武部農相 11月2日記者会見「肥料価格が前年比2割以上高騰、国内資源への転換や適正施肥を進めていく」
2026.11.02
武部農林水産大臣は11月2日の記者会見で、令和9年春用肥料の卸売価格が前年比21.1パーセントの値上げとなったことについて、「国際情勢に影響を受けにくい家畜の糞尿や下水汚泥など国内資源を活用した肥料への転換を進めるほか、適正施肥の取り組みなどによって、化学肥料の使用量を低減する等の対策を総合的に進めていく」と述べた。
メイン画像:記者会見する武部 農林水産大臣(出典 農林水産省)
武部農水大臣
記者会見概要
―コメについて伺います。10月30日の食糧部会で示された、再来年6月末の民間在庫量は、買戻し条件付きの備蓄米の追加買戻しを全量実施した場合でも、最大257万トンと、適正水準が180万から200万トンとされる中、この見通しをどのように受け止めているでしょうか。また、こうした状況を踏まえて、「需要に応じた生産」をどのように推進していくお考えか、お願いします。
大臣 米の需給については、10月30日の食糧部会でお示ししたとおり、令和10年6月末の民間在庫量は、233万トンから267万トンと見通しており、買戻し条件付きで売り渡した備蓄米31万トン、残り10万トンを追加で買い戻した場合には、223万トンから257万トンとなります。こうした見通しについては、災害や長雨の影響を見極める必要があるものの、供給量は十分に確保されている環境にあると受け止めています。
今後、需給の安定を図るためには、主食用米のみならず、加工用や米粉用、輸出用等の多様な米の需要開拓を進めた上で、「需要に応じた生産」を徹底することが基本となります。このため、多様な米についてのきめ細かい需給状況や、令和9年度以降の新たな水田政策に関する情報を、確実に産地に届けていけるよう、引き続き実需者との意見交換を行ってまいりたいと思っております。このほか、地方自治体、生産者団体、都道府県・地域農業再生協議会等の御意見を伺いながら、現場の皆様に、早め早めの情報提供を行うなど丁寧かつ迅速な対応を実施してまいります。
― コメについて、先週、発表されました10月19日から25日に全国のスーパーで販売された米の平均価格が5キロ2,788円に落ち込みました。米の生産から販売までの費用を積み上げたコスト指標を割り込んでおりますが、持続的な供給に必要な費用を下回って流通している現状について、大臣としては、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
大臣 10月30日金曜日に公表しましたPOSデータでは、10月19日から10月25日までの週の全平均価格が、前週に比べて33円低下して、5キログラム当たり2,788円と、11週連続の低下となりました。今回、御指摘のとおり、コスト指標、5キロで2,816円を下回る結果となりましたが、コスト指標は、取引条件の協議に当たり参照すべき指標であり、国が認めた最低取引価格ではありません。米の価格については、民間の取引環境の中で決まるものでありますが、生産者の再生産・再投資が可能で、かつ、消費者の皆様方に御理解を得られるような価格に落ち着いていくことが重要だと考えております。このため、主食用米のみならず、加工用や米粉用、輸出用などの需要開拓を進めて、需要に応じた生産を徹底してまいりたいと思います。その上で、コスト指標の活用により、費用を考慮した価格形成を進めてまいりたいと考えております。
―もう1点、先ほどの質問とも関連するのですけれども、来年の生産量を693万トンとされたことについて、食糧部会の委員や産地からは、需給緩和が引き続き、続くのではないかという懸念の声が上がっています。また、需給を改善するためには693万トンよりも更に深掘りした生産が必要になるのではないかとの懸念もありますが、こうした見方についての受け止めをお願いできますでしょうか。
大臣 令和9年産の「主食用米の生産見通し」については、先ほどお話しましたけれども、10月30日の食糧部会でお示ししたとおりでありますが、二度と供給不足を招かないよう、引き続き、需要に対して余裕を持った生産見通しとすることを基本としつつ、民間在庫が過去最高水準にあることも踏まえて、直近5年平均の一人当たり消費量等により設定した需要見通しと合わせて、「693万トン」と設定いたしました。また、これと併せて、実需者団体からヒアリング等を基にして、加工用、輸出用、米粉用など用途別の需給見通しもお示ししたところであります。
今後、米の需給の安定を図るためには、主食用のみならず、加工用、米粉用、輸出用など多様な米の需要開拓を進めることが重要だと考えております。その上で、主食用米だけではなくて、多様な米について、「需要に応じた生産」を徹底することが基本でありますので、農水省としては、その環境を整えてまいりたいと思います。
―肥料の価格について伺います。先週金曜日に、JA全農が発表した春の肥料の価格は、複合肥料で15パーセントほど値上がりして、ウクライナ危機以来の価格水準になるということがわかりました。これについて、大臣の受け止めと、生産費がかなり上がっていくというところで、今後、追加の支援や対策などを行っていかれたい考えがあるか、お聞かせください。
大臣 30日金曜日に全農が公表しました、本年11月以降に販売する令和9年春用肥料の卸売価格は、基準銘柄の高度化成肥料で、対前期比15.3パーセント、対前年比で21.1パーセントの値上げとなったと承知しております。農業経営の影響については、今後、小売価格の動向に注視する必要があると思っております。今後、農産物の取引において、コストを下回る価格での取引が常態化するような場合については、農業経営の継続、ひいては、食料の安定供給にも影響が生じる可能性があります。このため、肥料など資材価格の高騰に際しては、まずは、生産者だけに負担を強いることがないように、消費者理解を醸成し、適正に価格転嫁を進めていくことが重要だと考えています。
また、産地側では、国際情勢に影響を受けにくい家畜の糞尿や下水汚泥など国内資源を活用した肥料への転換を進めるほか、適正施肥の取組等によって、化学肥料の使用量を低減する等の対策を総合的に進めていくことが、引き続き重要であります。追加的な支援については、現場の実情をよく見極めながら、具体的にどのような対応が適切か検討し、農業経営に影響が生じないように、しっかりと対応してまいりたいと思います。
―あともう1点、週刊誌報道について伺わせてください。昨日、文春オンラインが、大臣側が2014年と2017年の衆院選で、選挙資金の原資として党の支部から受け取った寄付を報告書に記載していなかったという旨の報道をしていました。これの事実関係と、大臣の受け止めをお聞かせください。
大臣 この件については、先週の水曜日、28日に御説明したとおりです。事務的なミスによって、党支部の政治資金収支報告書に、誤って、私の総連合の後援会への寄付を記載したために、選挙運動費用収支報告書と平仄が合わなくなったということで、御説明したとおりであります。
DATA
取材・文:アグリジャーナル編集部
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