市場における入荷作業時間を82%削減! JAと市場のデータ連携で作業効率を大幅アップへ
2025/05/01

国産青果物の流通において、大きな役割を担うJAと市場。一般的な市場流通では、手作業が多く労力がかかることが課題だ。今回の実証では、データ連携によって入荷に要する作業を大幅に削減することを確認した。
入荷に要する作業を82%削減!
JAと市場でデータを連携
今回、内閣府の研究開発とSociety5.0との船渡しプログラムにおいて、農業協同組合(JA)と青果卸売市場(市場)のシステム間の連携実証を行い、データ連携によって市場での入荷に要する作業が82%削減できることが確認された。
国産青果物の流通において、76.4%は市場を経由して販売が行われているが、その多くはJAから出荷されており、JAと市場は大きな役割を担っている。しかし、一般的な市場流通では、紙伝票やFAXによる伝達、目視による検品など、手作業が多く、労力がかかることや、情報精度の低下が課題として挙げられる。
今回の実証では、JAの集出荷をデジタル化する「みどりクラウドらくらく出荷」(セラク)と、全国の中央・地方卸売市場で利用されている基幹システム「Kit-Fitマルシェ」(都筑電気)をスマートフードチェーンプラットフォームukabis(一般社団法人スマートフードチェーン推進機構)を通じて、伝票データを直接やり取りするようなシステム連携が行われた。
このシステム連携により、らくらく出荷によって生成されたJAの出荷情報をデジタルデータとして市場の基幹システムに、簡単に取り込むことができ可能となる。その結果、市場ではFAXで受信した紙伝票の内容を手入力していた作業が不要となり、データを取り込むだけで入荷処理が完了できるとのこと。
流通経済研究所、都築電気、およびセラクによって、全国のJA・市場へ本実証成果の社会実装が共同で進められている。
以下、株式会社セラクのリリースより
「みどりクラウド らくらく出荷」と「KitFitマルシェ」のデータ連携により、市場における入荷作業時間を82%削減
公益財団法人流通経済研究所(東京都千代田区、理事長:青山 繁弘 以下、流通経済研究所)及び一般社団法人スマートフードチェーン推進機構(東京都千代田区、代表理事:折笠 俊輔)は、都築電気株式会社(東京都港区、代表取締役社長:吉井 一典 以下、都築電気)、株式会社セラク(東京都新宿区、代表取締役:宮崎 龍己 以下、セラク)と、内閣府の研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)「商品コード標準化・ソースマーキング技術による農水産物・食品流通の高度化」において、農業協同組合(JA)と青果卸売市場(市場)のシステム間の連携実証を行い、データ連携によって市場での入荷に要する作業時間が82%削減することを確認しました。
取り組み背景
国産青果物の76.4%は市場を経由して販売が行われていますが、その多くはJAから出荷されており、国産青果物の流通において、JAと市場は非常に大きな役割を担っています。
JAは生産者から青果物を集荷し、検品を行い、規格毎に集計、販売先に振り分ける分荷作業を経て、それぞれの市場向けに紙伝票を手書きで作成します。紙伝票はFAXを用いて市場に伝達され、市場側では、到着した伝票の内容をシステムに入力する作業をしています。このように、一般的な市場流通は、紙伝票やFAXによる伝達、目視による検品など、非常に多くの労力を要しています。また、情報を繰り返し、人の手によって入力・複製するため、情報精度が低下してしまうという課題があります。
研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)「商品コード標準化・ソースマーキング技術による農水産物・食品流通の高度化」における実証内容
本実証では、JAの集出荷をデジタル化する「みどりクラウドらくらく出荷」(セラク)と、全国の中央・地方卸売市場で利用されている基幹システム「KitFitマルシェ」(都築電気)をスマートフードチェーンプラットフォームukabis(一般社団法人スマートフードチェーン推進機構)を通じて、伝票データを直接やり取りするようなシステム連携を行いました。
このシステム連携により、らくらく出荷によって生成されたJAの出荷情報をデジタルデータとして市場の基幹システムに、簡単に取り込むことが可能となります。その結果、市場では、FAXで受信した紙伝票の内容を手入力していた作業が不要となり、データを取り込むだけで入荷処理が完了できます。こうしたデータ連携により従来の入荷作業時間が82%削減され、作業効率が大幅に向上することが確認できました。
流通経済研究所、都築電気、およびセラクは、全国のJA・市場へ本実証成果の社会実装を共同で進め、国内青果流通の合理化を目指してまいります。
スマートフードチェーンプラットフォームukabisについて
スマートフードチェーンプラットフォーム「ukabis」は、スマートフードシステムを支える、生産、加工・流通、販売・消費、資源循環、育種/品種改良におけるデータ共有を可能とする情報連携基盤です。内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の取り組みの一環で構築され、一般社団法人スマートフードチェーン推進機構が運営しています。
・ukabisKitFitマルシェ(都築電気)について
KitFit マルシェは、都築電気が有する青果市場システム導入40年以上の実績とノウハウが作り出した青果卸売業様のためのソリューションです。固定セリ、移動セリ、相対販売など様々な売り方、転送業務、控除・諸掛の自動配分、各種利益管理など業界特化の専門機能を有しています。
・KitFitマルシェみどりクラウド らくらく出荷(セラク)について
「みどりクラウド らくらく出荷」は、農業者や出荷団体にとって負担となっていた集荷・出荷における計数・伝票発行作業を大幅に省力化いたします。また、青果物に対して個体識別番号を付与することで、青果物のロット単位でのトレーサビリティを実現。本サービスが媒体となって川上で生み出された栽培データを川下に、また、川下での青果物の評価を川上に伝えることができ、スマートフードチェーンの構築に貢献します。
・みどりクラウドらくらく出荷
本実証結果について、各企業は以下のようにコメントを寄せています。
公益財団法人流通経済研究所 事業・研究統括 兼 デジタル・サービス部門長
主席研究員 (兼 一般社団法人スマートフードチェーン推進機構 代表理事)
折笠 俊輔今回、ukabisを経由して、産地の出荷データ(らくらく出荷で取得したデータ)を出荷先の卸売市場の基幹システムに直接連携することが可能となりました。これは、産地からの出荷伝票の電子化(EDI化)であり、大幅にデータ入力工数などを削減できるものです。今後、対応する出荷システムやデータを受領できる卸売市場を拡大し、産地と卸売市場をつなぐデータインフラとしてukabisを活用できるようにしていく予定です。
都築電気株式会社 エンタープライズソリューション統括部
インダストリーサービス部 担当部長 青木謙介卸売市場の基幹業務システムであるKitFit マルシェとスマートフードチェーンプラットフォーム「ukabis」のAPI接続によって、みどりクラウドらくらく出荷でデジタル化された 生産者・農協からの出荷情報が、迅速かつ正確に卸売会社の入荷情報に連携されるようになりました。この仕組みは、川上から川中への情報連携のみならず、市場間の転送取引等にも応用可能であり、青果物DX推進の有効な実装手段になると思います。
株式会社セラク みどりクラウド事業部 事業部長 持田宏平
みどりクラウドらくらく出荷は、生産者とJAが行う集出荷作業をデジタル化することで、正確な情報を早く相手先に伝達することを可能にし、さらに、JA販売事業の省力化を実現してきました。今回、ukabisを通じて市場の基幹システムであるKitFitマルシェとデータ連携することで、JAのデータが市場でも活用され、フードバリューチェーン全体の効率化に寄与することが実証されました。これは、らくらく出荷のサービス価値を向上させるものであり、今後、全国への普及を後押しする成果であると考えています。
【会社概要】
社名:株式会社セラク
業種:サービス業
本社所在地:新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア6F
電話番号:03-3227-2321
代表者名:宮崎龍己
上場:東証スタンダード
資本金:3億700万円
設立:1987年12月
URL:https://www.seraku.co.jp/引用:「みどりクラウド らくらく出荷」と「KitFitマルシェ」のデータ連携により、市場における入荷作業時間を82%削減