異例のメーカー共同試験!微生物資材コフナ®と菌根菌資材Rootella®の二刀流農法とは

近年、多様なバイオスティミュラント資材が市場に登場する一方で、「使い方がわからない」「効果が見えにくい」といった戸惑いの声も少なくない。こうした課題に対し、土づくり微生物資材「コフナ®」を扱うニチモウ株式会社と、菌根菌資材「Rootella®」を展開する島貿易株式会社がタッグを組んだ。

 

異なる強みを持つ2つの資材
異例の共同試験を開始!

写真左手前から時計回りで、島貿易株式会社 佐藤友亮さん、根岸英介さん、中村祐樹さん、ニチモウ株式会社 林雄一郎さん、大畑和生さん、羽喰健治さん

共同試験プロジェクトのきっかけは、全国土壌改良資材協議会などを通じて交流がはじまり、話を交わすうちに双方が共感した、農業の現場での問題意識だったという。それは、微生物資材は目に見えない製品であるため効果が実感しにくく、農家に納得して導入してもらうには客観的なデータによる「見える化」が不可欠であるという点だ。

島貿易の佐藤さんは「微生物は目に見えないからこそ、人工気象器を用いた試験などで目に見えるデータを作成し、農家の方々に納得して試してもらうためのきっかけを作りたかった」と当時の思いを明かす。

そこで、土壌環境を整えて豊かな土づくりを担う「コフナ®」と、植物と土壌の橋渡しとして養分吸収を促進する「Rootella®」の2つを組み合わせることで、単独使用では得られない「掛け算」の相乗効果が生まれるのではないかという着想が生まれ、共同試験がスタートした。自社資材の強みを熟知するメーカー同士が補完し合う取り組みは業界内でも極めて珍しい。資材の理解促進にとどまらず、共通の顧客に対する新たなソリューション提案の機会を創出する試みとして、大きな期待をかけたプロジェクトだった。

 

誤ったBS資材の理解は
ユーザー離れを招きかねない

また、こんな背景もある。ニチモウの羽喰さんは「昨今、バイオスティミュラント資材の市場には多種多様な製品が参入していますが、その効果や用途、使用時期がきちんと整理されているとは言えず、農家が自らの圃場や作物に合った資材を選びにくいのが現状」と分析する。

例えば、高温対策に有効とされる資材であっても、適切なタイミングを無視して投与してしまえば期待通りの効果は得られない。こうしたミスマッチが積み重なることで、「バイオスティミュラント資材は効果が分からない」というネガティブな印象を生む原因になっていた。これは利用者が誤って使用しているというより、効果的な使用方法の周知が足りていないことに要因がある。

ニチモウの大畑さんは「どのような資材であっても、植物のどの成長ステージで使うべきかという目的を明確に示さなければ現場に対して不親切であり、『効かない』という誤解を生んでしまう」と指摘する。今回の両社の取り組みは、2つの資材の「掛け算」の効果測定に加えて、土壌や作物の状態を見極めた正しい使い方と適切なタイミングを含めた提案を行うという、バイオスティミュラント市場への問題提起の側面もあるのだ。

資材の特徴を分析し、検証!
相乗効果が認められた


左:コフナMPSS 、右:フランスコフナ

今回の検証で用いられた2つの資材は、それぞれ際立った特徴を備えている。ニチモウの「コフナ®」は、好気性・嫌気性の複数種類の有用微生物を含有し、土壌中の微生物を活性化・多様化する特徴があり、有機物の分解・腐植化を促進する働きで、硬くなった土壌の物理的な改善を促す。土壌の硬さや有機物量、水はけの良し悪しなど、多様な圃場条件に合わせて柔軟に活用できるのが強みだ。


ニチモウは、各地の土壌硬度測定のほか、太陽熱消毒(還元消毒)など現場での指導にも積極的に取り組んでいる。


菌根菌を高濃度に資材化した「Rootella®F」

対する島貿易の「Rootella®」は、1gあたり約20,800propagulesという圧倒的な菌数を誇る高濃度菌根菌資材である。植物がSOSとして放出するホルモンシグナルを素早く捉え、根へ定着する確率を高める。さらに温度管理をはじめとする保管や適切な使用方法や時期のアドバイスまで徹底して行われている。


島貿易は菌根菌の見える化による定着測定にも取り組んでいる。

島貿易の佐藤さんは「製品の品質を保つために5〜25度での適切な温度管理や保管方法を現場にアドバイスするほか、農薬との相性情報なども含めて手厚くサポートしている」と自社の姿勢を説明する。


試験は島貿易の専用ラボ(アグリ資源ラボ)で厳密に行われた。採取した植物の根を薬品で脱色・染色処理し、顕微鏡下で青く浮き上がる菌根菌の「嚢状体(養分を蓄えるタンク)」や樹枝状体を確認する。定着率を正確に測定し、菌根菌の活動を数値データとして可視化している。

水稲試験の結果、
大きなメリットを実感!

共同試験の目的であるコフナ®で発根環境を整え、「Rootella®」で根の肥料吸収のポテンシャルを上げていくことを確認するために、「Rootella®」において高い実績がある水稲を選んだ。

人工気象器を用いたバケツ稲の比較試験では、コフナ®単独区、Rootella®単独区、そして両資材の併用区が設定された。島貿易の中村さんは「国内で最も作付面積が広い水稲を対象に、温度、湿度、照度環境を設定した人工気象器で日々成長を管理しながら評価を行った」と試験の条件を解説する。

検証の結果、菌根菌の定着数自体は単独区と併用区で大きな差が見られなかったものの、最終的な収量指標である「籾の数」においては、併用区で明確な増加が確認された。これは、「Rootella®」が伸ばした菌糸ネットワークを通じ、コフナ®によって改善された土壌中の豊富な栄養素がより多く吸い上げられたことを示唆している。

ただし、今回の試験はあくまで小規模の基礎データであるため、実際のフィールドでの検証が不可欠。今季は、米どころである新潟や北海道など複数の現地圃場でフィールド試験を実施している。一部収穫調査がはじまっているが、ラボ結果のように両資材混合区の分げつ数が最も旺盛な結果となるフィールドもでてきている。

新潟県佐渡市で今季実施したフィールド試験(品種:コシヒカリ)


収穫時期の分げつ数が対照区と比較し21.6%増の結果。籾数や菌根菌定着率などの測定をこれから実施する。

他の作物への好作用も期待大
10月の農業WEEK出展もチェック!

今後は、水稲をはじめ、両社が既に実績を持つ作物を中心に、農家の現場での困りごとにあわせた併用提案を本格化させていくという。現在でも、太陽熱消毒でコフナ®が使われているいちご圃場にて「Rootella®」を使用するなどの先行事例があり、「一般的に肥沃な土壌では菌根菌資材の効果がわかりづらいイメージはあるが、Rootella®はしっかりと土づくりをしている土壌においても活躍してくれる」(ニチモウの大畑さん)と、作物との相性によっては目に見える違いがありそうだ。

さらに、10月7日より幕張メッセで開催される展示会「農業WEEK」(J-AGRI)において、今回の共同試験やフィールド試験の実証成果を合同で紹介していく方針だ。イメージや評判だけに頼るのではなく、具体的な使い方と裏付けとなるデータを発信し、微生物資材の価値を現場へ届けていくことこそが、正しい普及への何よりの近道となる。二社の取り組みに、これからも注目していきたい。

問い合わせ

ニチモウ(株) アグリビジネスチーム
TEL:03-3458-4369
メールアドレス:info@cofuna.jp

過去の記事➤農薬ありきの常識を覆す。カーネーション栽培の未来を拓く「土壌環境」の再構築

過去の記事➤篤農家に聞く! 長雨や猛暑に負けない、レタスの玉揃い安定のための秘訣は?

過去の記事➤国内屈指のキュウリ産地宮崎で注目! 微生物資材がもたらした “根”への効果

島貿易株式会社 事業推進部/アグリ資材ラボ
TEL:03-3546-3129
メールアドレス:agri-lab@shima-tra.co.jp

過去の記事➤菌根菌が作物に与える3つの効果とは? 菌根菌由来のバイオスティミュラントが使用拡大中


取材・文:本多祐介
写真:金子怜史

Sponsored by EF Polymer株式会社・島貿易株式会社

PICK UP
注目記事

RANKING

  1. 1
    天然保水性ポリマー「EFポリマー」が土を「資産」に変える。高温・乾燥に挑む2人の経営戦略
    天然保水性ポリマー「EFポリマー」が土を「資産」に変える。高温・乾燥に挑む2人の経営戦略
  2. 2
    下水汚泥を使いやすい茶用肥料へ 鹿児島で進む「産官学農」連携の資源循環
    下水汚泥を使いやすい茶用肥料へ 鹿児島で進む「産官学農」連携の資源循環
  3. 3
    大根を太く、美しく! 微生物資材と有機肥料で取り組む都市農業の土づくり
    大根を太く、美しく! 微生物資材と有機肥料で取り組む都市農業の土づくり
  4. 4
    【2026年最新版】「バッテリー式刈払機」の選び方。各メーカーおすすめ機種はコレ!
    【2026年最新版】「バッテリー式刈払機」の選び方。各メーカーおすすめ機種はコレ!
  5. 5
    【農水省】来年度概算要求を読み解く、消費税引き下げへの対応と営農継続が課題
    【農水省】来年度概算要求を読み解く、消費税引き下げへの対応と営農継続が課題

MAGAZINE

vol.41|¥0
2026/10/01発行

PRESS