バイオスティミュラントの正しい選び方。現場で成果を出すために、生産者が意識すべきポイントや注意点は?

猛暑や気候変動、資材高騰に立ち向かう手立てとして注目の「バイオスティミュラント」。最新動向と全国の生産者から届いた口コミを通じて、資材の実力と現場で上手に使いこなすためのヒントをお届けする。

メイン画像:©VH-studio/Shutterstock.com

 

バイオスティミュラント(BS)とは?

バイオスティミュラント(Bio-stimulant:生物刺激剤)とは、植物やその根圏に施用することで、植物本来の生理プロセスを活性化させる資材や技術のこと。従来の「肥料(直接的な栄養補給)」や「農薬(病害虫・雑草の防除)」とは異なり、高温・乾燥・低温・長雨といった「非生物的ストレス」に対する耐性を高め、発根促進や品質・収量の向上、肥料吸収効率の改善を図る“第3の農業資材”として世界的に注目を集めている。

注目される背景と最新動向

近年、夏の猛暑や長雨、春先の霜害など、気候変動による農作物の生育不良や品質低下が全国的な現場課題となっている。加えて、世界的な肥料価格の高騰や、農林水産省が進める「みどり戦略(みどりの食料システム戦略)」における化学肥料の低減目標も大きな後押しとなっている。植物自体の健やかな生育力を引き出し、少ない肥料でも環境ストレスに負けない作物を育てられるBS資材は、持続可能な農業を実現する強力な選択肢として普及が進んでいる。

農水省ガイドライン制定の
背景とポイント

市場が急拡大する一方で、過度な効果効能の提示や、科学的根拠が曖昧な資材が混在することが懸念されてきた。そこで農林水産省は2025年5月、生産者が安心して効果的な資材を選択できるよう、「バイオスティミュラント等に関する表示等のガイドライン」を整備・公表した。

<ガイドラインの主なポイント>
●概念・定義の整理:肥料や農薬との違いを明確にし、非生物的ストレスの緩和や養分利用効率の向上を目指すものと定義。
●科学的根拠の要求:効果や効能を表示・訴求する際は、客観的で再現性のある試験データに基づく根拠を求める。
●関係法令との整理:病害虫防除(農薬)や直接的な栄養補給(肥料)と誤認される誇大表示を防ぎ、適切な品質・安全性を確保。

協議会に聞く、
バイオスティミュラント活用のポイント

PROFILE

日本バイオスティミュラント協議会
企画・広報委員長

鈴木基史さん


 

Q 近年、バイオスティミュラント(BS)への関心が広がっていますが、現場における認知度や導入傾向はどのように変化していますか?

A 近年のバイオスティミュラントに対する期待は、猛暑をはじめとする高温ストレス対策がとても多いと感じています。JBSAにはさまざまなところから講演依頼がありますが、稲作、露地野菜、花卉、施設園芸と多岐にわたり、各方面で導入が進んでいることを実感しています。降雨による湿害や低温・低日照への問い合わせもあります。

Q BS資材を現場で効果的に活用するために、生産者が意識すべきポイントや注意点を教えてください。

A メーカー側からの説明をしっかり聞き、現場での状況に合わせて使ってもらうことが一番だと思います。製品ラベルには書ける面積が限られているので、パンフレットやウェブサイトなどを見て、施用方法や作物の事例を確認してから使うことを推奨します。できれば、どうして効くのかのメカニズムも分かった上で使うと効果も出やすいですね。土壌や農作物が元々持っている力を引き出すのがBS資材ですので、ストレスの程度や植物の状態によっても効果は異なってきます。

Q 生産者が安心して品質の良い資材を選べるよう、協議会で推進されている安全性や品質確保の取り組みについて教えてください。

A ユーザーのみなさまに安心して品質の良い資材を選んでいただくため、JBSAでは農水省のガイドラインを踏まえた自主基準を策定し、メーカー側が取り組むべき具体的な事項をHPで見られるようにしています。BSとしての効果・効能を表記するには根拠を持つことが必要で、そのために取り組むべき指標を述べています。安全性についても情報が分かるよう、製品安全データシート(SDS)を発行するなどの取り組みを自主基準で推奨しています。マークが付いた認証制度の要否も発足以来協議しており、EUやUSAの状況と課題を見ながら日本におけるあり方を今後打ち出していきたいと考えています。それまではメーカーが自主基準に取り組めるよう周知活動を行っていきます。

Q 今後の農業現場において、バイオスティミュラントはどのような役割を果たしていくとお考えでしょうか。

A 気候変動が明らかになってきている現在、農業技術の中でもBSに対する期待は高まっていると思います。高温だけでなく、湿害・乾燥・低温・低日照のような環境ストレスで効果を発揮する資材もあります。また、栄養素の利用効率を高めたり天然由来のものが多いですので、「みどり戦略」が掲げる「化学肥料の低減」や「有機農業の拡大」にも貢献できると考えています。生産現場でBS資材が役立てるよう、協議会として健全な普及に努めていきたいです。

 

協議会の取り組みを動画で見る!

 


AGRI JOURNAL vol.41(2026年秋号)より転載

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