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ドローンとAIの活用でイチゴの花と実をカウント! 収穫量を予測する新ソリューション

ベルギーにある産業技術研究所、「フランダース・メイク」。彼らは圃場の可視化、土壌や地形の分析、作物の生育状況のモニタリングなど、ドローンを使ってイチゴの収穫量を予測する、新しいソリューションを提案する。

ドローンと人工知能を活用!
イチゴ収穫量の新しい予測方法

「フランダース・メイク」は、ベルギー北部・フランダース地域政府の助成のもと、フランダース地方の製造業の国際競争力を高めるべく創設された産業技術研究所である。650名以上の研究員が所属し、幅広い分野にわたって最先端テクノロジーの研究開発に取り組んでいる。

自律飛行するドローン(無人航空機:UAV)は、人工知能(AI)と組み合わせることで、従来手作業で行っている時間や手間のかかるタスクを自動化できる可能性がある。そこで、「フランダース・メイク」では、農業と物流の分野で、ドローンと人工知能を活用したソリューションの開発をすすめてきた。

©Fanders Make

ドローンに搭載されたカメラで空中から圃場を撮影し、高解像度の画像を人工知能で解析してイチゴの花や実を自動で数えるソリューションは、果樹園芸を専門とするベルギーの研究機関「ピーシーフルーツ」との提携によって実用化された成果のひとつだ。研究チームは、実際に圃場でイチゴの花や実を手作業で数えて集計し、ドローンのカメラが撮影した画像をもとに独自のアルゴリズムが導き出した解析結果と照合して、両者の誤差の範囲を算出。この誤差を考慮したうえで、今後3週間にわたるイチゴの収穫量を精緻に予測できる仕組みをつくりあげた。



ベルギーで導入が進みつつある
ドローン技術

「フランダース・メイク」がドローン技術へのニーズについて農業生産者を対象に実施したアンケート調査では、15%が「農作物の栽培や果樹園芸でドローンを利用したことがある」と回答。その具体的な用途として、圃場の可視化、土壌や地形の分析、作物の生育状況のモニタリングなどを挙げ、「ドローンが収集したデータによって有益なインサイトを新たに得られた」と、その有用性を概ね評価している。

しかし一方で、ドローンをまだ導入していない農業生産者の多くは「ドローンの活用方法や費用対効果がよくわからない」と感じている。

農業生産者にとって、農作物の収穫量を精緻に予測することは重要だ。花の数をベースとしたイチゴの収穫量の予測は、従来、手作業で行われてきたが、このソリューションを導入し、ドローンが空中から短時間で圃場を撮影し、人工知能がこれらの画像を瞬時に分析して、より精緻な予測を自動で得られれば、一連の作業を大幅に省力化できる。

「フランダース・メイク」では、このソリューションの実用化をさらにすすめるとともに、ベースとなる仕組みの他分野への応用についても研究していく方針だ。


文:松岡由希子

AGRI JOURNAL vol.19(2021年春号)より転載

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