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鮮度保持・出荷時期調整の実現へ! 総合農業パーク「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK」で鮮度保持冷蔵システムを実証

2025年7月、株式会社タカミヤは株式会社ベルグリーンワイズと協業し、株式会社タカミヤが運営する総合農業パークに、株式会社ベルグリーンワイズの鮮度保持冷蔵システムを本格導入。本システムにより、農産物の安定供給と市場での高付加価値化を実現することが可能だ。

メイン写真:(左)タカミヤ TAP事業最高執行責任者 岡本 裕之氏、(右)ベルグリーンワイズ 代表取締役 小森 弘道氏

鮮度保持冷蔵システム導入で
農産物の安定供給と高付加価値化を目指す

足場をはじめとする建設業界のプラットフォーマーとして、業界課題に革新的なソリューションを創造しつづける株式会社タカミヤは、農産物の鮮度保持包装資材に強みを持つ株式会社ベルグリーンワイズと協業し、タカミヤが運営する総合農業パーク「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK」(以下、TAP)に、ベルグリーンワイズが提案する鮮度保持冷蔵システム「モイスト・クールシステム」を2025年7月より本格導入する。

本システムにより、温度と湿度を最適にコントロールすることで、農産物の鮮度を保ったまま出荷タイミングを柔軟に調整可能となり、農産物の安定供給と市場での高付加価値化を実現することが可能だ。

以下、株式会社タカミヤのプレスリリースより

「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK(TAP)」について、および協業の背景

タカミヤは、農業分野における後継者不足、人材教育の課題、そして技術導入の遅れに真正面から取り組むため、2024年4月に「TAP」を埼玉県羽生市に開設しました。

「TAP」は、単なる栽培拠点ではなく、先端農業技術の開発・実証、課題解決型ソリューションの展示、人材育成までを一貫して担う総合農業プラットフォームです。AIやロボティクスなどのテクノロジーを取り入れた実証研究のほか、農業人材を育成する「トレーニングファーム」も展開を予定しており、「農業版シリコンバレー」を目指しています。
https://takamiya-tap.jp/

「TAP」の取り組みの中で改めて浮き彫りとなっているのが、「持続可能な栽培体制の確立」や「収穫後の安定供給体制の構築」といった課題です。近年、気候変動の影響によって、長雨や猛暑、突発的な異常気象が頻発し、農作物の栽培環境が著しく不安定になっています。これにより作物の生育不良、収量減少、品質低下などが相次ぎ、「一年を通じて安定して農産物を届けてほしい」というニーズが急速に高まっています。

加えて、夏場の高温といった季節的な要因は、収穫から流通の過程で、生鮮野菜の品質を損なう大きなリスクとなります。特にきゅうりやトマトといった鮮度が重要な野菜では、出荷タイミングを柔軟に調整できないことで、販売機会の損失やフードロスが生じるケースも少なくありません。こうした課題に応えるため、「TAP」では「鮮度保持」や「出荷時期の調整」が可能な技術に着目し、モイスト・クールシステムの導入に至りました。

モイスト・クールシステムとは?

モイスト・クールシステムは、氷点下前後でも安定した高湿度状態をキープし、ムラなく循環させる独自の構造により青果物の鮮度保持に最適な環境を作るシステムです。

温度と湿度をそれぞれ独立しての制御が可能なため、低温(0℃±0.5℃)・高湿度(95%±5%)の庫内環境をつくることができます。また農産物の鮮度保持に最適な冷却空気を天井一面から供給することができる構造のため、大風量で冷却効率が高いのが特徴です。

モイスト・クールシステム(コンテナ型)外観

実証実験結果:
段ボールに詰めたブロッコリーを、モイスト・クールシステムまたは一般冷蔵庫で、78日間保管し、その後、室温で1日置いた際の比較(※ベルグリーンワイズのラボ機で試験)。

(温湿度)
・モイスト・クールシステム :0℃・95%RH​
・一般冷蔵庫 :4℃・65%RH

実証実験結果:(左)モイスト・クールシステム(右)一般冷蔵庫

両社のコメント

株式会社ベルグリーンワイズ 代表取締役 小森 弘道氏

今回のタカミヤ様との協業を通じ、鮮度保持カンパニーとして、日本の農業界が直面する気候変動や人手不足といった社会課題の解決に、より大きく貢献できると期待しております。​

TAPという“農業版シリコンバレー”を舞台に、両社の強みと知見を掛け合わせ、出荷困難時期の調整保管や安定供給に向けた実証実験を進めてまいります。

株式会社タカミヤ TAP事業最高執行責任者岡本 裕之

この度、TAPが掲げる「農業の未来を共創で紡ぎ、変革の芽を共に育てる」のコンセプトに共感いただき、ご参画が決定いたしました。​

今回導入したモイスト・クールシステムは、生産する野菜の価値を高める工夫、気候変動で難しさを増す安定供給の実現に大きく貢献できるものであり、日本の食料供給課題の解決の一助になると確信しております。​

ベルグリーンワイズ様とご一緒させていただくことで、国内のみならず海外での食糧問題に寄与できるものと考えており、その実現に向けた共創を今後当社を含むTAP参画企業様と進めてまいります。​

引用:株式会社タカミヤ、タカミヤ、農産物の鮮度保持技術でベルグリーンワイズと協業開始

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