環境省、脱炭素へ電動農機導入を支援 従来型との差額の3分の2を補助

みどりの食料システム戦略において、2030年までに普及率50%を目指す電動農機。草刈り機をはじめとする各種電動農機の普及に向け、環境省は7月7日から補助金の交付申請の受け付けを開始した。

 

2030年度までに
電動農機の普及率を50%に

農業機械の電動化促進事業(出典 環境省)

環境省は、運輸部門をはじめとするモビリティ分野の脱炭素化を加速させるため、2024年度から「運輸部門等の脱炭素化に向けた先進的システム社会実装促進事業」をスタートさせた。

この事業は、電動化に向けた基礎研究や製品開発の動きが速い一方で、関係者間の連携や社会受容性を高める取り組みが十分ではなく、社会実装が進まないという課題を背景に設計されたものである。

社会的な課題を踏まえて国が優先的に取り組むべきと定めた分野を対象とし、先進的な技術やシステムを導入して環境負荷削減効果を把握・検証するとともに、社会実装の障害となる課題の解決策を検討することを目的としている。

当初は商用車の電動化、バッテリーのリユース・リサイクル、次世代型物流の3事業で開始されたが、2025年度からは農林水産省と連携する形で新たに「農業機械の電動化促進事業」が追加された。

この事業の根底には、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」の存在がある。同戦略では、持続可能な食料システムの確立に向けて農業分野の脱炭素化を強く推進しており、2030年までにすでに実用化されている化石燃料使用量削減に資する電動草刈機や自動操舵システムの普及率を50%以上に高めるという目標を掲げている。

さらに2040年までには農林業機械の電化や水素化などの脱炭素技術を完全に確立し、最終的な目標として2050年までに農林水産業のCO₂ゼロエミッション化、すなわち化石燃料の燃焼によるCO2排出量を100%削減することを目指している。

現在の国内農業においては、多くの機械が軽油やガソリンを燃料とするエンジンで稼働しており、化石燃料の消費に伴う二酸化炭素の排出が大きな課題となっている。みどりの食料システム戦略が描く2050年のゼロエミッション化を達成するためには、現場での機械の置き換えが不可欠である。

この事業は、多様な農業現場において電動農機の利用および生産性向上のモデルケースを形成する実証を行うことで、戦略の目標達成に向けた力強い原動力となることが期待されている。

農業機械の電動化促進事業は
2027年度までの3年間実施

農業機械の電動化促進事業(出典 環境省)

この事業はもともと2024年度からスタートしたもので、当初は商用車の電動化促進やバッテリーのリユース・リサイクル促進、次世代型物流促進といった、主に陸上輸送や物流分野を対象とした3つの事業構成で実施されていた。

しかし、モビリティ全体の脱炭素化を加速させるためには、農業分野へのアプローチが不可欠であることから、2025年度より、新たに「農業機械の電動化促進事業」が追加されることとなった。

この事業が描く将来目標は、令和の時代における新たな脱炭素輸送・稼働モデルを確立することである。2026年度の運輸部門全体の予算額は14億1,500万円にのぼり、農業機械の電動化促進事業については2027年度までの実施期間が予定されている。

この期間を通じて、さまざまな地域や栽培品目、作業形態における電動農機の稼働データを蓄積し、将来的には国が定める優先分野における標準的なシステムとして定着させ、日本のモビリティ全体の脱炭素化を底上げしていくことを目標としている。

従来型農業機械との
差額の3分の2を補助

補助事業の枠組みは、環境省と農林水産省が連携し、事務局および事業の執行は、前年度と同様に公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会(JATAFF)が受託し、運営管理を担っている。

この事業の補助率は3分の2とされているが、電動農機本体の導入に関しては、購入総額の3分の2ではなく、電動農業機械の販売価格と、対応する従来型(内燃機関式)の農業機械の販売価格との差額の3分の2が国から補助される仕組みになっている。

すなわち、ガソリン車やディーゼル車といった従来の農機に比べて、電動化することでどうしても割高になってしまう上乗せ分のコストについて、その3分の2を国がカバーし、購入側の追加負担を従来の3分の1にまで抑えるという制度設計である。

2026年度の公募申請の受け付けは、7月7日(火)に開始された。申請はデジタル庁の電子申請システムである「jGrants」を通じて行う。申請の受け付けは11月30日(月)まで行われるが、期間内であっても予算の上限金額に達した時点で申請受け付けは終了となる。

公募開始の段階では、前年度と比較して仕様と価格に変更がない19機種が対象になる。今後、メーカーなどからの申請を受けて、対象機材が追加される。

事務局の農林水産・食品産業技術振興協会では、「導入を検討しているみなさまは公募要領を早期に確認し、販売店などから従来機との比較見積り書を取得するなど、具体的な計画づくりを迅速に進めていただくようお願いします」と呼びかけている。

DATA

令和8年度農業機械の電動化促進事業の公募について
令和8年度補助対象電動農業機械一覧


取材・文:アグリジャーナル編集部

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