するケースもあります
中條 大規模な野菜農業者のみなさんからたくさんの相談をいただいています。野菜の露地栽培は、収量的にも価格的にも気候や市場の影響を受けやすく、安定しないのが悩みです。
米がスゴイと思うのは、野菜を栽培してきたけど、米をつくったことがない人でも、日本という国が米の品種改良や技術開発に熱心に取り組んできた蓄積があるので、ある程度の収量を目指せます。そういう意味で、収益の根幹として、米を農業経営のポートフォリオとして入れておきたいと考えている野菜農業者は結構います。ただ、米づくりは決して簡単ではありません。その期待に応えるためにも、「失敗しやすい構造」を放置してはいけないと思っています。
ー今後の事業展開は
中條 節水型乾田直播は、「今後の農業にとって欠かせない選択肢の一つ」であることは間違いないと考えています。しかし、いまのままだと成功したり失敗したりするので、「誰でも成功できる状態」をつくり出したいと考えてBASFジャパンと連携し、「収量保証サービス」を開始しました。AIなどの最先端テクノロジーが、この収量保証サービスを進化させていくと思います。
それと、節水型栽培によって、メタンガス排出量を大幅に抑制して環境価値をものすごく高めることができると思います。いま、メタンガスをはじめとする温室効果ガスを抑制した米を流通させるためのプラットフォームと、国際的な認証を受けられる仕組みをつくっています。節水型栽培によりCO2の約300倍も強力な温室効果を持つ亜酸化窒素(N2O)の抑制にも取り組んでいきたいと考えています。
取材・文:佐久間厚志
撮影:金子怜史
AGRI JOURNAL vol.38(2026年冬号)より転載






