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日本農業はどう変わる? 「食料・農業・農村白書」から読み解く未来

年に一度公表され、その動向、同年度に実施した施策、翌年度以降の方針を明らかにしている『食料・農業・農村白書』。令和2年度の白書から、注目トピックスを要約して紹介しよう。

白書を読み解くと見えてくる
国として目指す農業の方向性

2021年5月、『令和2年度 食料・農業・農村白書』が公表された。食料・農業・農村は国の平和的存続において基本となるものであるため、この白書を年に一度公表して、その動向、同年度に実施した施策、翌年度以降の方針を明らかにしている。残念ながら白書に掲げられた目標が達せられないことも多く、例えば食料自給率や担い手確保は過去数十年に渡る課題であり続けている。

しかし、特に翌年度以降の施策は産官学の共通認識に基づいているので、国として目指す未来の農業の方向性を理解するのに役立つ。また補助金の動向を示唆するものとして目を光らせておくと良いだろう。

ここでは白書の注目トピックスを要約して紹介しよう。農水省のウェブサイトで無料公開されている全文と併せてご一読いただきたい。



1.みどりの食料システム戦略

持続可能な食料システムの実現を目指して『みどりの食料システム戦略』が策定された。生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する。特にインパクトを与えたのが、2050年までのCO2排出ゼロ化だ。ハードルは高いが方向性は示された。

2050年までに目指す姿(要約)

●農林水産業のCO2 ゼロエミッション化を実現
●化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減
●化学肥料の使用量を30%低減
●有機農業の面積割合を25%(100万ha)に拡大
●食品製造業の労働生産性を最低3割向上(2030年まで)
●食品企業において持続可能性に配慮した輸入原材料調達を実現(2030年まで)
 

2.農林水産物・食品の輸出の新たな戦略

農林水産省に「輸出・国際局」(仮称)を設置して、海外市場で求められる量・価格・品質・規格の産品を継続的に生産・販売するマーケットインの体制を整備する。輸出重点27品目と輸出目標が設定され、ターゲット国・地域、輸出目標、手段が明確化された。 

 
 

3.スマート農業実証プロジェクト

スマート農業技術について、生産現場に導入して経営に与える効果の分析・情報発信を行うスマート農業実証プロジェクトが実施されている。その課題を踏まえ、今後5年間に展開する政策の方向性を示す『スマート農業推進総合パッケージ』が策定された。
 

4.農業・食関連産業でのデジタル変革の推進

デジタル技術活用を推進するための『農業DX構想』がまとめられた。鳥獣被害対策や農業基盤整備、それに流通・消費分野でのデータ活用のほか、食品製造業や外食・中食産業におけるAIやロボット技術による自動化等が考えられている。
 

5.フードテックの現状

代替肉や健康・栄養に配慮した食品、調理ロボット、昆虫を活用した環境負荷の低減に資する食料・飼料・肥料の生産等の分野で、スタートアップ企業等が事業展開、研究開発を実施していることが記載された。2020年10月にはフードテック官民協議会が設立された。


AGRI JOURNAL vol.21(2021年秋号)より転載

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