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在庫管理も収穫記録も一括管理! 自分だけの業務アプリが簡単に作れるGoogleの「AppSheet」を紹介

ベンチャー企業出身農家によるコラム『マシュー農LABO』。今回からは、オリジナルアプリを簡単に作成できるGoogleのサービス「Appsheet(アップシート)」を紹介!必要な項目だけを入れたアプリを、オリジナルで簡単に作成して圃場管理を効率化しよう!

<目次>
1.かゆいところに手が届く!Googleのサービス「Appsheet」
2.Google AppSheetとは?
3.どうやって作るの?
4.さつまいもの収穫記録をAppsheetで実現

 

かゆいところに手が届く!
Googleのサービス「AppSheet」

こんにちは!毎日本当に暑いですね。農家の皆さま、くれぐれも熱中症にはお気をつけください。

さて、今回からはオリジナルアプリを簡単に作成できるGoogleのサービス「AppSheet」をご紹介します。

作業記録のアプリについては、多機能で様々なアプリがあります。

アプリではなく、紙で記録している方もいらっしゃると思います。ご自身に一番あった記録方法を見つけることが大切であると思います。

アプリにはアプリの良さが、紙には紙の良さがあります。

私がデータの記録をアプリやスプレッドシートで残すようになったのは、検索性が紙に比べて圧倒的に早くて効率的だからです。

データを見返して、分析することを考えたときには、アプリの活用もぜひ検討してみてください。

農業向けのアプリが無料のものや有料のものも多数ありますので、そういったアプリを活用いただいてもいいのですが、無料だと使いたい機能がつかえなかったり、有料だとここまでは費用かけたくないんだよな。。という私のような方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際、この機能はいらないんだよな。。とかこの機能が欲しいんだよなというかゆいところに手が届くのがGoogleのAppsheetです。

まずはAppSheetの全体像について解説させていただきます。

Google AppSheetとは?

AppSheet(アップシート)は、プログラミングの知識がなくても、自分だけの業務アプリを簡単につくれるGoogleのサービスです。

普段お使いのGoogleスプレッドシートやExcelなどのデータから、簡単な操作でスマートフォンやタブレット、パソコンで使えるアプリを開発できます。

AppSheetでできること

AppSheetを使えば、例えば以下のような様々なアプリを作成できます。

在庫管理アプリ:農薬や肥料の在庫数をリアルタイムで更新・確認
顧客管理アプリ:顧客情報や販売履歴をまとめて管理
日報/報告書アプリ:畑からでも簡単に入力・提出
タスク管理アプリ:チームのタスクを見える化し、進捗を共有
経費精算アプリ:レシートを写真に撮って、そのまま経費を申請

このように、これまで手作業や複数のファイルで行っていた業務を、一つのアプリに集約して効率化できます。

AppSheetのすごいところ

1.プログラミング不要!
専門的なコードを書く必要は一切ありません。基本的なPC操作ができれば誰でもアプリを作れます。

2.すぐに始められる!
Googleアカウントと、元になるデータ(スプレッドシートなど)があれば、すぐに開発をスタートできます。

3.様々な機能が使える!
データの表示・追加・更新はもちろん、グラフ作成、GPSでの位置情報取得、写真撮影、バーコード読み取りなど、農家の経営に役立つ機能が豊富に用意されています。

4.マルチデバイス対応!
作成したアプリは、特別な設定をしなくてもスマートフォン、タブレット、PCなど、様々な端末で利用できます。畑からの入力になることもあるのでスマホで入力、確認ができるのがありがたいですよね。

どうやって作るの?

次回以降、具体的な作成方法についてお伝えしますが、アプリ作成の基本的な流れについて解説させていただきます。

1.データの準備
まずは、GoogleスプレッドシートやExcelなどで、アプリで管理したい項目(例:農薬名、保管場所、在庫数など)の表を作成します。
※ここでのデータの整理が、アプリの使いやすさを左右する重要なポイントです。

2.AppSheetと連携
AppSheetの公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログイン。準備したデータを読み込ませます。

3.アプリのカスタマイズ
AppSheetが自動で基本的なアプリの雛形を作成してくれます。その後、表示方法を変えたり、機能を追加したりと、自分好みにカスタマイズしていきます。

ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、プログラミング知識がなくても簡単にレイアウトを調整できます。

4.共有
完成したアプリは、一緒に使いたいメンバーに共有するだけですぐに利用を開始できます。

料金について

AppSheetには、無料で始められるプランがあります。

個人的な利用や、10人以下の小規模なチームでの試用であれば、無料プランでも多くの機能を利用できます。

より多くの機能を使いたい場合や、大人数で利用したい場合は、有料プランへのアップグレードも可能です。
10人以下で使用させる農家さんが大多数かと思いますので、2025年7月時点では実質無料で利用することができます。

さつまいもの収穫記録を
Appsheetで実現

Appsheetの魅力が伝わりましたでしょうか?

私も、様々な記録方法を試した結果、現在はAppSheetが最適と判断し、AppSheetを様々な記録で使っています。

今回は実際にどのように利用しているのか、イメージを掴んでいただきたいので私の作成したアプリを紹介させていただきます。

さつまいもの収穫記録での使用例

日々のさつまいもの収穫記録を作成しました。スマホですぐに、どこでも、あっという間に記録できるのがいいところです。

全体の比較や反収もスプレッドシート上で計算式を入れるだけで、アプリに表示することができ、農業経営に活かすことができます。

こちらがホーム画面(AppSheetにgmailアカウントでログインしたあとの画面)になります。

①収穫日の記録
この画面では、これまで記録した収穫データの一覧を確認できます。

2024/00/00 →収穫日
D-1 →圃場の記号(圃場毎の管理のために記号を割り振っています)

日付と圃場ごとに、どれくらいの量のさつまいもを収穫したかが一目で分かります。

②入力フォームボタン
こちらから収穫量を入力します。プラスボタンをタップすると以下の画面が開きます。

収穫日、圃場選択、収穫バッグ数などを入力していきます。こちらの項目は自由に追加削除できます。

例えば、栽培品種や作業者名など、ご自身の記録したい項目を自由に追加・削除できるため、まさに『自分だけの』アプリが作れます。

必要な情報に基づいて、オリジナルで簡単にアプリが作成できるのがAppSheetの強みです。

③メニュー画面
入力したデータの一覧だけではなく、スプレッドシート上で計算したデータのグラフ表示なども簡単に作成することができます。

圃場別の出荷数。入力した収穫量から圃場別の出荷数を一覧できるグラフ。

圃場別の反収。収穫量と圃場毎の面積から割り出した反収一覧を確認できるグラフ

合計の収穫量。これまでの収穫用の合計の袋数と出荷キロ数

このように、確認したいデータをスプレッドシート上で計算して、AppSheetにて簡単に確認することができるようになります。

毎日の農作業終わりに記録の習慣をつけるには、いかに簡単に早く記録ができるかが重要です。

くたくたの泥だらけの状態で、いくつもの入力項目を入力するのはいやになってしまいます。

AppSheetはあなたにとって必要な項目だけを、オリジナルで簡単に作成でき、修正も必要に応じて可能なのが最大の強みです。

実際、忙しい農作業の合間でアプリなんか作成している時間なんてないよ。。というのが農家のみなさまの本音であると思いますが、AppSheetはデータの用意と作り方のコツを掴めば短時間でも簡単に作成することが可能です。

一度最適なアプリを作成すれば、無料で効率的な記録ができるようになりますので、ぜひとも一緒に挑戦していきましょう!

次回からは具体的に、どのようにアプリを作成していけばいいのか、効率的なAppSheetのアプリ作成方法についてご紹介していきます。

次回予告:GoogleのAppSheetでオリジナルアプリ制作!まずはデータの形から考えよう

 

プロフィール

藤井マシュー武雄

宮崎県新富町にて、7年前に就農。現在はさつまいもを6ha、大根や人参などの露地野菜を1ha栽培しながら、さつまいも観光農園「GOOD TIME FARM」を運営。収穫する喜びを多くの人に体験してもらおうと、日々活動しています。GOOD PEOPLES代表。
HP:https://gdps.jp/

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